私は、学生時代からコピーライターを志望し、セミナーにも通っていました。就職活動時に、身近な製品をつくっているメーカーであり、かつコピーライター職を採用している花王が、とても魅力的に映りました。花王のコピーライターは、消費者の方々が直接目にするコミュニケーションツールのコピーやビジュアルづくりに取り組んでいます。店頭販促物の他、新製品のネーミングやパッケージのコピー、テレビCM、Webサイトなどの企画・制作も手がけます。もちろん、上司や先輩社員をはじめ周囲の方々からきめ細かくフォローやアドバイスはしてもらえますが、私のようにまだキャリアの浅いコピーライターでも、広告づくりにトータルで携わることができるというのは、緊張感を伴う反面非常に手応えのある仕事です。

現在、私は「ビオレ」ブランドのメイク落としや汗ふきシートと、「キュレル」ブランドを担当しています。私が入社3年目に任された大きな仕事は、オイルメイク落とし「ビオレ パーフェクトオイル」のテレビCMの制作でした。企画コンテの作成から撮影・ポストプロダクションにまで関わりましたが、撮影監督やカメラマン、スタイリストとの打ち合わせなどは、スケジュールの都合上ひとりで受け持つシーンも多くありました。この時のテレビCMでは「ビオレ パーフェクトオイル」で従来から訴求していた「濃いメイクを落としたさっぱり感」に加えて、今の女性のメイク意識や実態にもフィットできるようなコミュニケーションにすることがテーマのひとつと想定し、そうした目的をかなえられるように、メイクや美術などについても、自分なりのアイデアを積極的に発案しました。自分が関わったCMを世に送り出せたことは、やはり嬉しかったですし、オンエア後に高く評価されたことも大きな自信につながりました。

自分の果たすべき役割に対して、未熟な点が山ほどあることは言うまでもありません。テレビCMの現場に行けば、一緒に制作をする社内外のメンバーは、圧倒的に自分よりキャリアの高い方々であるケースがほとんどです。そんな中でも、自分の考えていることやアイデアは、できる限り積極的に発案していきたいと思っています。花王内部にいるスタッフとしては、表現に関する制約や、製品についての情報を漏れなく伝え、メンバーが納得して撮影に臨めるように努めることも重要ですが、一人のコピーライターとしての、アイデアを認めてもらうことも目標としています。花王のスタンスは大切にしつつ、そこにどれだけクリエーターとして自分なりの発想をコミュニケーションに盛り込んでいけるか、また、外部の人たちに同じクリエーターだと認めていただけるかが、今後の課題だと考えています。

時折、外部のクリエーターと打ち合わせをする際に、キャリアの浅さから気後れしてしまうことがあります。そんな私でも、自信をもって断言できることがあります。それは「本当にこの製品は良いです」という想いです。そんな、「よきモノ」を、ひとりでも多くの消費者に実感してもらいたいという想いを、コミュニケーションづくりに注げることが、花王のコピーライターの幸せなところであると思っています。そんな花王のコピーライターに魅力を感じていただける方と、一緒に働けることを心待ちにしています。