紙おむつを使い始める前に

おすすめする前に

トイレでの排泄がままならなくなることで、ご家族もショックを受けますが、ご本人は想像以上に、恥かしさや不安、深い孤独感にふさぎ込んだりしています。その気持ちを周囲が理解することが大切です。ご本人の自尊心を傷つけないような心づかいを持って接するように心がけてください。

紙パンツをおすすめするときには、「モラさないために使ってもらう」という気持ちではなく、「今までどおりの生活を続けるために」、「これからもまだまだ元気でいてほしい」という気持ちをもっておすすめすると良いかもしれません。超うす型の紙パンツでしたら、ふつうの下着と変わらない感覚で使え、洋服の上からはほとんど目立たないことも、ご本人にとっては安心できるポイントになる可能性もあります。

なお、おすすめするときに、「新しい下着」「紙の下着」「使い捨ての下着」など、「下着」と表現し、「おむつ」という言葉は使わないことをおすすめします。さりげなく「下着」の入っているタンスの引き出しなどに、袋から取り出して、入れておいてあげるのもいいでしょう。冬場などは「暖かいからはいてみたら」などのお声がけも良いようです。

すすめ方のヒント

ここでは、「花王・リリーフふれあいダイヤル」に寄せられた相談をもとに、"紙パンツをすすめるとき"の実例をいくつかご紹介します。

【ケース1】
ポイントは、「自分で上げ下げ」
Tさん/82歳男性の奥さんからのご相談

ご主人が前立腺肥大症の治療中で、特に外出先での失禁が心配・・・。何か尿モレをケアする製品をすすめたいが、どれを選んでよいか迷っています。

【ふれあいダイヤルの対応】

下着のようなはき心地で、自分で上げ下げしやすい「パンツタイプ」がおすすめですよ、とお伝えください。

改善のご報告

「今日病院に行くときに、うす型の紙パンツ1枚を使用しました。使い心地がよいと喜んでいる。安心して病院に行けるようになった。」と、とてもうれしいご報告をいただきました。

【ケース2】
タンスに入れた「下着」
Uさん/75歳男性の娘さんからのご相談

父は、体は元気ですが、少し認知症があり半年ほど前から失禁が始まりました。1日に10枚以上の下着を汚し、洗濯物が増え、乾燥機を使っても追いつきません。頑固でプライドが高く、おむつを嫌がってはいてくれません。紙パンツを使ってくれると助かるのですが・・・。

【ふれあいダイヤルの対応】

「おむつ」と言わずに、「下着」という表現でおすすめしてみてください。下着と同じように、タンスに入れておくのもいいかもしれません。

改善のご報告

「タンスから出して、自分でちゃんとはいてくれました」とのご報告をいただきました。「おむつ」という言葉を使わず、プライドを傷つけないように配慮されたのが良かったようですね。

【ケース3】
厚型でいいの?
Oさん/80歳女性の娘さんからのご相談

母がときどきトイレに間に合わないことが出てきました。薬局に行き、厚型のパンツおむつのLサイズを購入したのですが・・・。脚まわりがゆるいようだし、ゴワゴワして厚ぼったい。何を使ったら良いでしょうか?

【ふれあいダイヤルの対応】

はじめてお使いになるなら、「下着」のようなはき心地でゴワゴワしない、うす型・超うす型の紙パンツからおすすめすると抵抗が少ないです。また、パンツのサイズは、胴まわり(ウエスト)サイズで選びます。全体のサイズが大きめだと脚まわりも大きくなるのでモレの原因になってしまいます。お気をつけください。

改善のご報告

「うす型のもので、Mサイズを試してみたら、はき心地が良かったみたいです。」とのご報告。はいているご本人は、多少はき心地が悪くても、あまりご不満をもらさない方が多いようですので、最初に体に合ったおむつを選ぶようにしてあげることが大切です。

