特集

【本気の防災Vol.3】東日本大震災から10年
どこに避難する?withコロナ時代の災害への備えと対策

2021.03.09

東日本大震災から10年 どこに避難する?withコロナ時代の災害への備えと対策

東日本大震災から10年たった現在、震災を経験した生活者の防災対策はどうなっているでしょうか。地震の被害を受けた岩手・宮城・福島の東北3県と、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を対象に2020年12月に調査したところ、コロナ禍での災害・避難について多くの不安を抱えていることがわかりました。コロナ禍の自然災害に対して私たちはどのように備えるべきか、特定非営利活動法人「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」監修の実践的なアドバイスなども紹介します。

東日本大震災の経験が防災対策に影響

「東日本大震災以降、防災の意識が高まったか」については、東日本大震災の被災経験がある人で77%、被災経験のない人でも66%が、「そう思う」、「ややそう思う」と回答していました。被災の有無にかかわらず、いずれも防災意識は高いですが、被災した人の方が数値も高く、東日本大震災の経験が防災意識に影響を与えていると考えられます。 

東日本大震災以降、防災への意識が高まった

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また、被災経験の有無にかかわらず、多くの人が家庭で何らかの防災対策をおこなっていました。

家庭でおこなっている防災対策

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具体的な対策としては、「飲料水の備蓄」、「非常用食品の備蓄」、「トイレットペーパーや常備薬など生活用品の準備」などの家庭内ストックや、「家具などの転倒防止」、「ハザードマップの確認」、「非常持ち出し袋の準備」、「簡易トイレ・携帯ラジオなど防災用品の準備」などがあがりました。
いずれの対策においても被災した人の方が実施率は高く、東日本大震災での被災経験の有無で差のある結果となりました。

被災経験者が日頃から心がけている災害のための備え

東日本大震災をきっかけに防災で意識するようになったこと、今でも継続しておこなっていることには、以下のような声がありました。

飲料水は絶対に必要。震災以来、寝るときはパジャマではなく、いつでも外に出られるスウェットなどを着て寝ている。厚手の靴下を用意。携帯電話はいつも充電してある。 (岩手/53歳・女性)

野外で飲食、寝泊まりできるようにキャンプ道具をそろえた。 (岩手/52歳・男性)

被災時の集合場所について決定した。 防災グッズやガソリンの残量について常に確認するようになった。 (宮城/28歳・女性)

現金を多めに自宅に置いておくようになった。地震が発生したら津波を意識し高い場所に避難する。 (宮城/32歳・女性)

水やカップ麺などを備蓄するようになった。家具が転倒しないように固定したり、落下してきそうなものは外したりした。 ラジオや懐中電灯などは、わかりやすい所に置いておくようになった。 (埼玉/35歳・女性)

水や食料は最低3日分は常に置いておくようにしている。ガスが止まったとき用に、カセットコンロも常に置いている。水が止まるとトイレが困るので、簡易トイレも買った。 (神奈川/37歳・女性)

東日本大震災の経験を経て、またあるかもしれない災害のために、家の中での準備や、避難を想定した「事前に備える」行動をとっている人が現在も多数いました。

コロナ流行下で災害が起きてしまったら…?

現在の新型コロナウイルス感染症の流行下で、もし災害が起きてしまったら、と考えたことはないでしょうか。

調査で「コロナ禍でもし災害が起こった場合、どんなことに困りそうか」をたずねてみると、避難所の三密や感染対策に不安を感じている声が多く出てきました。コロナ感染不安から避難所に行くことをためらったり、自宅での避難を考えたりするなど、災害対応にも影響を与えていました。

コロナ流行下で災害が起こった場合、困りそうなこと

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避難所が密になりそう、感染対策がおろそかになりそう。 (岩手/41歳・女性)

避難所にたくさん人が集まって集団感染するリスクが高まる。 (宮城/39歳・女性)

避難所の収容人数が減り、本当に必要な人が避難所で生活できない可能性がある。 (宮城/31歳・女性)

避難所に行くべきか?で悩みそうだ。 コロナウイルスが心配で、避難所生活が怖い。 家族で車中泊することになりそうだ。 (千葉/59歳・男性)

自宅で過ごせるよう食糧の確保。断水すると、手洗い・うがいができず困る。 (千葉/66歳・女性)

衛生面で困りそう。マスク、消毒液、消毒用ウエットティッシュを常備している。 (福島/63歳・女性)

コロナ禍における避難の考え方

では、コロナ禍で災害が起きたとき、私たちはどのように行動すればいいのでしょうか。コロナ禍における避難の考え方とポイントを、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)にうかがいました。

災害時は、まず命を守ることが鉄則です。今までは「いかに早く避難するか」がポイントでした。しかしコロナ禍では、自宅に留まったり、宿泊施設を利用したり、分散避難をしたりするなど、避難のあり方が大きく変化しています。

