くらしの現場レポート
2019.10.08
住まいの掃除用洗剤を選ぶとき、みなさんはどんな点を重視していますか?花王の調査によると、拭き掃除用洗剤に「油汚れがよく落ちる」といった洗浄力だけでなく、「除菌効果がある」ことを求める既婚女性がこの10年で増えています。家庭内の「菌」に対する意識が高まっている今、家庭内の菌汚染実態や実際の掃除行動の観察をもとに、より効果的な除菌方法について考えます。
既婚女性を対象に「家庭内で菌が気になる場所」を聞いてみると、キッチンの調理台など食品を扱う場所やトイレなど、家庭内の広範囲にわたっていました。中でも、小さい子ども(未就学児)がいる家庭では、菌への意識が全般的に高く、とりわけ、食卓、ダイニングの床などは、小さい子どもの手が触れる場所だけに、全体に比べて高い傾向がみられます。
また、菌が気になっている割合と除菌している割合に差がある箇所が多くみられました。
「除菌していない理由」には、「菌を気にしていてもキリがない」「面倒」の他に、「やり方がわからない」「どんな洗剤が有効かわからない」といった声も聞かれました。
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家庭内のどこにどのくらいの数の菌が付着しているかを調べると、キッチンスポンジ(掃除用)はほとんどの家庭で菌数が多く、台ふきんはキッチンの排水口とほぼ同レベル、調理台や食卓、ダイニングの床はトイレの床と同レベルの菌がいました。
菌の種類で要注意なのは、キッチンの排水口と冷蔵庫の野菜室。冷蔵庫の野菜室は約3〜7℃に保たれているにもかかわらず、食中毒原因菌を含むことで衛生指標菌とされる菌群(腸内細菌科)が他の場所と比べて多く検出されました。野菜に付いた土に由来する可能性が考えられます。冷蔵庫は除菌していない人も多い場所だけに注意したいものです。
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菌数調査の結果をもとに、菌数の少ない家庭と多い家庭、それぞれの拭き掃除行動を見せてもらいました。どちらの家庭も「除菌したい」という意識を持っていましたが、菌数が少ない家庭は除菌表示のあるスプレーや使い捨てシートを使用している家庭が多く、拭き方も、全体をしっかり、まんべんなく拭いている傾向がみられました。それに対し、菌数が多い家庭では、台ふきんで水拭きをしている家庭が多く、アルコールスプレーを使っていても拭き方にムラがあるなどの違いがみられました。
除菌を意識して拭き掃除をしているのに菌数の多い家庭がみられたのは残念なこと。除菌は、除菌表示のあるものを選び、拭き残しがないようにまんべんなく拭くことがコツです。また、台ふきんやキッチンスポンジ(掃除用)など菌が多くなりがちな道具や、冷蔵庫の野菜室のように衛生指標菌が高頻度で検出された箇所は、注意して定期的な除菌を心がけましょう。
家中の除菌と考えると、キリがないように感じてしまいますが、菌数の多い箇所や拭き方などポイントを押さえて効果的に除菌することで、目に見えない菌から家族を守りたいですね。
調査概要
「普段のくらし・家事に関する調査」
◎2008年3月、2018年3月/調査員による個別訪問留置調査/首都圏在住20〜60代既婚女性/各645人
「掃除に関する意識調査」
◎2018年7月/インターネット調査/全国20〜60代既婚女性/ 827人
「菌数・菌叢に関する調査」
◎2017年6月、2018年9~10月/アンケート調査と拭取り検査/首都圏・近畿圏在住の家庭/2017年46人、2018年90人
「掃除方法に関する調査」
◎2019年4~5月/家庭訪問インタビュー/2018年「菌数・菌叢に関する調査」対象家庭/10人
「普段のくらし・家事に関する調査」
◎2019年7月/インターネット調査/首都圏在住20〜60代既婚女性/450人