くらしの現場レポート
2019.11.19
2018年の流行語にもなった「グレイヘア※」 。40代で白髪染めをやめた著名人が注目されるなど、自然体で自分らしくありたいといったナチュラル志向を背景に、「グレイヘア」への関心が高まっています。グレイヘアの女性たちにインタビューをしてみると、染めなくなったからこそ、スキンケア、メイク、ファッション、姿勢など、外見に対してさまざまな工夫をしていることがわかりました。
※グレイヘア:白髪を染めずに白髪交じりの髪を活かしたヘアスタイルという意味合いで用いられる表現。
40〜70代の白髪染めをしている女性に、グレイヘアを素敵だと思うかと聞いてみると、「思う」(26%)、「どちらかと言うと思う」(35%)と肯定的に答えた人が約6割でした。また、現在している白髪染めはいつまで続ける予定か聞いてみたところ、「いつかやめるつもり」と答えた人が約6割という結果となり、いずれは白髪染めを卒業したいと考えている人が半数以上でした。
一方、WEB美容日誌調査で、グレイヘアについて思うことを聞くと、「グレイヘアは自然体で素敵だが、老けて見えないか心配。自分はまだ挑戦できない」といった声があり、グレイヘアは自分はまだ先、と思っている人も多いようです。
グレイヘアの女性たちに話を聞いてみると、「ありのままの自然体でいたいと思ったから」「個性的で素敵だから」「介護や孫の世話で頻繁に染められなくなったから」など、グレイヘアを始めたきっかけはさまざまでした。グレイヘアにしてからは、染めなくなった分、周りから身なりを構わなくなったように見られたり、老けて見えたりしないように、ヘアスタイル、地肌ケア、スキンケアやメイク、ファッション、姿勢などまで、身だしなみに特に気を付けるようになったようです。グレイヘアへのおもいやさまざまな工夫について聞かせてくれました。
最初は、自信がなかったけれど、グレイヘアにした分、ヘアスタイルにもスキンケアにも気を配るように。ポイントメイクは血色よく見えるチークや口紅が大事。丸くなりがちな背中はジャケットなどでカバーして、姿勢や装いにもこだわっている。思いがけず、街頭で素敵な人と褒められてからは、グレイヘアに自信が持てた。(開始年齢60歳・グレイヘア歴10年)
大人っぽく個性的で素敵だと思ってグレイヘアを選択。髪はボリュームがないのでパーマやカーラーでふわっと整える。髪と地肌のスペシャルケアも始めた。白髪にブルーのヘアマニキュアを入れて楽しんだことも。メイクは、マスカラ、眉などのポイントメイクをしっかり。年相応には見られたいので、姿勢、体型維持、歩き方にも気を付けている。(開始年齢52歳・グレイヘア歴8年)
白髪がパサつかないように育毛剤を使うようになった。更年期を境に急激に太ったので、体型維持のため週3回ジムに通うようになり、ヨガも始めた。上質なバッグを持ったり、ヒールのある靴を履くなど、ファッションも今まで以上に気を配るようになった。(開始年齢56歳・グレイヘア歴10ヶ月)
「グレイヘア」という言葉が生まれ、女性の白髪を活かしたスタイルが肯定的に受け入れられるようになってきました。実際にグレイヘアをしている女性たちは、始めたきっかけはさまざまでも、グレイヘアだからこそ、外見をよりきちんと見せたいおもいは共通していました。グレイヘアに憧れる女性たちが増えつつあるのは、そうした「自分の変化を受け入れた」おしゃれへの姿勢がみえるからかもしれません。「白髪は隠すもの」と当たり前に染めてきた時代からグレイヘアへと、髪色の選択肢が広がりつつある今、グレイヘアの女性たちのいきいきとした姿は、女性たちに新たなおしゃれの選択肢が増えたことを示してくれているようです。
調査概要
「白髪染めに関する調査」
◎2018年5月/インターネット調査/全国 現在、白髪染めをしている40〜70代女性/250人
「グレイヘアの女性調査」
◎2019年3〜4月/家庭訪問インタビュー・会場インタビュー/首都圏在住 グレイヘアの50~70代女性/6人
「WEB美容日誌調査」
◎2019年5月/インターネット調査/全国 美容日誌モニター 20~70代女性/58人