達人コラム

コスメコンシェルジュ 小西さやかさん
大学生のうちに知っておきたい、美容の知識

2019.02.13

メイクやヘアスタイルなど自由におしゃれを楽しめる年齢になった女子大学生たち。しかし、美容ビギナーゆえに、メイクやスキンケアに関する勘違いをしていることも多いようです。一般社団法人日本化粧品検定協会®の代表理事であり、大学で美容に関する講義もおこなっているコスメコンシェルジュ®の小西さやかさんに、彼女たちへのアドバイスをいただきました。

肌に負担をかけないスキンケアを心がけて

最近の大学生は、「メイクはプチプラコスメも賢く使う。スキンケアアイテムは多少高価でも、いいものを」という傾向があるようです。くらしの現場レポート『「自分らしさ」を楽しみながら メイクはマナー!今どき女子大学生たちの美容』にもあったように、「肌は土台からきれいになりたい」と思っている学生が多いようです。きっと、「後悔をしないために、肌は今からお手入れをしておかなくちゃ。でもメイクはいろいろ試して楽しみたい」といったおもいがあるのでしょう。その考え方にはとても共感できます。ただし、美容法に関して言えば、よかれと思ってやっていることが実は逆効果ということも、しばしば見受けられます。

例えば、クレンジングに関して。最近は、ウォータープルーフのマスカラを使っている人も多いのですが、拭き取りタイプのクレンジングでごしごしこすって落としているのであれば、心配です。拭き取りを使うのはいいのですが、メイクに液をなじませてからやさしく拭き取るなど、無理のない使い方をしてほしいですね。この年齢ならではのみずみずしいお肌をキープするために、できるだけ肌に負担をかけないスキンケアを覚えてほしいと思います。

美肌は、クレンジング&紫外線対策から

メイクはしっかり落としたいと思う人がいる半面、クレンジングの意識があまりない人も結構見受けられます。ティーンエイジャーのお子さんがいるお母さんから相談される内容で多いのが、「うちの子は雑誌を見ながら完璧にメイクをするのに、それを落とさずにそのまま寝てしまう」「メイクしているのに、洗顔料だけで洗っているので、メイクが落としきれていないのでは」といったもの。美肌を保つには、メイクしたら必ずクレンジングアイテムで落とすことが鉄則です。洗顔料だけでは落ちません。

そして、学生のうちに身につけてほしい基本があります。それは、紫外線対策。私自身、今一番後悔しているのが、「学生時代、あんなに外でスポーツをするのなら、なんでもっと日焼け対策をしっかりしなかったんだろう」ということ。当時は真っ白になる日焼け止め剤しかなくって、それを使うくらいなら、ナチュラルがいいと思っていました(苦笑)。
 
米国の研究によれば、肌の老化の原因は、約8割が紫外線で、残り2割が加齢。しわやたるみの原因は、加齢よりも紫外線が圧倒的に多いのです。将来の肌老化を防ぐために、若い頃からのUVケアは必須。特に、サークルや部活などで野外活動が多い人は、しっかりガードしておきましょう。
「日焼け止めは塗っているけど、メイクはしていないから洗顔だけで大丈夫」と言う人がいますが、ウォータープルーフの日焼け止めもメイクと同様に、洗顔料では落ちません。やはりクレンジングが必要です。

「やり過ぎず、きちんと」メイクのコツ

メイクの相談では、「やり過ぎにならない程度に、きちんとメイクしている感を出したい」という要望をよく聞きます。その観点でポイントとなるのは眉、アイシャドウ、チークの3点。特に眉は顔全体のバランスや印象を左右するパーツなので、きっちり描くのがポイントです。
アイメイクは、アイラインやマスカラには力を入れるけれど、アイシャドウは使わない学生が多いようです。でも、きちんとメイクしている感を出したいのなら、むしろアイシャドウが効果的。色を入れることで、メイクしている感が簡単に出せます。また、チークは練りタイプよりもパウダータイプの方がムラなくつけられるので、ビギナーにはおすすめです。
「それでは、リップは?」と疑問を持たれる方もいるかもしれませんね。大学生の年齢なら血色がいいので、グロスを塗るだけでも十分にメイクをしている印象になるでしょう。

美容情報があふれている時代に必要なこと

今はSNSで簡単に情報が入る時代。さまざまな美容情報があふれています。「これがいいと評判だから」と、断片的な情報を聞きかじっただけで取り入れると、期待した効果が得られないばかりか、マイナスになることもあるので、注意が必要です。

一時期、「美容と健康には半身浴がいい」と盛んに言われていたので、「入浴の基本は半身浴」だと思っている学生もいました。しかし、入浴時間が5分しかないのに半身浴というのでは、美容にも健康にも逆効果。半身浴というのはややぬるめのお湯に長時間入浴するときの入り方であって、5分しか入らないのであれば、全身浴の方が温浴効果を得られます。

また、SNSで得る知識は、自分の興味関心があることに偏ってしまいがちです。そのため、話題の美容グッズにはとても詳しいのに、化粧品の基礎的なことに関しては意外と知らないこともあるようです。
例えば、ファンデーションにセットされているパフのお手入れ。パフは時々洗って清潔に使ってほしいアイテムなのですが、焦げパンみたいに茶色くなったパフを使い続けている学生を目にすることがあります。私はSNSで美容に関する動画も発信していますが、「パフの洗い方」を配信したときは、いつも以上に反響が大きくて驚きました。それだけ、パフの洗い方を知らない人が多かったのでしょう。

なんでも情報をうのみにしないで、信頼できる情報源かどうか、見極める目を持つことも大切です。特に不特定多数の口コミは、注意が必要。いくつもの情報を比較しながら判断するようにしましょう。また、美容アイテムは使い方にきちんと目を通してから使うようにすれば、間違った使い方を防げます。 情報を上手に選び取りながら、どんどんキレイになっていく自分を楽しんでほしいと思います。

スキンケアもメイクも、科学的根拠に基づいた知識があれば、最短・最適な方法でキレイになることができます。学生時代は、美容の知識を身につけるのに格好の時期。今後、社会人になってもますます輝けるように、今から準備を始めましょう。

Profile

コスメコンシェルジュ®/こにしさやかさんのお写真

コスメコンシェルジュ
小西さやか(こにし さやか)さん

一般社団法人日本化粧品検定協会®代表理事、コスメコンシェルジュ®。大学卒業後、大手化粧品メーカーにて化粧品の研究・開発をおこなう。2011年に日本化粧品検定を実施する一般社団法人日本化粧品検定協会を創設。元化粧品開発者の視点から、化粧品の正しい知識を伝えるコスメスペシャリスト、コスメコンシェルジュとして活動中。著書に『日本化粧品検定協会®公式、コスメの教科書』『1分メイク&1分スキンケア』など。

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