協力:歯科医師 佐藤佳昌先生
災害が起きたとき、まずは命を守る行動が最優先されますが、「お口の健康」も被災後の健康を守るうえでとても大切です。普段のように歯みがきができない状況では、口の中が不衛生になりやすいため、意識的に口腔ケアを行いましょう。

被災後は、食事や生活リズムの乱れによって、お口の清潔が保ちにくく、むし歯のリスクも高まります。さらに、水分が不足すると唾液の量が減り、口の中が乾いて飲食がしづらくなるほか、細菌の増殖にもつながります。意識して水分を取るように心掛けましょう。
また、口腔内の細菌が気管に入ることで、肺炎や気管支炎を引き起こすことがあり、最悪の場合、災害関連死にもつながる恐れがあります。
断水や避難生活中でも、できる限りの口腔ケアを続けることが、健康を守るためにも大切です。普段なら当たり前にできることだからこそ、意識して実践することが必要です。
断水時でも、口腔の衛生状態の改善には、とにかく歯磨きが効果的です。手元にある道具や少量の水で、できるケアもあります。


避難時には、入れ歯を忘れずに持参しましょう。入れ歯がないと食べにくくなり、栄養摂取にも支障が出ます。
汚れた入れ歯は、かえって病気の原因になることもあるので、入れ歯も口腔内も一緒に清潔にしましょう。
佐藤 佳昌(さとう かよ)先生
歯科医師 花王株式会社 ヒューマンヘルスケア研究所
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科卒業。
博士(歯学)。日本歯周病学会認定医。