【ケース4】
紙パンツはまだちょっと…
Mさん/88歳男性ご本人からのご相談

失禁パッドを使用しているが、ズレや吸収力に不安がある。でもまだ紙パンツは使いたくない・・・。何か良いものはないか、探しています。

【ふれあいダイヤルの対応】

会合や旅行のときなど、皆さん下着感覚で抵抗なくお使いになられてますよ。ズボンにも響かないので、まわりの人にも分かりませんよ。

改善のご報告

「それでは、うす型のものをはいてみます」と、少しホッとされたご様子でした。長時間のお出かけなどがあるときだけ、“念のために紙パンツ”という使い方もおすすめです。

おむつの種類

まず知っておきたいのはおむつの種類(タイプ)です。
おむつには、大きく分けて、パンツタイプとテープ式があります。さらに、それらと組み合わせて使う尿とりパッドがあります。
たくさんの種類があるので、はじめは戸惑うかもしれませんが、ぴったりのタイプ選びが、排泄ケアの第一歩といえるかもしれません。

  • * この他、布の失禁パンツ、布のおむつ(おむつカバー)やフラットタイプなどもあります。

おむつを選ぶポイント

おむつを選ぶときには、「モレない」ことはもちろん、「お肌へのやさしさ」への配慮や、「消臭性能」、「使用状況」に合わせたおむつ選びが大切です。

おむつを選ぶポイント

通気性があること

肌のムレを防ぐためには、通気性があるおむつを使うことが最も大切です。外側の防水シート(バックシート)に通気性素材が使用されているものを選びましょう。通気性素材は、尿はしっかりガードして、おむつの中の湿った空気をどんどん外に逃がしますから、ムレる心配がありません。おむつと尿とりパッドを併用する場合には、おむつだけでなく、尿とりパッドにも通気性があるものを選び

おむつ内湿度の比較

通気性のないおむつ(テープ式+尿とりパッド)を使用した場合、
排尿後10分程度で、不快を感じる湿度70%を越え、そのまま高い状態が続きます。

濡れた紙おむつの通気性の比較

通気性シートを使用したおむつ(右)では、おむつ内から排出された湿った空気によって、コップの内側が曇っています。


やわらかいこと

おむつの摩擦によって、お肌が刺激を受ける場合があります。やわらかい素材で、肌ざわりがよく、身体にやさしくフィットするものを選びましょう。


抗菌・消臭効果があること

排泄後、時間とともに増えてしまう雑菌の繁殖を抑え、ニオイを防ぐ効果があるものがおすすめです。

ニオイの比較


尿量と交換頻度に合わせて選ぶこと

夜間など、頻繁におむつ交換ができないときは、尿とりパッドを吸収量の多いタイプ(「夜間用」「長時間用」など)に切り替えましょう。


お体の状態や、排泄の状況に合わせて、最適なおむつを選びましょう。

肌トラブル予防のために

肌トラブルを軽視しないで

ムレやカブレなどの肌トラブルは、褥瘡[じょくそう](床ずれ)*など深刻な皮膚疾患の要因になり、介護を受けられる方にも介護する方にも大きな負担がかかります。肌トラブルを起こさないように、ふだんから予防を心がけることが何より大切です。

  • * 褥瘡[じょくそう](床ずれ)
    寝たきりの場合に、腰骨など、骨が出っ張っている部分の皮膚が体圧によって血行不良を起こすもので、進行すると、皮膚とその深部の皮下脂肪や筋肉の壊死にまで至ります。こまめな体位交換や、陰部を清潔にしてムレ・かぶれなどの皮膚トラブルを防ぐことが大切です。

肌トラブルの要因

ご高齢の方の肌は非常に敏感です。

高齢になると、肌を保護している皮脂や、細胞のなかの水分が減少して乾燥するために、汗や排泄物の刺激に対して敏感になります。特に、おむつでおおわれた臀部・下腹部周辺は、尿や汗によって、肌が常にムレた状態になっています。そのため、肌の細胞がふやけて、汚れや摩擦などの刺激を一層受けやすくなります。

