「驚くべき炭酸風呂の効果」のタイトル画像。炭酸風呂に入っている女性のイラストイメージ

炭酸風呂に入ることで得られる効果とは?入浴剤を使って自宅で炭酸風呂を楽しもう

この記事の監修者

花王株式会社
柳澤 遼太郎さん

柳澤遼太郎さんの写真

花王株式会社に入社後、ヘルスケア製品の開発研究を担当した後、パーソナルヘルス事業部にて数多くの入浴剤製品の開発担当を経験。その後、入浴剤の研究開発に従事し、現在はグループリーダーとして、数多くの入浴剤の研究開発、入浴に関する基盤的な研究を行う。

1.炭酸風呂とは?

「炭酸風呂とは?」の質問に回答している柳澤さんの写真

炭酸風呂とは、炭酸ガスが溶け込んだお湯のこと。「60ppm(※)」以上の炭酸濃度があると炭酸ガスの効果を得られやすい。

炭酸の働きは、炭酸ガスが皮膚から浸透し、血管を拡げること。その結果、血の巡りが良くなり、身体がぽかぽか温まりやすくなる。

疲れているときは細胞に老廃物がたまっている状態。血流が良くなると、それが排出されたり、酸素や栄養分などの必要なものが届きやすくなる。

「炭酸風呂=炭酸ガスが溶け込んだお湯」の説明画像。60ppm以上の炭酸濃度がGOOD!炭酸ガスが皮膚から浸透し血流促進→体が温まる、老廃物排出、栄養分供給

市販の入浴剤を選ぶときは、タブレットの大きさだけでなく、炭酸ガス濃度にも注目。炭酸ガス濃度にこだわった製品には「高濃度炭酸」「強炭酸」など、炭酸に関する表記が書かれていることが多い。

  • ppmは濃度を示す単位。100万分の1を表し、60ppmはお湯1リットルに炭酸ガスが0.06g溶け込んでいる状態。

2.炭酸風呂で得られる効果

「炭酸風呂の効果」の説明画像。疲労回復:血流改善により、酸素や栄養素が細胞に届きやすくなる / 冷え症の改善:血管が広がり、お湯で温められた血液が身体のすみずみに届いて深く温まる / 肩こり・腰痛の改善:血流促進と温浴効果で筋肉のこわばりや痛みを和らげる / 自律神経の調整:副交感神経が優位になり、リラックスする

疲労回復

炭酸風呂の代表的な効果のひとつが、疲労回復。炭酸ガスによって血管が拡張し、血液の巡りが良くなることで、細胞へ酸素や栄養が届きやすくなる。同時に、疲労物質の排出も促進されるため、身体が回復しやすくなる。

スポーツの分野でも炭酸風呂は広く活用されており、特に筋肉のリカバリー目的で取り入れるケースが多い。プロアスリートの間でも、トレーニング後の疲労対策として使われている。

加えて、温浴効果によって身体が芯から温まり、筋肉や関節がやわらかくなると、動かしやすい状態になり、ストレッチなどの回復アプローチと組み合わせた相乗効果も期待できる。

冷え症の改善

寒さで手を温めている女性のイラストイメージ

炭酸ガスによって血管が拡張して血流がスムーズになることで、お湯で温められた血液が身体のすみずみにまで届きやすくなり、同じ温度のお湯でもより深く温まりやすくなる。

炭酸の濃度によって得られる温まり効果も変わる。家庭用の入浴剤でも十分な血行促進効果が期待できるが、より高い温浴効果を求めるなら高濃度炭酸泉に浸かるのも1つの方法。

肩こり・腰痛の改善

肩こりや腰痛に悩んでいる女性のイラストイメージ

血流が促進されることで、疲労物質が排出されやすくなり、張りや痛みの原因にアプローチできる。

また、入浴による温熱効果で身体がしっかり温まると、筋肉や関節がやわらかくなり、こわばりの解消や可動域の向上にもつながる。とくにストレッチや軽い運動と組み合わせることで、コリや張りの改善効果が期待できる。

