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弊社が一時製造・販売中止を行なった理由

 エコナ油は、世界的に認められた安全性試験(急性毒性試験、遺伝毒性試験、反復投与毒性試験、長期栄養試験、発がん性試験、生殖毒性試験、加熱処理ジアシルグリセロール油の安全性試験、発がんプロモーション試験など)において、一般の食用油と比較して安全性に問題は認められていません。

 しかし、2009年6月になって花王独自の分析によりエコナ油にグリシドール脂肪酸エステルが一般食用油に比べて多いことが分かり、厚生労働省に報告しました。グリシドール脂肪酸エステルは発がん性を含めて安全性の懸念を示す報告はないものの、分解すると発がん性が懸念されるグリシドールが生成する可能性が指摘されており、現在食品安全委員会において審議されています。

 現時点では体内での吸収・代謝・排出などグリシドール脂肪酸エステルの体内動態に関しての知見はほとんどありませんが、体内で分解して100%グリシドールに変わったと想定したときのワーストケースでのリスクを暴露マージン(MoE)という指標で算出することができます。MoEとは、動物において確認された腫瘍のできる量をヒトの推定摂取量で割って算出される値で、一般に10,000を超えると健康上の危惧は少なく、リスク管理の優先順位も低いと考えられています。
 エコナ油のワーストケースでのMoEは約250*1)と報告されました。この値は、10,000に比べてかなり低い値ではありますが、酒類中のエチルアルコールやコーヒー中のカフェ酸、揚げたジャガイモ等に含まれるアクリルアミドなどのMoEも低い値とされています。私たちはこれらの食品を日常的に摂取しており、日本をはじめ世界中で、これらの食品の摂取低減を推奨するものの規制は行なわれておりません。すなわち、エコナ油に含まれるグリシドール脂肪酸エステルは、全てがグリシドールに変わるというワーストケースを前提としても、これらの食品と同程度のものと考えられます。
 しかしながら、不純物としてグリシドール脂肪酸エステルが明らかになった以上、できるだけ早く低減すべきと考え、2009年9月、エコナ関連製品の生産・販売を中止しました。

  • * 1 内閣府食品安全委員会 第62回新開発食品・第75回添加物合同専門調査会において、エコナ油で、グリシドール脂肪酸エステルが100%グリシドールに変わるとする最悪のケースの場合の算出されたMoE値が報告されました。
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