大人用おむつの
開発ストーリー

リリーフ開発までのストーリー

花王のサニタリー商品は、1979年発売の生理用品「ロリエ」からスタートしました。ロリエは、国内で初めて「高分子吸収体」を採用し話題となりました。この技術を用いて、ベビー用おむつ市場に進出し、1983年に「メリーズ」を発売しました。メリーズの特徴は「全面通気性シート」で、こちらも全国初の試みでした。

80年代後半から高齢者問題が顕在化し、花王でも「高分子吸収体」「全面通気性シート」などこれまでに培った技術を元に高齢者向け製品を開発することになり、1990年に高齢者向けに軽失禁用パット「リリーフパット(当時の名称で、現在はリリーフ消臭安心ガード)」を発売するに至りました。現在では、大人用おむつ・軽失禁ケア商品「リリーフ」として、軽失禁パッドから尿とりパッド、パンツタイプ、テープ式まで、ご使用者のお身体の状態に合わせた幅広いラインナップを取り揃えています。

リリーフの開発理念

我々は“モレない”“ムレない”“におわない”の基本性能プラス“はき心地(つけ心地)のよさ”を柱として、大人用紙おむつ・軽失禁パッドの開発を続けています。こうした取組みを通して、排泄ケアはもちろんのこと、心のケアへもアプローチしたいと考えています。今を自分らしく前向きに過ごしたいと願うご本人と、それを支え応援するご家族のお役立ちができるよう、今後も絶え間ない基本性能の向上と、限りなく“下着に近いはき心地(つけ心地)”を目指していきます。

リリーフの付加価値

「リリーフ」の付加価値は、“はき心地(つけ心地)のよさ”という製品自体の付加価値だけでなく、排泄ケア総合相談窓口「花王・リリーフふれあいダイヤル」を開設しているというサービス面の付加価値もあります。

我々がどれだけ良いと考える製品を開発しても、皆さまに正しく使用していただかない限り、ただの独り善がりになってしまいます。そこで花王は製品のクオリティを高めるほかに、ご使用者のお身体の状態、商品の使い方等を正確に把握し、適切な情報提供を行うことで、ソフト・ハード一体型のサービスを提供しています。「花王・リリーフふれあいダイヤル」にご相談いただいた皆さまのお声は、直ちに開発チームにフィードバックされ、製品の開発に役立てています。

「リリーフ」ご使用者・介護者の方々へお伝えしたいメッセージ

「リリーフのよさをお分りいただいて感謝のみ!」です。
心からお礼申し上げたいと思います。

排泄ケア商品を使うことは恥ずかしいこと、おむつイコール人生の終わり、と思われている方が依然として多いのが現実です。しかし、排泄トラブルは誰にでも起こりうることであり、排泄ケア商品を使うことは決して恥ずかしいことではありません。

我々は、排泄ケア商品を眼鏡や杖のように誰もが当たり前に使える社会の実現を“よきモノづくり”を通してサポートしていきたいと考えています。
今後も皆様のご期待を裏切らないように、意欲的に開発に取り組んでいきますので、よろしくお願い致します。

グッドデザイン賞受賞の
「はき心地」

超うす型紙パンツ
まるで下着

商品開発の想い

サニタリー研究所
主任研究員
石黒健司

ご高齢になりトイレに不安を抱えるようになっても、「おむつだけはどうしてもはきたくない」。これが、リリーフをご使用いただく方々の本音だと感じています。
一方で、「外出先で排泄に失敗したくない」というお気持ちから、家に閉じこもりがちになり、ますます老いてしまうという悪循環が起きていました。

そんな方々のために、「おむつ」ではなく「下着のような感覚で使えるパンツ」を開発すること。
これは、私たち排泄ケア用品をつくる者の使命だと思ったんです。

開発にあたり一番こだわったのは、もちろん<うすさ>です。従来の紙パンツは、モコモコとシワになってしまうことで、ズボンの上からでもはいていることが分かってしまいます。
そこで、生地自体が伸び縮みする新素材を開発しました。体にフィットしてシワになりにくい、この新素材のおかげでズボンの上から目立たないパンツを実現できたんです。また、被服構成学の視点から「高齢者の体型に合わせた型紙」を開発し、普通の下着と同じように上げ下げできる設計にしています。

「おむつをはくのではなく、下着をはきかえる」ぜひ、そんな感覚で使っていただきたいです。このパンツで、トイレの心配なんか忘れてほしい。今までどおり元気に外出して、充実した生活を送ってほしい。心からそう願って、開発したパンツです。


ウエスト部分の比較

グッドデザイン賞 審査員からのお言葉

紙おむつを着けていることが着衣の上から分かるようでは、外出する気も失せてしまう。そんな心理をくみ取り、紙おむつが必要な人でも社会との関わりを維持できるようサポートしてくれる商品。伸縮範囲が広く、しかも薄いので、紙おむつとしての違和感も少ないなど、細かい配慮がある。

