「入浴剤って効果あるの?」のタイトル画像。入浴剤を選んでいる女性のイラストイメージ

入浴剤にはどのような効果がある?入浴剤の効果を高める入浴方法を紹介!

この記事の監修者

花王株式会社
柳澤 遼太郎さん

柳澤遼太郎さんの写真

花王株式会社に入社後、ヘルスケア製品の開発研究を担当した後、パーソナルヘルス事業部にて数多くの入浴剤製品の開発担当を経験。その後、入浴剤の研究開発に従事し、現在はグループリーダーとして、数多くの入浴剤の研究開発、入浴に関する基盤的な研究を行う。

1.入浴剤の基本的な効果とは?

「入浴の基本的な効果とは?」の質問に回答している柳澤さんの写真

入浴剤には、身体と心の両方にうれしい働きがある。

身体への働きとしては、血行促進による疲労回復や冷え症改善が期待できる。炭酸ガス系や無機塩類系のタイプは、疲れや冷えをやわらげたり、腰痛や肩こりに効果的。

そのほかにも、保湿系の入浴剤は肌をしっとり保ちたいときに、酵素系は古い角質を整えたいときに使える。

心への作用としては、香りによる気分のリラックスなど。気持ちを切り替えたいときや、寝る前に気分を穏やかにしたいときにもぴったり。

入浴剤の種類によって特徴はあるが、どれもお風呂時間をよりよくしてくれるアイテム。その日の気分や体調に合わせて使い分けることで、より充実したバスタイムを過ごせる。

2.入浴剤の種類と特徴

「入浴剤の種類と特徴」の説明画像。炭酸ガス系:血行促進効果や高い温浴効果が得られ、疲労回復や冷え症改善に効果的 / 無機塩類系:温泉ミネラル成分で保温効果あり、冷え症の改善にも効果的 / 薬用植物系:香りにリラックス効果があり、ストレス緩和や睡眠の質が向上 / 保湿系:保湿成分が肌をしっとり整える、乾燥肌におすすめ / 酵素系:酵素が古い角質を柔らかくし、肌をなめらかに整える

炭酸ガス系

炭酸ガス系入浴剤は、酸とアルカリを反応させて炭酸ガスを発生させる仕組み。主な成分は、「クエン酸」や「フマル酸」などの酸と、「炭酸ナトリウム」や「炭酸水素ナトリウム」などのアルカリ。

発生した炭酸ガスがお湯に溶け込むことで、血行促進効果や高い温浴効果が得られる。血管を拡張させて全身の血流を良くする働きがあるため、疲労回復や冷え症改善に効果的。

主成分:クエン酸・炭酸水素ナトリウムなど
効果:血行促進・疲労回復・肩こり・冷えの改善

無機塩類系

無機塩類系の入浴剤は、「温泉ミネラル」とも呼ばれる成分が含まれている。「硫酸ナトリウム」「塩化ナトリウム」「硫酸マグネシウム」などのミネラル成分が主成分となっている。

これらの成分は、肌に残ることでベールを形成し、保温効果をもたらす。そのため、入浴後に洗い流さない方が効果を高められる。冷え症の改善に特に効果的で、保温効果を重視する場合はこのタイプがおすすめ。

主成分:硫酸ナトリウム・炭酸ナトリウム・塩化ナトリウムなど
効果:温浴効果・冷え症改善

薬用植物系

「植物系エキス」や「生薬成分」が配合された入浴剤。これらの天然成分から抽出された香りにはリラックス効果があり、心身をリフレッシュできる。

また、植物系成分には肌に良い影響を与えるものや、血行を促進する作用を持つものもある。アロマテラピー的な効果も期待できるため、ストレス緩和や睡眠の質向上にも役立つ。

主成分:ヨモギ・ショウガ・ミントなど
効果:リラックス・ストレス緩和・睡眠の質

保湿系

油分や保湿成分が配合された入浴剤で、液体タイプが多い。「セラミド」などの肌に有用な保湿成分が配合されており、肌の状態を改善する効果がある。

特に乾燥肌の人に適しており、入浴後の肌の潤いを保持するのに役立つ。保湿成分が肌に残ることで効果を発揮するため、こちらも洗い流さないほうが良い。

主成分:セラミド・シアバター・ヒアルロン酸など
効果:肌の保湿

酵素系

酵素成分が含まれた入浴剤。皮膚を清浄する作用があるとされ、肌をなめらかに整える効果が期待できる。

主成分:パパイン酵素・プロテアーゼ
効果:清浄作用

柳澤遼太郎さんの写真

これらの入浴剤に含まれる成分は複合的に使用されるケースもあります。たとえば、炭酸ガス系の入浴剤に保湿成分や無機塩類が配合されていることが多いです。それぞれの特性を組み合わせることで、複合的な効果が期待できます。