家庭用の炭酸入浴剤でもこの効果は十分に得られるため、日常的なセルフケアとして取り入れやすい。

自律神経が整う

炭酸入浴では、自律神経機能のバランスを整える効果も注目されている。自律神経は、呼吸・心拍・体温調整などを無意識にコントロールする重要な働きを担っており、乱れると睡眠の質や体調全体に影響が出やすくなる。

交感神経(活動モード)と副交感神経(休息モード)の切り替えがうまくいかないと、夜にうまく眠れなかったり、常に緊張した状態が続く。炭酸入浴で、自律神経のバランスが整いやすくなり、リラックスしやすくなる。

結果として、疲労回復・睡眠改善・ストレス軽減といった副次的な効果にもつながっていく。

3.炭酸風呂の効果を高めるおすすめの入浴方法

「炭酸風呂の効果を高める入浴法」の説明画像。①10分以上浸かる:炭酸ガスを身体に十分に作用させる / ②40℃前後のお湯:のぼせない程度でゆっくり浸かる / ③全身浴をする:肩まで浸かることで炭酸ガスが広い範囲の皮膚に浸透 / ④直前に入浴剤を入れる:炭酸ガス濃度が低下する前に浸かる

炭酸ガスの効果を十分に得るために10分以上浸かる

炭酸風呂の効果をしっかり感じるには、10分以上の入浴が目安。炭酸ガスが皮膚に浸透し、血管を拡げてさまざまな生理的な効果が得られるまでには少し時間がかかるため、短時間の入浴では十分な効果が得られにくい。

炭酸系入浴剤は、完全に溶けてから入るのがポイント。炭酸ガスがお湯に溶け切っていない場合、生理的な効果が得られにくい。

40℃前後で入浴する

40℃に設定された浴槽のイラストイメージ

炭酸風呂は40℃程度のややぬるいと感じる湯温がおすすめ

高温のお湯はのぼせやすくなるため、長く浸かるのが難しくなる。40℃程度のややぬるいと感じるくらいの温度設定が、炭酸風呂の効果を最大限に引き出すコツ。

なるべく全身浴で入浴する

全身浴をしながらリラックスしている女性のイラストイメージ

炭酸の効果をより広い範囲に届けたいなら、肩までしっかり浸かる全身浴がおすすめ。皮膚とお湯との接触面積が増えることで、より多くの炭酸ガスが身体に吸収されやすくなる。

ただし、長時間の全身浴はのぼせのリスクもあるため、湯温は38~40℃とややぬるめに設定するのがポイント。

入浴する直前に入浴剤を入れる

炭酸ガスの濃度は時間とともに徐々に低下していく。追い炊きをしたり、長時間放置したりするとガスが抜けやすくなるため、入浴剤は入る直前に入れるのがおすすめ。

家族で順番に入浴する場合でも、効果は約2時間ほど持続する設計になっている。ただし、できるだけ早めに入る方が、より炭酸の効果を受けられる。

4.炭酸風呂に関するQ&A

炭酸風呂に入った後は身体を流してもいい?

A.炭酸風呂に入ったあと、身体を洗い流しても問題ない。

柳澤遼太郎さんの写真

炭酸の効果は、すでに体内に取り込まれた時点で作用しているため、表面の炭酸を流しても効果が失われることはありません。

入浴中に肌の表面に炭酸の泡がつくことがあるため、流すと効果が失われると思われるかもしれません。しかし、炭酸は入浴中に皮膚から浸透し、血管を拡げて血流を促進するという仕組みです。そのため、入浴後にシャワーを浴びたり、肌を洗ったりしても炭酸の効果が低くなるということはありません。

温泉の炭酸風呂と炭酸系入浴剤を入れた風呂で効果は違う?

A.温泉の炭酸風呂(炭酸泉)と家庭用の炭酸系入浴剤では、得られる効果に違いがある。

柳澤遼太郎さんの写真

両者の違いは炭酸ガス濃度の違いであり、より高い効果が得られるのは炭酸ガス濃度の高い「温泉の炭酸風呂」です。一方、家庭用の炭酸系入浴剤も全身の血液循環を良くする作用がありますので、毎日の入浴の際にぜひ活用していただきたいです。

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