高齢者と成人の肌のpH比較

腕とお尻の肌を比較すると、おむつを使用している高齢者のお尻の肌は、尿などの刺激を受けてアルカリ性になりやすいことがわかります。


排泄物による刺激も、大きなダメージに。

尿は本来、無菌に近いのですが、身体の外に排泄されると、雑菌によって分解され、時間とともにアルカリ性に変わって肌を刺激します。また、おむつを使用しているご高齢の方は残尿傾向があり、細菌による尿路感染症にもかかりやすい状態です。その結果、細菌によってすでにアルカリ性になった尿が排泄されるケースも多く見られます。

また、水様便・軟便もアルカリ性で、下痢をすると特にアルカリ性が強くなります。そのため、おむつ交換の間隔があいたり、排泄物の汚れが肌に付着していると、肌トラブルを引き起こす危険性が高くなります。

尿のpHの比較

尿のpHは生理的要因や病気などによって変動します。通常は酸性です。

おむつ交換のときのポイント

肌の変化を見逃さないでください。

赤くなった部分があったら、褥瘡[じょくそう](床ずれ)*の初期段階の恐れがあります。おむつ交換のときには、必ず肌の状態をチェックして、いつもと様子が違うところがあったら、すぐ医師や看護師に相談しましょう。

印が褥瘡[じょくそう](床ずれ)のできやすいところです。


陰部の清潔を心がけましょう。

おむつ交換のときには、おしりふきペーパーで、付着した汚れをきれいにふき取ります。お湯でしぼったタオルで陰部や腰のまわりをふいたときには、肌の湿り気をとってから新しいおむつをあてるようにします。

入浴できない場合は、1日に1回、尿路感染症*や褥瘡[じょくそう](床ずれ)*を予防するために、シャワーボトルなどを使って陰部洗浄をしましょう。手が不自由でなければ、なるべくご本人に洗ってもらうようにします。(女性の場合は、前から後ろに向かって洗います。)陰部洗浄のときは、専用のガーゼやタオルを使用します。

  • * 尿路感染症
    尿路(腎臓→膀胱→尿道)で起こる細菌感染症(膀胱炎、尿道炎など)で、おむつを使用しているとかかりやすくなります。こまめなおむつ交換、陰部を清潔に保つなどによって予防することが大切です。

排便後のケア

排便後のケアには、おしりの薬用清浄剤「サニーナ」の使用をおすすめします。ペーパーだけでは完全に取れない、シワに入り込んだ汚れも、きれいにふき取ることができ、ふき取り後も肛門周辺部の皮膚を保護して、汚れをつきにくくします。

こんな使い方はやめましょう

「多重使い」をしないでください。

通気性のあるおむつや尿とりパッドを選んでも、モレが心配だからといって、何枚も重ねて使っては全く意味がありません。寝たきりの方の場合、大変に不快なばかりか、不自然な姿勢になって大きな体圧がかかり、褥瘡[じょくそう](床ずれ)*になる危険性が高くなります。また、重ねたことによって、おむつと身体との間にすき間ができて、かえってモレやすくなってしまいます。おむつと尿とりパッドを併用する場合は、交換頻度とお使いになる方の尿量に合わせて、通気性のあるもの同士各1枚の最も効果的な組み合わせで使用するようにしましょう。


おむつをむやみに引っ張ることも避けましょう。

おむつを身体の下に敷いた状態で引っ張ると、摩擦で、肌に傷がつきやすくなります。おむつを交換するときは注意しましょう。

花王 リリーフ ふれあいダイアル

受付時間 10:00〜16:00(土・日・祝日は除く)

まずはお電話ください。専門の相談員が、
あなたのお悩み解決をお手伝いします。

  • * 相談は無料です。
  • * 病気についてのご相談はご遠慮ください。
Page Top