2016.03.02
※「くらしのデータ」は2019年版に更新。記事は2016年3月に作成されたものです。

東日本大震災から5年が過ぎて
何気ない日々のくらしを見つめ直す

2011年3月11日に起こった「東日本大震災」。未曾有の被害をもたらした戦後最大の自然災害によって、それまで当たり前だと思っていた暮らしが大きく揺さぶられました。そして、何気ない日常のありがたさ、大切さを強く感じました。

その中で、社会や地域全体が連携して困難に立ち向かっていきました。 首都圏でも、それまではあいさつ程度だったご近所どうしが声をかけ合い、お互いを気にかけて状況や困りごとを聞くなどの関係性が生まれ、それが“絆”という言葉で表されました。そしてそこには、被災地におもいを馳せながら、「計画停電」などによる生活に生じるさまざまな状況に対し、みんなで助け合い、つながり合って非常事態に立ち向かい、知恵と工夫で暮らしに前向きに取り組む姿がありました。 そのときに皆さんからお聞きした暮らしの状況やおもいを今、振り返ってみると、5年前、自分の生活にとって大切なものは何かを考え、日常生活のムダを見直していたことがわかります。

[生活へのおもい] つながりの大切さを実感し、絆が深まった

震災によって、家族や社会とのつながりを再認識しました。お互いをいたわり、仲良く暮らすことを強く意識するなど、家族を大切に思い、一緒にいられることに感謝するきっかけになりました。また、いざという避難に備えて家族が布団を並べて寝たり、風呂の追い炊きをなるべくしないように続けて入浴したり、照明の節電のために1つの部屋に集まったり、家族みんなで協力しながら節電・節水に取り組んだことが、コミュニケーションを深めることにつながっていきました。

家族みんなで当たり前のようにいられることに感謝。(20代女性)

その日その日を大切に暮らしていこうと思う。(60代女性)

親から子へ、物の大切さ、人との大切さを教えていきたい。(40代女性)

自分だけよければ良いという考えはしたくない。(30代男性)

[健康へのおもい] 自分の体は自分で守る!体力作りに意欲

震災後は、自分自身の健康を見直す機会にもなりました。震災直後は長引く余震や、生活の変化によるストレス、放射能の影響をはじめとするさまざまな不安などで、「ぐっすり眠れない」などの不調を訴える人が見られました。その一方で、「子どもを守るため」「人に迷惑をかけないように」などのおもいから、体力づくりや健康への意識の高まりが見られました。

いつまでも元気に動ける体でいるために、歩いて筋力、体力をつけておきたい。(70代女性)

自分がしっかりしていないと子どもを守れない。体力はもちろん精神的にも強くならなければ!(30代女性)

災害に備えて、歯の治療や持病は治しておきたいと思う。(60代男性)

[美容へのおもい] 美容は気持ちを上げるために大事なこと

震災直後は暮らしていくことに精一杯でしたが、髪や肌に手をかける時間をつくることで、沈みがちだった気持ちが落ち着き、明るい気分になれることも実感しました。

震災3週間後に美容院に行ったら、明るい気持ちになれた。(20代女性)

やっぱり美容は大切。面倒くさがらずに、丁寧にお手入れをすると肌の調子が良くなった。(40代女性)

[家事行動] 節電・節水のための行動から新たなメリットを発見

「計画停電」は、掃除、炊事、洗濯といった家事行動を直撃。震災直後は洗濯や掃除の回数が減少しました。その分、家事のやり方を変えた人も多く、さまざまな工夫や価値観の変化が見られました。
節電・節水をきっかけに始めたことが、継続していくうちに、時短や手軽さなど、自分にとっての新たなメリットの発見にもつながっていきました。

炊飯器でなく、土鍋でごはんを炊いたら早く炊けるし、おいしい。(30代女性)

掃除機をかける回数を減らし、こまめに拭き掃除をしたら、逆にほこりが少なくなった。(50代女性)

小さな子どももいないので、毎日洗濯しなければいけないものはないと気づき、回数を減らしたら、時間的にも楽になった。(60代女性)

5年前の生活の知恵・行動の中には、根づいたものがある一方、減少しているものもあります。
今の暮らしを見つめ直し、あらためて取り入れられることはないか、考えてみませんか。

くらしのデータ
~震災当時の行動と現在~

■家族とのコミュニケーションは良好である

震災直後も5年経ても、家族の絆は変わらない。

「家族とのコミュニケーションは良好である」のグラフ 2006〜2018年

首都圏在住20~60代既婚男女
(花王 生活者研究センター調べ)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

■震災後の生活変化

どれも2011年5月と比べて減少傾向に。

  • 【健康】「早寝早起きをしている」のグラフ 2011〜2018年

  • 【入浴】「なるべく追い炊きしないように、家族が続けて入る」のグラフ 2011〜2019年

  • 【掃除】「床を雑巾で拭く」のグラフ 2011〜2016年

  • 【調理】「炊飯器や電気ポットの保温機能を使わない」のグラフ 2011〜2019年

首都圏在住20~60代既婚女性
(花王 生活者研究センター調べ)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

■節電・節水に気をつけている人の割合

  • 節電に気をつけている人の割合のグラフ 2011〜2019年

  • 節水に気をつけている人の割合のグラフ 2011〜2019年

首都圏在住20~60代既婚女性
(花王 生活者研究センター調べ)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

調査概要

◎ 2011年3月・4月・5月・6月/インタビュー調査(家庭訪問、電話等)/首都圏・大阪・名古屋在住20~70代女性/46人

◎ 2011年4月/写真調査/全国(東北関東の一部を除く)20~70代男女/395人

◎ 2011年3月・4月・5月・9月、2012年1月、2013年1月、2014年1月、2015年1月、2016年1月、2017年1月、2018年1月、2019年1月/インターネット調査/首都圏在住20~60代既婚女性/各約500人 

◎ 2006年9月、2008年9月、2010年9月、2011年9月、2012年9月、2014年9月、2016年9月、2018年9月/インターネット調査/首都圏在住20~60代既婚男女/男性各269、256、820、500、896、864、890、954人、女性各711、687、856、500、938、932、931、956人

\ 読者から寄せられた感想 /

何気ない暮らしこそ、突然自分以外の要因で壊れてしまうことがあります。だからこそ、毎日毎日を大切にしていかないといけないということを、改めてこの記事を読んで思い出しました。もう一度見つめ直したいです。 (42歳・女性・東京)
 

震災によって普段の何気ない生活がどれだけ幸せなことか、そして大切なことかを実感している方が多いのを改めて実感しました。日ごろから、家族の絆を意識して生活することでステキな未来が訪れるといいと思いました。  (48歳・女性・神奈川)
 

震災から5年、早いような まだ5年しか経ってないような、色んな思いが巡ります。本当に大切なものは何かを考えるようになった人が多いのは、やはり震災から学んだことなのでしょう。 (40歳・女性・宮城)

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