避難は、①一時的に「難を逃れる」ことと、②その後、生活基盤が落ち着くまで続く「避難生活」との2つの軸で考える必要があります。短期的な避難だけではなく、長期的な避難も含めてシミュレーションをおこない、家族や関係者間で共有しておきましょう。

【避難の際の手引き】

●避難所の状況を確認する
災害によっては避難所そのものが危険なケースもあり、必ずしもすべての避難所が開設されるわけではありません。自治体の公式サイトなどで、災害が起こったとき開設されている避難所を確認し、定員やその時点でどの程度埋まっているかも見ておく必要があります。
また、ご自身の家族構成やペットの有無など、必要な支援に応じた避難所を選びましょう。

●どこに逃げるかを総合的に判断する
コロナ禍における避難では、避難所を設置する自治体側も率先してスペースの確保やマスク・消毒用アルコールの備蓄などをしていますが、感染の可能性がゼロではありません。特に感染リスクの高い高齢者や持病のある方、小さなお子さんがいらっしゃる方は、他の選択肢も検討し、避難所が最善の場所なのかどうかよく考えましょう。

分散避難

新型コロナウイルスの感染リスクを考慮し、「分散避難」も視野に

●避難する場所に応じた心得

避難所に行く場合
コロナ対策として、マスク、手洗いと消毒、密を避けることはもちろんですが、体温計での検温や行動記録を取ることも大切です。また、厚生労働省の新型コロナウイルス感染者接触確認アプリ「COCOA」をインストールしておきましょう。

避難所生活でよく言われるのは「我慢をしない」ことです。トイレを我慢したり、トイレに行かないようにと飲み物を控えて健康状態が悪化することもあります。困っていることは、きちんと避難所の運営をおこなっている自治体職員などに状況を伝えることが大切です。

避難所イメージ

感染症対策のため設けられたテントが並ぶ避難所

自宅に残る場合
地震の場合には、自宅の築年数や耐震強度などを考えて判断しましょう。風雨災害の場合には、ハザードマップで浸水や土砂災害の危険性がないかを確認をします。また、自宅避難をする場合には、最低でも数日間、できれば1週間以上の備蓄が必要不可欠です。
さらに、自宅にいることを誰も知らないと行政からの支援を受けることができません。孤立してしまわないように自治体に自宅避難をしていることを伝えましょう。

[関連記事]
家での備蓄品やローリングストック法などは、こちらの記事で紹介しています。

宿泊施設や親戚宅に避難する場合
密集・密接を避けるための「分散避難」を考えると、宿泊施設や親戚宅への避難も選択肢の一つです。親戚宅へ身を寄せるためには、日頃からコミュニケーションを取っておきましょう。

自家用車に避難する場合
以前はエコノミークラス症候群の危険性から車中泊はしないように言われていましたが、自治体によっては、車中泊を前提にトイレを準備した駐車場を用意しているところも出てきました。

新潟大学特任教授で医学博士の榛沢和彦先生によると、血栓によるエコノミークラス症候群を防ぐために注意したいのは以下の点です。
①弾性ストッキングや着圧ソックスを着用する
②水分をこまめに摂る
③睡眠時は足と体を水平にし、休憩時にも足が下がらないように工夫する
④足の指でグーとパーを繰り返す、ふくらはぎを軽くもむなどの足のマッサージを、3時間に1回を目安におこなう

車中泊イメージ

【コロナ禍の避難で準備しておきたい物】

コロナ禍での準備としては、従来の非常持ち出し袋に、「体温計・アルコール消毒液」のセットを加えましょう。マスクは、洗うための水の確保が難しいケースがあるので、使い捨ての不織布マスクをたくさん用意しておくのがおすすめです。また、防塵マスクがあると、土砂災害が起きた後に立つ砂ぼこりの吸引防止に役立ちます。

非常持ち出し袋

約1カ月前の2021年2月13日にも、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震がありました。
地震に限らず、台風や大雨などでいつ災害が起きてもおかしくない昨今、さらにコロナ禍で今までとは違った対応が必要になります。災害が起きてからではなく、起きる前に家族で話し合い、地震、台風など災害の種類に応じてどこに避難するかのシミュレーションをしておくことが大切です。

また、それに応じた備蓄や、家族内で待ち合わせの場所や連絡方法を決めておくこと、親戚や地域の方とのコミュニケーションを取っておくことも大事なことです。
「備えあれば憂いなし」この機会に、withコロナ時代の新しい災害への備えを始めましょう。

調査概要

◎2020年12月/インターネット調査/東北3県(岩手、宮城、福島)在住25~74歳男女/400人、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)在住25~74歳男女/400人

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