猫と暮らすお役立ち情報

猫の生活事典 監修山本宗伸先生(猫専門獣医師)TokyoCatSpecialists院長

猫の生活事典 監修山本宗伸先生(猫専門獣医師)TokyoCatSpecialists院長

猫の生活事典 監修山本宗伸先生(猫専門獣医師)TokyoCatSpecialists院長

人と動物の共通感染症

「人と動物の共通感染症」の知識を正しくもとう

「人と動物の共通感染症」は、動物と人がともにかかる病気のことです。室内飼育が主流となり、飼い主と愛猫が同じ空間で暮らすようになり、一緒に寝たり、キスをしたりなど、より濃厚な接し方をすることが増えてきました。それによって、飼い主が人と動物の共通感染症にかかるケースも増えてきています。
愛猫との暮らしをより楽しく安全にするために、「人と動物の共通感染症」についての正しい知識をもち、それらの病気を防ぐための、猫との暮らし方のルールを守りましょう。

愛猫と節度のある接し方をすることが大切

人と動物の共通感染症を引き起こす病原体には、ウイルスやリケッチャなどの小さな微生物、細菌や原虫、寄生虫などさまざまなものがあります。日本で発症する約50種のうち、犬や猫などの小動物から人に感染する可能性のあるものは、約30種と言われています。人と動物の共通感染症の多くは、人に感染しても身近な動物からうつったという自覚症状がなく、医師が人と動物の共通感染症に詳しくなければなかなか気づかないこともあります。
犬や猫と接する機会が多い人は、人と動物の共通感染症の知識を正しくもち、体に不調があるときは「もしかしたら」という思いをもって、愛犬、愛猫のことを担当医に話して、適切な検査・治療を受けることが大切です。


また、口移しに食べ物を与えたり、同じ布団やベッドで寝たりすることは、避けるべきで、愛猫と遊んだあとは必ず手を洗うなど、節度をもってつき合う必要があります。そして、愛猫の健康管理をしっかり行い、ブラッシングやシャンプーなどのケアもしっかり行って、いつもできるだけ清潔な状態を保つことを心がけてください。

愛猫からうつる可能性のある主な人と動物の共通感染症

<トキソプラズマ感染症>

猫の糞便中に排出されたトキソプラズマ(寄生虫)のオーシスト(卵のようなもの)が体内に入ることで感染する病気で、ブタでも頻繁に感染がみられます。犬にも感染しますが、感染源となるオーシストは猫以外の動物からは排泄されないので、犬から人へ感染はありません。人へはおもに、感染した猫の糞便中や、感染したブタなどの生肉に付着したオーシストが口の中に入ることで感染します。オーシストを排出する動物は猫だけですが、多くの場合は猫からよりも豚肉などを十分に加熱しないで調理して食べたことによって感染しています。

感染しても猫は無症状で、人でも健康な成人ならばほとんど症状が現れず、知らないうちにすでに感染していることもあります。それでも猫からうつる代表的な病気として恐れられているのは、妊婦が初めて感染した場合に流産したり、新生児に水頭症などの症状がまれに出ることがあるからです。


トキソプラズマ感染は、猫も人も抗体検査で調べることができます。結果が陽性ならば過去に感染し、すでに免疫ができているので、妊娠しても胎児にうつる可能性はほとんどありません。もし、人も猫も未感染なら、愛猫に触ったら石けんで手をきれいに洗う、野良猫とは遊ばないようにするなどで予防します。また、猫トイレの掃除にはゴム手袋をするなど、ウンチを素手でさわらないように気をつけ、必ず手洗いをします。

<猫ひっかき病>

猫に咬まれたり、ひっかかれたりすることで起こる病気です。猫の爪や口の中にあるバルトネラ菌によって感染し、傷が治りにくく、傷口が潰瘍になったり、リンパ節が腫れたりします。健康な人では、一時的に腫れてもいつの間にか自然治癒してしまいますが、小さな子どもや抵抗力が低下した人に感染すると、傷の治りが悪かったり、さらに肝臓が腫れたり、髄膜炎を起こしたりすることがあります。猫に咬まれたりひっかかれたりしたら、傷口を石けんでよく洗って、イソジンなどで消毒します。たかがひっかき傷と甘く見ないで、腫れや体調に異常を感じたら、病院へ行きましょう。
また、この菌はノミが媒介して感染します。稀なケースですが、猫と接触していなくても、ノミを介して感染した例も報告されています。予防策としては、猫の爪はいつも短く切っておくことと、媒介になるノミを駆除することです。

<パスツレラ症>

猫や犬をはじめとするほ乳動物の口の中に潜んでいる「パスツレラ菌」が原因となり、猫や犬に咬まれたり、ひっかかれたりすることで感染します。抵抗力が低下した人に感染すると、傷口の痛み、腫れ、化膿、リンパ節の腫れなどの症状が出ます。また、愛猫に舐められたときなどに菌が口から入ると、肺炎や気管支炎など呼吸器系の症状が現れることもあります。手遅れになると、敗血症や髄膜炎を起こして死に至ることもありますが、早い段階で適切な診断がつけば、抗生物質で治療できます。咬まれたりひっかかれたら、石鹸をつけて傷口をよく洗い流し、イソジンなどで消毒をします。また日頃から、愛猫とのキスなど、過度な接触は避けましょう。

<Q熱>

英語で、Query fever(わけのわからない熱)という言葉から生まれた病名で、リケッチャというウイルスより大きく、細菌より小さい微生物に感染して起こる病気です。このリケッチャは犬や猫などのペット、タヌキやカラス、ハトなどの野生動物にダニや空気感染でうつります。日本では猫から人への感染が疑われていますが、国内ではまれな病気です。
感染した猫のお乳やウンチ、羊水などから感染しますが、ふつうは軽い発熱や呼吸症状を起こした後に治ります。けれどもひどくなると、気管支炎、肝炎、髄膜炎などを起こし、治療が遅れると死亡することもあります。慢性的な発熱や吐き気、倦怠感が続くこともあり、原因が特定しにくいので、「怠け病」と誤解されてしまうこともあります。
猫と暮らしているとこんな病気にかかることもあるということを知っていれば、早期発見・治療ができるかもしれません。

監修:山本宗伸先生(猫専門獣医師)

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