現在、作成センターのデザインソリューショングループでプロダクトデザインを担当しています。私たちのグループは特定のカテゴリやブランドを担当するのではなく、全カテゴリを横断するような形で日々様々なプロジェクトに携わっており、普段皆様が店頭で目にするような商品だけではなく、海外製品、新しい道具の開発、未来価値の探索プロトタイプ制作なども担当しています。
このように仕事の内容も非常に幅広いため、デザイナーは多くの知識と広い視野を求められることになりますが、その分やりがいと面白さを感じることができる仕事です。
生活者が、ひとつの商品との出会いから使い終わるまでの間に、たたずまいの美しさだけでなく、触れた感触や持ちやすさ、使い心地など「また使いたい」と思えるようなトータルの体験をひとつひとつ丁寧にデザインすることができる花王のプロダクトデザイナーは、花王の”よきモノづくり”の想いをかたちにして届ける、大事な役割を担っています。

花王商品の魅力はやはり生活者に寄り添った「手に取りやすい価格」「どこでも手に入れやすい」「安心して使える」「機能的である」といった条件がそろっているところだと思います。当たり前のようですが、この当たり前をより多くの生活者に届けるために、店頭に並んだ時に目を引き、手に取りたくなるような直感的なデザインが必要とされるだけではなく、機能性や安全性、生産性やコスト面など、あらゆる制約や条件を考慮しつつ最適なバランスを見つけ出すことがプロダクトデザイナーには求められます。
スケッチや立体モデルを何度も作りブラッシュアップしながら検討を重ね、多くの制約や条件を満たしながら表現したいコンセプトとデザインが両立でき、製品化された時は非常に達成感があります。さらに、その担当商品がしっかりお客様のもとに届き、好評価をいただけたときは大きなやりがいを感じます。銭湯や友人宅、SNSなどで身近な人たちが自然に生活に商品を取り入れている様子をふと見かけたときなどは特に感動してしまいます。

仕事をする上で大切にしている事は、アイデアは机の上だけでは絶対に生まれない、ということです。思いついたことがあればすぐに３Dプリンターで出力してみたり、身近な素材を組み合わせてラピッドプロトタイプを作ったり。すぐに形にしてみることで、足りないものが見えてきたり、近くのメンバーに新しい視点のコメントをもらえたりするので、結局頭の中やパソコンの中だけでぐるぐる考えるよりも、つくってみないとわからない、つくってみたほうがはやい、ということが多かったりします。
そのためにはもちろんインプットの時間も欠かせません。仕事を早めに終わらせて帰りに展示に足を運んだり、新商品の店頭チェックやお客様の行動を眺めたり、デザインモチーフのことをもっとよく知るためにメンバーで資料館に行ったりしたこともあります。検索すればいつでも簡単に情報が集められてしまう時代だからこそ、可能な限り自分の目で見て触れて、心が動く瞬間の体験を自分の中にためていくことを心がけています。

プロダクトデザイナーとして配属されていますが、担当させていただいている仕事の枠がきっちりここまで、と決まっているわけではなくグラデーションのようなイメージです。
例えば、自主的な提案で商品のプロモーション用のアイテムまで担当させてもらう機会があったり、売り場の空間設計にも参加することができたり。これは私が何でもやってみたいと思うタイプだからだと思うのですが、そんな個性を尊重して後押ししてくれるような環境があります。また、花王で一緒に働く仲間には、どんな些細な提案も積極的に取り入れてみようと協力してくれる空気感と、商品をより良いものにしていこうという一体感があります。多様な知識や価値観を持った個性的な仲間達と、もっとこうしたら面白そう、こうしたらもっと良くなるんじゃないか、とアイデアを出し合っている時はワクワクが止まりません。何事にも興味を持って取り組める仲間と、一緒に”よきモノづくり”の未来をつくっていけることを楽しみにしています。