国際的スポーツイベントがめじろ押しの今、注目を集めている「スポーツボランティア」。参加者の中には、50~60代も多いといいます。スポーツボランティアって何? その魅力は? どんな活動をするの? スポーツボランティアの第一人者である文教大学准教授・二宮雅也先生にお話をうかがいました。
二宮雅也
文教大学人間科学部人間科学科准教授。NPO法人日本スポーツボランティアネットワーク(JSVN)理事、一般財団法人日本財団ボランティアサポートセンター参与、NPO法人日本スポーツボランティア・アソシエーション(NSVA)理事。スポーツ庁オリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議委員。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会ボランティア検討委員会メンバー。
日本で「スポーツボランティア」が注目され始めて約10年。今では、応募が募集人数を大幅に上回り、抽選が必要になるほどの大会もあるという人気ぶりです。
最近は、経験を積んだベテランのボランティアも増えてきたため、大会の持ち場ごとにボランティアを束ねるリーダーがいて、さらにそのリーダーをサポートする人員もいます。
「参加が初めてでも、何も心配はいりません。リーダーたちがしっかりサポートしてくれるので安心です」(二宮先生)
人気の秘密は、映画などを見て感動する間接的な感動に対し、アスリートの活躍を目の当たりにできる、“リアル”な感動にあります。
「たとえばマラソン競技の給水所にいたとして、トップアスリートが目の前を駆け抜けるのは、風が過ぎ去るようなほんの一瞬の出来事ですが、直接感じたその“風”は、かけがえのない一生分のぜいたくな体験になります」(二宮先生)
アスリートや観客から「ありがとう」と感謝の言葉をかけられるのも、スポーツボランティアの大きな喜びです。「自分がアスリートや観客の笑顔をつくっている」ということに喜びを持つ人も多いといいます。
さらに、年齢も職業も違う人たちと出会え、普段は交流できない人ともコミュニケーションできるのも魅力です。スポーツボランティアの参加者は10代未満~80代以上まで年齢もさまざまです。
「スポーツボランティア仲間で、旅行を兼ねて他地域のスポーツイベントに参加する人もいるんですよ。これを私は、スポーツボランティアツーリズムと呼んでいます」(二宮先生)
ひとくちにスポーツボランティアと言っても、その活動内容は多岐にわたります。たとえばマラソン大会の場合だと、案内係、海外選手の対応、荷物の受付、沿道の整理、給水、完走メダルかけ、フィニッシュタオルかけ、荷物を渡す、などです。
中には、事前の会議やクラブ運営に携わる人、競技の指導員や審判をする人もいます。
スポーツボランティアの活動は、交代要員が確保され、休憩時間なども十分取れるようになっているので、体力に自信がなくても大丈夫です。審判など専門的な役割を除けば、基本的にはスポーツの知識がなくてもトライすることができます。
「ただ、知識があったほうが楽しいと気づいて、スポーツボランティアをしながらかかわる種目の知識を深めていく人も多いですね」(二宮先生)
日本スポーツボランティアネットワーク認定
スポーツボランティア・コーディネーター
齋藤千穂さん(女性・54歳)
サッカー競技場が家の近くにあることと、子どもがサッカー教室に通い始めたことがきっかけで、サッカーイベントのスポーツボランティアを始めました。
活動の種類はさまざまで、サポーター(来場者)の方々と接する機会の多いイベントのサポートや、子どもたちが選手と手をつないで入場するウィズハンド・フェアプレイフラッグのサポート、指定席の案内係、ごみ回収などがあります。
やっていていちばんうれしいのは、たとえばごみ回収をしているときに、ごみを出していただいたお客さまに「ありがとうございます」とお伝えすると、お客さまからも「ありがとう」と声をかけてもらえること。知らない人との間で「ありがとう」と声をかけ合える場所は、日常生活では少ないので、すごくうれしいですね。
また、裏方にいながらも得点が入ったときに歓声が聞こえてきたりすると、まるでスタジアムで一緒に試合を見ているかのような感動を味わえるのも醍醐味です。イベントのあとは、スポーツボランティアメンバーで支え合って成し遂げたという達成感も味わえます。
スポーツボランティアにとくに経験は必要ないので、チャレンジするハードルは低いと思います。自宅から近いところに通う、短時間の活動にする、土日だけ活動する、試合のときだけ活動する、夏はしないなど、活動ペースを選択することもできます。無理をすると長く続かないので、自分ができる範囲で楽しみながら、体調に合わせて参加するのがポイントです。
日本では、“無償のサポート”という意味合いの強いスポーツボランティアですが、海外では、自分のスキルを高めたり、キャリアを形成するための活動であったり、自分の余暇時間や生涯学習のための活動であったりするそう。
「自分の楽しみのため、という意味合いが強いんですね。日本でも、そういう意識になっていくといいなと思っています。将来的には、行政発信ではなく、スポーツボランティアの参加者の中から、“こういう大会をうちの町で支えてみたい”と、スポーツイベントを招致する流れができるとおもしろい。そんな流れの中で、スポーツのあり方や楽しみ方自体も多様化し、障がい者スポーツなどさまざまなスポーツや大会がメインストリームになるような流れがあるとさらにいいですね」(二宮先生)
スポーツボランティアには、スポンサーからウエアをはじめ、必要なものは支給されるケースが多いので、基本的には自分で用意しなければならないものはありません。
「ただ、夏の屋外活動ならば、日焼け対策としてUVクリームなどがあるといいでしょう。暑さ対策として、首を冷やすネッククーラーなどもあるといいですね。冬ならば、寒さ対策としてカイロやネックウォーマーを用意しておくのもおすすめです」(二宮先生)
休憩時間は十分に確保されていますが、それ以上の頻度でトイレに行きたい人や、大丈夫だと思うけれど長時間の活動時に「ちょっと尿もれが心配…」という人は、使いきり吸水ショーツがあると、安心です。
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