くらしの現場レポート
2020.04.07
2020年は21世紀生まれの若者も新たに20代の仲間入りをします。
今の20代は「ゆとり教育」から「脱ゆとり教育」への移行期を経験し、災害や金融不安などの社会不安も多い時代に育った世代といわれています。中学校・高校では男女が共に家庭科を学ぶなど、男女の役割の区別をしない教育環境で育ったことからジェンダーレスな考え方を持っていたり、スマホで気軽に写真を撮るため、周囲からの評価を気にする、といったことも彼ら世代の特徴です。今回は、そんな20代男性の美容意識と行動に注目。彼らは「きちんと手をかけて外見を整えてこそ評価される」と考え、自らをプロデュースしていました。
多くの男性は「できる男に見られたい」と思っていますが、その基準は時代や環境によって変化しているようです。かつて「できる男」の基準は「バリバリ仕事ができること」でしたが、今回インタビューした20代男性にとっては「信頼できること」がその基準であり、具体的に「職場の40代課長」など身近な上司を挙げた人もいました。周囲の信頼を得るためには「内面が出るので見た目も重要」「外見で損をしたくない」と考えているようで、身だしなみを整えることは、社会人として信頼される基本であると捉えていました。特に重要視しているのが「清潔感のある、きちんとした外見」です。
「できる男」に見せるための具体的な行動としては、TPOをわきまえた清潔できちんとした服装やヘアスタイルなど、いわゆる「身だしなみ」を整えることはもちろん、「きれいな肌」も清潔感には重要なポイントと考えていました。ていねいなスキンケアや、眉を整えたり、ムダ毛の処理なども、彼らにとってはすでに身だしなみの一部。エステやムダ毛・ひげ脱毛をプロに任せることも、効率的なケアとして選択肢に入れていました。嫌なニオイは制汗剤や衣料用消臭剤などで徹底ケア、周囲への気遣いをしながら、香水やアロマも楽しんでいました。さらに、見た目のスマートな印象のために、可能な限り自炊をしたりサプリなどで栄養補給したりして、体形や体調の管理を心がけていました。
また、休日、自宅にいるときは、髪をセットせずに頭皮を休ませることを意識していたり、「アイロンがけ」「一週間分の料理をする」など翌週もがんばるために準備をしていることも特徴的でした。
今回のインタビューから、彼らは「できる男に見られたい」「信頼されたい」というおもいで、見かけだけでなく、洗濯・掃除から体調管理まで、生活面においても努力している様子がみられました。さらに、将来に向けて、語学の勉強や資格取得などの自己研鑽もやっていると話していました。
オーラを出して、社会人としてちゃんとした人だと思われたい。理想は一緒に働いている40代の課長。
将来の起業も視野にいれて、日々勉強しています。 (26歳・会社員)
自分を良く見せたい。一番重要なのは「清潔感」のある肌と服装。
体形維持に週1でジムに通う。(26歳・会社員)
「第一印象を良くするために、外見にも気を使う」という20代男性の行動は2011年の調査でもみられましたが、当時は「そのためにやっていることを周囲の人に知られたくない」と考えていたのに対し、今は「がんばっているからこそ、努力していることを周囲の人にわかってほしい、認めてほしい」と考えているようです。
彼らのおもいや将来を見据えて努力していることを理解して、応援していきたいですね。
首都圏の現役男子大学生の「自分の外見づくり(美容)」について考えるワークショップで、「外見づくりのために欲しい、未来の理想の手段」のアイデアを聞いてみたところ、外見を気遣う今どきの若年男性の本音も垣間見られました。
調査概要
「20代男性の美容・身だしなみ意識・行動実態」
◎2018年4~6月/家庭訪問インタビュー/首都圏在住20代男性/大学生、社会人3年未満、社会人3年以上、各4人
「フューチャーランゲージワークショップ-自分の外見づくり(美容)について-」
◎2018年8月/ワークショップ/首都圏在住男子大学生/8人