工学研究科 航空宇宙工学専攻 2018年卒業

私の所属する加工・プロセス開発研究所では、商品開発研究所が作成した研究室スケールの製品を加工技術により工業的なプロセスへとスケールアップして、社会へと実装するための技術開発を主に行っています。入社以来、塗工や超音波加工、積層造形など様々な加工技術を駆使し、新しい形や機能を持った素材・製品の製造技術開発に取り組んできました。
私の部署は、機械・電気系のみならず、化学や化学工学など、様々な専門を有するメンバーが所属しており、非常にアイデアの引き出しが多い点が特徴です。専門性が異なるメンバーと理解し合うことは時には大変なこともありますが、お互いの長所・強みを活かしながらアイデアを形にしてくプロセスは非常に面白みがあり、やりがいを感じています。
現在は商品開発研究所や生産部門と共に、スキンケアやメイクアップ製品の製造技術開発を担当しています。製品の機能や意匠性には、処方を構成する原料の組成だけではなく、加工方法やプロセスも大きく影響を及ぼすため、まさに機械・電気系エンジニアの力が試される部分です。お客様に届ける価値の最大化を目指し、日々業務に取り組んでいます。

花王では本人のやる気次第で、幅広い業務に携わることが出来ます。私は入社以来、毎年複数のテーマの研究業務に取り組んできました。不織布の製造技術開発や液体洗剤の反応器開発、ケミカル製品の処方開発など、多様な業務を経験することで、幅広い知識と経験を積むことが出来たと感じています。もちろん、新たなテーマに取り組むには学ばなければならないことが多く、業務が軌道に乗るまでの道のりは時に険しくもありますが、苦労の末に成果が得られた時の喜びは大きく、次の仕事への新たなエネルギーが生まれます。
入社４年目では、シート製品の製造設備の開発を任されました。設備の設計製図、電気回路の設計や制御ソフトウェアの製作など業務内容は多岐にわたり、スケジュールもタイトなものでしたが、それまでの経験や知識を総動員して何とか完成に漕ぎつけました。機械の良し悪しもスケジュール通りに出来上がるかどうかも自分次第だったためプレッシャーが大きく、簡単な仕事ではありませんでしたが、自分の作った機械が動いている姿を見たときは大きな達成感を感じることができました。この経験から得られた自信がその後の業務にも役立っています。

日々の業務で心掛けていることは、ミスや失敗をその場限りで済ませず、自分の成長に活かすことです。入社して間もない頃、急ぎの仕事を任され、焦りから作業手順をよく確認せずに実験を行い、結局期待した結果が出ずに周囲に迷惑をかけたことがありました。焦りは自らの仕事の質の低下だけでなく、職場全体の業務の進捗に影響するのだと実感し、常に平常心を保つことの重要性を学んだ瞬間でした。以来、時にはスケジュールに余裕のない業務を割り当てられるときもありますが、時間がないときこそ一度状況を整理し、しっかり段取りを考えてから行動するよう心掛けています。
ミスは誰にでも起こりうることですが、同じ失敗を繰り返していては信頼関係は築けません。信頼関係があって初めて仕事を任され、任された仕事をやり切ることが会社や社会への貢献につながります。信頼して仕事を任せてもらえるよう、日々の業務の中でPDCAサイクルを回し、仕事の質の向上に取り組んでいます。

私は学生時代、航空宇宙工学を専攻し、構造部材の損傷進展予測に関するシミュレーション手法の開発を行っていました。化学や化学工学に関する知識を持たずに化学メーカーである花王を志望し、自分が会社の役に立てるのか不安に思いながら入社したことを覚えていますが、学生時代に身に着けた材料力学に関する知識やプログラミングスキルは今でも日々の業務に非常に役立っており、毎日充実した研究活動を行えています。このように、どんな専門性を持つ社員であっても、必ず活躍できる研究領域があるのが、花王の魅力の一つだと感じています。
私は多くの方に身近に感じていただける製品を作りたいと思い花王に入社しました。就職活動では自分の専攻を意識するあまり自ら志望業界を狭めてしまいがちですが、「自分は何をしたいのか」を大切に、広い視野を持って就職先を選んで欲しいと思います。世の中にどんな仕事があるのかを知るうちに、自分が本当にしたいことが見えてくることもあると思います。日々の学業とのバランスをうまくとりながら、自分の将来について納得するまで悩みぬいてください。