2017.03.10
※「くらしのデータ」は2019年版に更新。記事は2017年3月に作成されたものです。
これまで、東日本大震災から1年、3年、5年後に、仙台に住む人々のお宅へうかがい、暮らしのようすを聞いてきました。その中で、ふだんから備えることの大切さを、あらためて強く感じました。
震災1年後、ほとんどの人がペットボトルの水を買いおきするだけでなく、水道水や風呂の水を汲みおきしていました。それは、震災直後、給水車に長時間並び、運ぶのに苦労したことや、何よりトイレの水が出なくて困った、という経験によるものでした。
そして、震災から5年以上が経過した今でも、水の汲みおきを継続している人がいました。お風呂の水を常にため、持ち運びしやすい大きさの容器に水道水を汲みおき、それをうまく洗濯に利用しながら、無駄なくまわすサイクルができていました。
ほかにも、「いつもストックを多めに持っていることになる」と考えて、ふだんから、1巻が長い芯なしトイレットペーパーを使っている人もいました。
震災で得た経験は、いまの暮らしの中にも活きています。いざというときのために手間のかかる特別な備えをするのではなく、ふだんの暮らしの中で自然に備えることが続けられるコツのようです。
浴槽の湯は捨てない(仙台市在住)
飲料水はもちろん、ペットボトルや保存容器に水道水を常に汲みおきしている
昨年は熊本や鳥取などでも大きな地震がありました。電気や水道などが途絶え、暮らしが混乱する様子を見て、東北の人たちも胸が痛み、「自分たちの経験は活かされたのか?」が気になったそうです。
東日本大震災が起こったとき、首都圏でも、東北におもいを馳せながら、自分の生活を見直し、暮らしに前向きに取り組む様子が見られました。
災害はいつ起こるかわかりません。東北の人たちの震災経験から得られた教訓を自分の暮らしにも活かし、ふだんの生活の中で、自然に無理なく取り入れられる「備え」を考え、そのおもいを一緒につないでいきませんか。
くらしのデータ(東北3県・首都圏)
~震災当時の行動と現在~
浴槽に湯(水)をはったままにする人は、東北3県は首都圏の約2倍と多い。節水意識は、首都圏と東北3県を比べるとほぼ同じ。
東北3県および首都圏在住20~60代既婚女性(花王 生活者研究センター調べ)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。
東北3県および首都圏在住20~60代既婚女性(花王 生活者研究センター調べ)
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調査概要
◎ 2012年3月、2014年5月、2016年11月/家庭訪問インタビュー調査/仙台近郊在住30~50代女性/各6、5、4人(継続モニター)
◎ 2011年4月・5月・9月、2012年1月、2013年1月、2014年1月、2015年1月、2016年1月、2017年1月、2018年1月、2019年1月/インターネット調査/首都圏在住20~60代既婚女性/各約500人
◎ 2011年9月、2012年1月、2013年1月、2014年1月、2015年1月、2016年1月、2017年1月、2018年1月、2019年1月/インターネット調査/東北3県(岩手県、宮城県、福島県)在住20~60代既婚女性/各約250人
\ 読者から寄せられた感想 /
あの時の切迫した状況は未だ脳裏に、体に染みついていて、貯め水や節水、ベランダに靴、備蓄の食料もまだかかさず暮らしております。気持ちや記憶が薄れても、必ず皆様実行してほしいと思います。 (41歳・女性・宮城)
岩手県で震災を経験した者として、日頃の備えの重要性を他の地域の方々にも伝えたいと思った。 (43歳・女性・岩手)
私は熊本大震災を、昨年経験。思いもよらない地震で「くらしの現場レポート」を早く読んでいたらと、つくづく思いました。いつ起こるかわからない災害に備えるためにも、たくさんの人々に、読んでほしいと思います。 (66歳・女性・熊本)