グッドデザイン賞とは

グッドデザイン賞は、1957年にスタートした、わが国で唯一の総合的デザイン評価・推奨の仕組みです。グッドデザイン賞は、単に美しさを競うデザインコンペではありません。「優れたデザイン」を社会に普及させていくことで、生活をより豊かにすることと、産業の発展とを同時に後押ししようとする活動です。

財団法人・日本産業デザイン振興会主催
経済産業省、東京都など多数後援

おむつが「モラさない」理由

プロフィール
ヒューマンヘルスケア研究センター サニタリー研究所
主任研究員 石黒健司

紙おむつの基本構造

紙おむつは大きく分けて「表面材」「吸水材」「防水シート」の3層で構成されています。まず、肌に直接触れて尿をキャッチする部分の表面材は、"不織布"という素材によって、おむつの表面をサラサラな状態に保ちます。表面材を通過した尿は、瞬時に表面材の下にある吸水材に入ります。この吸収材には「高分子吸水体(高分子ポリマー)」が含まれ、自分の質量(重さ)の50倍以上もの尿を瞬時に吸収して固めるので、尿がもれず、体圧がかかっても逆戻りもしません。おむつの1番外側は、尿を外にもらさないための「防水シート」です。防水シートには、 "全面通気性シート"が用いられ、全面に肉眼では見えないミクロの穴が開いている特殊素材のシートです。尿はもらさず、水蒸気だけ外に逃がし、おむつの中の湿度を下げるので、この穴は、水蒸気などの気体は通しますが、尿などの液体は通しません。尿はもらさず、水蒸気だけ外に逃がし、おむつの中の湿度を下げるので、ムレによる肌トラブルが防げます。

吸収体の中の「高吸水性ポリマー」の構造

高吸水性ポリマーとは?

網目のような「分子の鎖」が、「塩(えん)」をつかまえている形をしたものが高吸水性ポリマーです。そのメカニズムはポリマーの表面が、浸透圧によって水を吸い込むことにあります。水は、塩の濃度の薄いほうから、濃いほうへと移動する性質を持っており、高分子吸収体の中には塩が多くあります。そのため、高分子吸収体に水をつけると、水は塩の濃度が濃い高分子吸収体の中へ移動します。

また、網目のような分子の鎖は、たくさんの水を吸収してもゼリーの形(ゲル)を保つことができるので、圧力をかけても尿はしみ出しません。高分子吸収体の技術によって、紙おむつの吸水性と保水性は飛躍的に向上し、もれや肌への逆戻りが大きく改善されました。その結果、1枚あたりの紙やパルプの使用量が減って薄く軽くなり、紙おむつの軽量化、コンパクト化が進んだのです。

百聞は一見にしかず、高吸水性ポリマーの脅威の吸収力を動画でご確認ください。

ポリマーの吸水実験

※ポリマーは吸い込むと人体の中で膨らみ、危険です。絶対にマネをしないでください!

ポリマーはこんなところにも使われている

砂漠でも植物栽培で活用

網砂漠に樹木を植林する際、樹木の根を高吸水性ポリマーでくるみ、たっぷり水を含ませて植え込んでいます。

保冷剤で活用

保冷剤の中身の多くは、高吸水性ポリマーに水を含ませたもので、食品の鮮度保持や熱さましなどの吸熱剤などに利用されています。

手品で活用

手品のタネがわかってしまいますが、上記「驚きの吸水力はコチラ!」の動画のようにすれば、コップの中にあった水が逆さにしてもこぼれません。

ムレ・かぶれを防ぐ
「通気性シート」の秘密

ムレは肌トラブルの大敵

高齢になると、肌の新陳代謝が低下し、肌の水分が減少します。乾燥した高齢者の肌は、汗や排泄物の刺激に対して非常に敏感です。高齢者と成人の肌を比較すると、成人は腕とお尻の肌の状態では差がありません。高齢者の肌は、腕が本来の弱酸性であるのに比べ、お尻の肌は、おむつの使用で尿などの刺激を受け、pHバランスがくずれてアルカリ性になりやすいことがわかります。

高齢者は、おむつの使用以外にも入浴の機会が少ないなど、排泄物や汗が皮膚に付着したままの状態が長く続き、肌が常にムレやすいのです。おむつで覆われた臀部・下腹部周辺は、肌の細胞がふやけて傷つきやすいので、汚れや摩擦などの刺激を一層受けやすくなります。

ムレを防ぐおむつのポイントは
「通気性」

おむつのムレはモレとともに使用者の大きな悩みです。お肌のムレを防ぐためには、通気性のあるおむつを使うことが最も大切です。選ぶ際のポイントとして、外側の「防水シート(バックシート)」に通気性素材が使用されているかどうかチェックするとよいでしょう。通気性素材は、尿をしっかりガードして、おむつの中の湿った空気をどんどん外に逃がすので、ムレる心配がありません。

「通気性シート」のしくみ

通気性素材でできた全面通気性シートは、シートの全面に肉眼では見えないミクロの穴が開いています。この穴は湿気などの「気体」は通しますが、尿のような「液体」は通さない大きさです。尿は漏らさず、湿気だけを外に逃がして、おむつの中の湿度を下げます。

