この記事の監修者
順天堂大学大学院医学研究科・医学部教授
小林 弘幸さん
1987年順天堂大学医学部卒業。1992年に同大学医学研究科修了後、ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、2003年に順天堂大学医学部小児外科講師・助教授を歴任する。2006年、同大医学部病院管理学研究室教授に就任、総合診療科学講座教授を併任している。専門は小児外科学、肝胆道疾患、便秘、Hirschsprung's病、泌尿生殖器疾患、外科免疫学。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
さまざまな健康効果が手軽に得られる湯船入浴だが、湯船に浸かる時間の長さにもコツがある。おすすめの入浴時間は、38〜40℃程度のお湯に10〜15分。
お風呂で疲れを取るためには、副交感神経を刺激して、身体をリラックスモードにすることが重要。熱すぎるお湯は交感神経を刺激し、身体が活動モードに切り替わってしまうため、38〜40℃程度くらいの温度が理想的。
10〜15分浸かることで身体がじんわりと温められて副交感神経が優位となり、リラックス効果が得られやすくなる。ただし、30分以上の入浴は、身体へ負担がかかりやすいため注意が必要。
とくに熱すぎるお湯での入浴や、疲労感が強い日の長風呂は、のぼせや脱水、ふらつきといった不調のリスクが高まってしまう。
体調が悪いときや極度に疲れているときは、入浴時間にこだわらず、自分の体調に合わせて判断するのが大切。とくに季節の変わり目などは、「迷走神経反射」が起こりやすく、ふらつきやめまいがある状態で入浴すると事故につながる可能性がある。
シャワーで済ませるときは、湯船に浸かる代わりに、首や仙骨にシャワーを当てるだけでもリラックス効果が得られる。
入浴の本来の目的はリラックスすることなので、自分の体調や気分に合わせて入浴するほうが効果的。長く入りたいと思うときは長く、短く済ませたいときは短くというように、柔軟に対応するのが望ましい。
時間や温度を厳密に決めてしまうと、「しなければならない」という義務感が生まれ、かえって疲れてしまい、リラックス効果が減少してしまう。
入浴をよりこだわりたい人向けに目的別での入浴方法も紹介しているので、詳しくはこちらの記事を確認してみよう。
湯船入浴には、たくさんの健康効果がある。おもな効果は以下のとおり。
こちらの記事では、入浴することで得られる効果を紹介。詳しく知りたい人はチェックしてみよう。
忙しい現代人にとって、入浴時間は日常のストレスから離れる貴重な時間です。入浴時に1日を振り返ったり、明日の予定を考えたりする時間を持つことは、生活の質の向上にもつながります。お風呂は単に身体を洗うためだけでなく、心身のリフレッシュや思考を整理するための「特別な空間」として活用するのがおすすめです。
A.浸かる長さではなく、お湯の温度などを調整するのがおすすめ
季節によって湯船に浸かる時間を変える必要はありませんが、夏は37~38℃でクールダウン、冬は39~41℃で身体を温めるなど、湯温を工夫するとよいでしょう。
季節ごとのおすすめの入浴方法については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、詳しくはこちらの記事で確認してみよう。
仕事などの活動をおこなっている日中は、交感神経が優位になり、身体が「活動モード」に入った状態になりやすい。身体をリラックスさせるためには、副交感神経を刺激して、身体を「休息モード」に切り替えることが大切。
湯船入浴を活用すれば、副交感神経を刺激して、身体を手軽に「休息モード」に切り替えられる。
副交感神経を優位にし、身体を休めるためには、次のような入浴方法がおすすめ。
まず肩までしっかりと浸かり、そのあと半身浴に切り替えると、身体の負担を少なくしつつ、十分に身体を温められる。
熱すぎるお湯に浸かると、交感神経が優位になってしまうため、リラックス目的での入浴の場合、お湯の温度は38〜40℃程度を目安にしよう。
湯船の中で、ゆったりとした呼吸を意識しながらストレッチをおこなうのも効果的。身体が温まっており、筋肉や関節が伸びやすい状態のため、無理なく動かすことができ、ストレッチの効果も高められる。
日常のストレスから解放される時間をつくるために、瞑想を取り入れるのもおすすめ。一人だけの静かな時間を持つことで、自律神経を整える効果も期待できる。自律神経を整えるためには、呼吸と血流の改善が重要。瞑想中もゆったりとした呼吸を意識するようにしよう。
また、笑顔も効果的なリラックス法の1つ。表情の筋肉が緊張しているとストレスが高まるため、意識的に笑顔を作ることで表情筋をゆるめる効果が期待できる。