3.炭酸系入浴剤の効果を高めるために必要なこと

「炭酸系入浴剤の効果を高める入浴法」の説明画像。①10分以上浸かる:炭酸ガスを身体に十分に作用させる / ②40℃前後のお湯:のぼせない程度でゆっくり浸かる / ③全身浴をする:肩まで浸かることで炭酸ガスが広い範囲の皮膚に浸透 / ④直前に入浴剤を入れる:炭酸ガス濃度が低下する前に浸かる

炭酸ガスの効果を十分に得るために10分以上浸かる

炭酸系入浴剤の効果をより高めるためには、10分以上お湯に浸かることをおすすめ。炭酸ガスは皮膚に浸透して、血管が拡張することによりさまざまな生理的な効果を生むが、その過程にはある程度の時間が必要。短時間で湯船を出てしまうと、十分な効果を得られにくい。

また、炭酸系入浴剤は完全に溶けてから入るのが理想。炭酸系入浴剤を入浴途中から入れ、炭酸が溶け切らなかった場合、生理的な効果が得られにくい。

お湯の温度は40℃前後がベスト

お湯の温度が40℃に設定された浴槽のイラストイメージ

炭酸の効果を活かすには、10分以上長く浸かるのがポイント。ややぬるいと感じる程度の40℃前後の湯温がおすすめ。

熱すぎるお湯はのぼせやすく、長く浸かることが難しくなる。じっくり温まりたいときほど、温度設定に気を配りたい。

肩までしっかり浸かる全身浴で入浴する

肩までしっかり浸かって全身浴をしている女性のイラストイメージ

炭酸入浴の効果を高めるなら、全身浴がおすすめ。肩までお湯に入ることで、より広い範囲の皮膚から炭酸ガスが取り込まれる。

ただし、長湯になるとのぼせる可能性もあるため、お湯の温度は38〜40℃程度におさえておくと入りやすい。

入浴剤は湯船に入る直前に入れる

炭酸ガスは時間の経過とともに抜けていく性質があるため、お風呂に入る直前に入浴剤を入れるのが理想。

炭酸の効果はおおよそ2時間ほど持続するとされているが、可能であれば早めに入るほうが炭酸ガスをしっかり受け取れる。

4.入浴剤の効果に関するQ&A

入浴剤は毎日使用して大丈夫?

A.入浴剤は毎日使用しても全く問題ない。

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継続的に使用することで実感が得やすくなる効果もあるため、毎日の使用が推奨されます。
また、入浴剤を入れたお湯を追い焚きして2日目も同じお湯で入る場合、色や香りや温泉成分の効果は期待できますが、炭酸ガスの効果は得られなくなっていることが多いです。
炭酸ガス系の入浴剤はお湯を入れ直して使用することをおすすめします。

入浴剤には使用期限がある?

A.入浴剤の使用期限については、基本的に約3年間の品質を保つように設計されている。

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メーカーはこの期間、製品の品質を保証していることが多いです。ただし、3年が経過したからといって直ちに使用不可になるわけではありません。特に未開封の状態であれば、さらに長期間の使用も可能だと考えられます。

発汗作用が高い入浴剤はどの種類?

A.発汗作用が高い入浴剤を選ぶなら、炭酸ガス系入浴剤がおすすめ。

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炭酸ガス入浴剤は、温浴効果を高めることで体温を上昇させます。これにより発汗が促進されます。
炭酸ガスが血管を拡張させることで熱の吸収が促進され、同じ温度のお湯でもより身体が温まりやすくなる。この温浴効果が発汗を促すメカニズムとなっています。
炭酸ガス入浴剤を使用した入浴で発汗が促進されるという科学的な知見が報告されています。発汗を促したい場合には炭酸系入浴剤を使うといいでしょう。

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