水をはじく「通気性シート」の力

通気性シートの特徴として、穴の大きさ以外に防水機能があります。シートの穴の大きさが液体より小さくても、水となじみやすい素材では穴から出てしまいます。しかし、水をはじくものの表面では、水は水滴になってとどまろうとします。紙おむつの防水シートは、水をはじく材料でできているため、シートに穴があいていても尿がモレることはないのです。

濡れたおむつの「通気性の比較」

通気性の比較

おむつの通気性の違いを動画でご覧ください。各々のおむつに熱湯をかけ、コップをその上に置きます。片方のコップは透明のままですが、リリーフにかぶせたコップは、たちまち曇ります。おむつの中のムレた空気(水蒸気)が通気性シートを通過して、外に出るためにコップが曇るのです。 (この動画は1.5倍速で再生しております)

尿とりパッドにも通気性のあるものを!

おむつと尿とりパッドを併用する場合には、おむつだけでなく、尿とりパッドにも通気性があるものを選ぶことがポイントです。せっかく、おむつに通気性があっても、尿とりパッドに通気性がないと結局ムレてしまいます。

花王リリーフは、おむつにも尿とりパッドにも通気性シートを使用しています

花王リリーフは、外側に使うおむつ(パンツタイプ・テープ式タイプ・2wayタイプ)と、その中に入れて使う尿とりパッドのどちらにも通気性シートを採用しているため、長時間ご使用いただいても肌の負担にならず、おむつと尿とりパッドを併用してもムレません。

気になるニオイを抑える
「抗菌消臭ケアシート」の
秘密

ニオイ発生のメカニズム

排泄ケアの障害となる尿のニオイは、ご本人にとっても介護者の方にとっても大きな悩みとなっています。尿は、食物中に含まれるニオイ成分や、代謝の結果発生するニオイ成分により、独特のニオイを持っています。尿は、腎臓で生成され、不要な老廃物として体外に排出されます。おむつに排泄した直後は無菌ですが、時間が経つと雑菌が繁殖し尿中に含まれる成分が細菌によって分解され、より強いニオイが発生します。アンモニアが代表的ですが、実際には多種多様なニオイが発生しています。摂取する食品やその日の体調によって、より刺激的な硫黄系の悪臭成分(硫化水素やメチルメルカプタンなど)が発生することもあります。

おむつの消臭方法は?

介護用紙おむつの消臭手段は、以下のような方法が用いられています。

  1. ミクロな穴に悪臭を閉じ込める物理的な消臭方法
  2. 雑菌の繁殖を抑えることで悪臭成分の発生を抑制する抗菌に伴う防臭方法
  3. 化学反応により臭わない物質に変えてしまう化学的な消臭方法
  4. ほかの香りで悪臭を和らげるマスキングと呼ばれる感覚的な消臭方法

いずれの場合も、消臭効果のある素材(香料、物理的吸着剤、化学的吸着剤、抗菌剤)を、紙おむつを構成する材料に配合するほか、製造する段階でパルプなどの吸収材に散布して消臭機能を発現させています。

リリーフの工夫

リリーフ軽失禁用のパッドには、活性炭のミクロな穴に悪臭分子を閉じ込めることで、ニオイの発生を防止できる「活性炭シート」が使用されています。活性炭は構造上、無数の微細な穴でいろいろな臭気成分を吸着し、多種多様なニオイに対応できるので、排尿初期の尿臭を除去するには、非常に効果的な天然素材です。

炭と活性炭は、一見すると同じです。いずれも吸着性能がありますが炭を加工することによって、その吸着力を増大させた活性炭は1gあたり1000m2以上もの表面積を持ち、その差は歴然です。

活性炭は、物理的・化学的に処理を施して活性化させた炭で、さまざまな有機物から製造できます。代表的な原料としては、石炭やヤシ殻、おがくずが挙げられます。これらの原料を蒸し焼きして炭化させ、更に「賦活(ふかつ)処理」と呼ばれる高熱処理(900~1100度)を行うと、細孔(さいこう)という小さい穴が多数できます。活性炭が優れた吸着性能を持つのはこの細孔構造によるものです。

一方、紙おむつには、独自に開発した抗菌消臭成分が吸収体全体に配合されています。この抗菌消臭成分が雑菌の繁殖を抑え、尿の腐敗により発生する悪臭を強力に抑えます。

また、紙おむつには、自重の数十倍もの尿を吸収できる「高吸水性ポリマー」と呼ばれる素材が多量に使用されています。この吸水性ポリマーは正確にはポリアクリル酸/ポリアクリル酸ナトリウムという有機酸と有機酸塩の共重合ポリマーです。尿素が分解されて発生するアンモニアなどの悪臭成分はアルカリ性なので、上記有機酸部分との中和反応によりにおわない物質に変えられます。このように、失禁に伴う気になるニオイを抑えるために、リリーフには使用場面に適したさまざまな消臭・抗菌の技術を取り入れています。

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