商品デザイン作成部では、日本国内、海外含め多くのブランドのデザインに携わっています。私はビューティカテゴリーのデザインに携わりたいと思い、花王を志望しました。現在はヘルス＆ビューティケアチームに所属し、日焼け止めやハンドソープなどのスキンケア、ヘアケア、オーラルケアのデザインを担当しています。過去には化粧品やサニタリーのデザインも担当しました。デザイナーはざまざまな分野を担当するので、それぞれでの経験が他の分野にも活きています。仕事内容は新ブランドの立ち上げなど長期的なプロジェクトもあれば、現ブランドの刷新やアイテム追加など中期的なもの、細かな改版業務まで様々です。社内デザイナーはパッケージの外側をデザインをするだけでなく、関連部門と協創しながらブランディングやコンセプトワークなどにも関わり、商品の知識や使っていただく方のことを深く理解し、内側からデザインをしていくお仕事だと思っています。そしてお客様の目に触れる時には、デザインのクオリティが一番の勝負所になります。「可愛い」「素敵」「使ってみたい」と思っていただけるようなものにするために、細かなディテールも納得がいくまでこだわって作っています。そして自分の作ったデザインで、手に取った方が少しでも幸せな気持ちになれるよう、日々お仕事しています。

「SPOT JELLY へそゴマパック」のデザイン開発はとてもやりがいがありました。おへそにゼリー状の液体を流し込み、ゼリーが固まることで汚れがスポッと取れるとても斬新な技術で、実際に使ってみるとその使用感の気持ちよさと面白さに感動しました。研究の素晴らしい技術をいかに魅力的に伝えるか、新たな価値を生み出せるかがデザイナーの責任だと思っています。従来のおへそ掃除を見直し、このゼリーをただの掃除用品ではなく、自分を大切にケアするアイテムに昇華したいと考えました。メンバーと一緒にアイデアを持ち寄り議論を重ね、おへそという自分の小さな部分まで大切にしたいという想いから「へそまで愛そう」というコンセプトを開発しました。パッケージは、見た瞬間綺麗になれそうな美しいケア品の佇まいを大事にしつつ、自分を労りたくなる感情を揺らすようなデザインを目指しています。また中身のパックや説明書は、難しい使い方をわかりやすく、かつ使ってみたくなるデザインになるようこだわりました。このプロジェクトは私自身の体感をデザインに落とし込み、それが使っていただけた方にも伝わった嬉しい仕事となりました。自分が感動した想いを使っていただく方にも届けたい、それが今の私の原動力になっています。

私が仕事で大切にしていることの１つ目は、誰かのための「素敵」を作ることです。それは見た目の美しさということではなく、相手を想って、その人にとっての本当の「素敵」の意味を考えて作るデザインです。造形美をとことん追求したデザインも美しいと感じますが、私が手がけたいデザインの先には、必ず使っていただく「人」がいます。
２つ目は、１つ１つのデザインに妥協しないことです。私自身も生活者のひとりなので、自分自身で納得ができるデザインでなければ、使っていただく方に喜んでいただけないと思っています。まずは自分の心がときめくという視点を大事にしています。
ですが、デザインに正解は無いと思っています。暮らしに馴染むような心地よいデザインを目指す時もあれば、見るだけで心踊るようなデザインに仕上げる場合もあります。共通しているのは根底には全て相手がいて、その方に「何これ！？」「可愛い」「綺麗」といったワクワクを届けたいという想いです。その想いを忘れず心に留めながらデザインに向き合っています。

手の平にのるサイズの素敵なものへのときめきに、私の人生も助けられてきました。なので生涯私も誰かを幸せにするときめきを生み出していきたいと思っています。ときめきは年齢を重ねて無くなっていくものではなく、むしろ年齢を重ねてからしか気づけないものの方が多くあるのではないかと思っています。そのためには、自分自身がずっと好奇心と探究心を持って生きていくことが大事だと考えており、自分の五感でインスピレーションを受けながらデザインに繋げていくことを続けていきたいです。そして自分自身が楽しんでデザインをしないと、人を幸せにするデザインは生まれないと思っています。現在は国内のお仕事がメインですが、海外のお仕事も通してまだ知らない様々な文化や習慣を触れていくことにも興味があります。国籍も年齢も性別も関係なく、地球上の誰もが心に持つ ""ときめく"" という感情を揺さぶれるようなデザインを、責任と楽しさを感じながら生み出していきたいです。