協力:全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
「避難」とは単に避難所へ移動することではありません。まずは命を守るための行動、そしてその後の避難生活としての暮らし。この2つの側面から、自分や家族にとって最適な避難のあり方を考えることが大切です。

災害時には、まず「命を守る」行動が最優先です。地震・台風・水害など、どんな災害でも、まずは安全を確保する行動をとりましょう。地震であれば揺れから身を守る、大雨や津波の場合は早めに高い場所へ避難するなど、災害の種類に応じて判断することが求められます。状況によっては避難所に向かうことがかえって危険な場合もあるため、「今、自分のいる場所でどう安全を確保するか」を第一に考えましょう。
これまでは「避難=避難所」と考えられることが多くありましたが、実際には避難生活のかたちはより多様です。避難所以外への分散避難として、たとえば、自宅が安全で備えができていれば、そのままとどまる在宅避難や、宿泊施設や知人・親戚宅への避難、車を一時的な避難先とする車中泊なども考えられます。
どの避難方法が最適かは、家族の状況や災害の種類によって異なります。普段からどのような避難先が最適かをあらかじめシミュレーションし、 話し合っておくことが、いざというときの安心につながります。

災害によっては避難所そのものが危険な場合もあり、すべての避難所が開設されるとは限りません。自治体の公式サイトなどで、災害が起こったとき開設されている避難所を確認し、定員やその時点での受け入れ状況も把握しておく必要があります。
また、大規模な災害では避難者が殺到し、混雑することが想定されます。都市部などの避難所では満員になり入れない可能性もあります。
避難を想定している避難所の環境が、ご自身や家族の健康状況にあっているか、ペットの受け入れなどのルールはどうなっているのかなどの確認をしておきましょう。
Yahoo! 天気・災害 避難場所マップ(外部リンク)
避難所は、命を守るための大切な場であると同時に、多くの人と一緒に過ごす「共同生活の場」でもあります。限られたスペースや物資のなかで、互いに気持ちよく過ごすためには、ゆずりあいの心を持ち、ルールを守りながら協力し合うことが大切です。例えば、音の配慮やごみの分別、共有スペースの使い方など、基本的なマナーも心がけましょう。また、プライバシーが確保しにくい環境でも、お互いを思いやり、過剰な干渉を避ける意識も必要です。 またトイレの混雑や抵抗感、周囲への気遣いなどから飲み物を控えてしまうと、体調を崩す原因となります。脱水や健康悪化、最悪の場合には災害関連死につながる恐れもあるため、小まめな水分補給を意識しましょう。
困ったときには我慢せずに、早めに周囲や運営スタッフに相談しましょう。お互いに声をかけ合い、協力しながら助け合うことが、避難生活を少しでも安心できるものにしていきます。
地震の場合には、自宅の築年数や耐震強度などを考えて判断しましょう。風雨災害の場合には、ハザードマップを見て、浸水や土砂災害のリスクがないかを事前に確認することが大切です。
Yahoo! 天気・災害 ハザードマップ(外部リンク)
在宅避難を選ぶ場合は、水、電気、ガスが使えなくなることも想定して、家族人数の最低3日分、できれば7日分以上を目安に備えておくことが必要です。飲料水や食料のほか、常備薬や携帯トイレ、トイレットペーパー、カセットコンロなども忘れずに備えましょう。
詳しくは「在宅避難への備え」へ
また、自宅に避難していることを誰にも知らせていないと、行政の支援が届かないことがあります。孤立を防ぐためにも、支援が必要な場合は自治体や社会福祉協議会、NPO等の支援者に連絡することも大切です。
知人・親戚宅への避難は、避難先に被害がなく、安全が確認できている場合に選択肢となります。このような分散避難をスムーズに行うためには、いざというときに迷わず相談・行動できるよう、日頃から関係性を築いておくことが大切です。また、どんなものを持っていくか、どのくらいの期間お世話になるのかといった点も、ある程度想定しておくと安心です。
宿泊施設を利用する場合は、営業状況や予約の可否、自治体による受け入れ体制などを事前に確認しておきましょう。公的な避難所以外の場所で避難する場合でも、安全性や連絡手段をしっかり確保することが大切です。
車内の環境によってはエコノミークラス症候群のリスクがあるため、その対策として寝床などの環境を整える必要があります。一部の自治体で車中泊を前提とした避難スペースが整備され、トイレや照明などの設備を備えた駐車場が用意される例もあります。リスクを回避しながら、車中泊を避難の選択肢の一つとして考えられるようになってきています。
ただし、どこでも車中泊できるわけではありません。事前に自治体のホームページなどで、車中泊が可能な避難場所を確認しておきましょう。
車中泊の際にも、体調を崩さないようこまめに体を動かしたり水分をとったりすることが大切です。夏は熱中症、冬は低体温症のリスクもあります。簡易寝具やカーテン、食料、水、モバイルバッテリーなども備えておくと安心です。

特定非営利活動法人(認定NPO法人)
全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
(外部サイト)
災害時に必要な支援が迅速に行われるためのコーディネーションを行うことを目的に2016年に設立されたNPO法人。平時から官民の支援者間の連携体制構築や熊本地震以降、毎年のように発生している災害への対応を行う。