私は現在マステージブランドグループの内、メイクブランド「KATE」でマスカラなどの商品開発を担当しています。KATEは"No more rules"というブランドスローガンを掲げ、「リップモンスター」など最新トレンドを切り拓く商品を多数開発しています。
商品開発はアイディアを形にする仕事です。流れとして、まず最初に自分の作りたいものを考えたうえで、商品ごとに詳しくターゲットとなる使用者を想定し、半歩先の提案ができるよう社内各部署に向けて商品コンセプトを立案します。可能な限り、使用者の生活習慣や背景、美容意識を深く理解しておくことが、後に心に響くコンセプトが作れるポイントになります。その他にも、普段の自身のちょっとしたメイクテクなどを分析することにより大ヒット商品に繋がる事もあります。
立案後、開発担当は研究所や生産部門を始めとした関連部署のパイプ役となり、周囲を巻き込みながらスケジュールを進行していく上で一番重要な役割を担います。特に中身の細かい色味や質感から外箱パッケージの寸法・デザインについて、担当者同士でああでもない、こうでもないと日々検討しながら商品へと形作っていきます。試作段階のサンプルを自分の顔で試すことも多々あるので、日々目元や唇が足りないなと実感しています。（笑）

KATEブランドの新たな挑戦の一つとして、LINE内コンテンツの「KATE MAKEUP LAB.」という顔分析システムの開発プロジェクトに参画しました。お客さまの顔のパーツ比率を撮影して分析することで、顔の特徴を捉えたその方に最もおすすめのメイク方法を提案するというものです。作成初期段階でまずは自分の顔を自撮りしたのですが、毎日よく見ているはずなのに改めて自分の顔をパーツ別にじっくり見ると新たな発見がたくさんありました。
お客さまもきっと普段見ている自分の顔に対して全く異なるメイク提案が出てきてしまうと困惑すると思い、パーツ比率の結果に応じて出来るだけ個人に沿った提案ができるよう試行錯誤を重ね細かくカスタマイズしました。その結果、サービスリリース後「パーツ分析とメイク提案の納得感がすごい！」とお客さまから喜びの声がSNSでも沢山寄せられました。
商品開発の業務は、努力の結晶が「商品」や「サービス」として目に見えるものとして世の中に出ていきます。自分の商品が店頭に並び、ブランドの売り上げ同様に具体的な数字として可視化されることが一番嬉しいです。また、SNSで商品口コミもよく検索するのですが、特にお褒めの言葉は元気が出ます。いくつになっても褒められるのは嬉しいですね、頑張った実感が湧きます。

ここ数年で、薬局やバラエティショップで中国・韓国ブランドのコスメが台頭してきましたが、見た目も可愛く、特徴的な使用感で心をくすぐる商品がたくさんあります。
日々変わる人々の欲求やトレンドに応えるため、商品開発担当として一日でも早く流行の芽を形にすることに尽力していますが、海外の会社にスピード感で遅れを取ることもあります。花王は世界の中でも品質について高い定評がある分、安心・安全を担保するための確認に時間を要すケースもあり、この先さらに改善していくべき部分だと認識しています。
花王の高品質な商品開発に、海外特有のスピード感を持たせることによって、トレンド性の高い商品を速いスパンで開発することができ、世界中に更に広めることが出来ると考えています。
私自身、中国にルーツを持っているという事もあり、現地の文化的な背景やコミュニケーション方法を理解している分、その強みを活かして中国との橋渡しの役割を担っていきたいと思っています。

多様性という言葉が最近よく語られますが、メイクアップの多様性は「好きな自分」を認めることから始まると思います。自分の物差しを持つことで、他者への理解も深まります。
また、私は多様な「好き」への寛容性が特に重要だと思いますが、あわせて生活習慣や文化的な背景などを含め理解することが必要だと感じます。
KATEチームには様々な個性を持った担当者がいますが、共通しているのはメイクや化粧品が好きなのはもちろん、年齢・性別関係なく自分と他人の好きなものを認めることができる所だと思っています。
様々な個性を持った人たちが集まることで、普段の何気ない会話からも新たな発見が生まれたり、アイディアが生まれることがあったりします。KATEチーム内では最近気になっている商品やイベント、好きなアイドルなど一見仕事に関係ない雑談がよくされているのですが、そこから商品につながるアイディアがポンポン生まれたりするので、毎日新鮮な学びがあって楽しいですよ。
そんな多様性の塊のチームに新たな風を吹かせてくれる方が来てくれることをチームメンバー一同楽しみにしております！