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健康寿命の延伸のために

健康寿命とは

 健康寿命とは、ある健康状態で生活することが期待される平均期間、または、その指標の総称を指します 1)
 健康寿命の定義は、健康状態をどのように規定するかによって異なります。WHO(世界保健機構)は、健康寿命(Healthy life expectancy)を、Average number of years that a person can expect to live in "full health"と定義しました 2)。また、21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21) 3)は、健康寿命を、「人生の中で健康で障害の無い期間」と記述し、一方で、厚生労働省は、「痴呆や寝たきりにならない状態で生活できる期間」と記述しました。
 その後、2011年~2012年にかけて、客観性の指標である「日常生活に制限のない期間」、主観を反映する「自分が健康であると自覚している期間」、要介護度に基づく「日常生活動作が自立している期間」の3指標について調査がなされ 4)、この成果報告に基づき、平成24年の健康日本21(第二次)では、健康寿命を「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」としています 5)

健康寿命の現状と目標

 生活習慣病や高齢化に伴う障害により、身体の機能や生活の質(QOL: Quality of Life)は低下し、健康寿命は平均寿命より短くなります。健康日本21(第二次)は、目標値の設定に際して、平均寿命と健康寿命の差に着目しました。平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)の差は、平成22 年の調査では、男性で約9.13年、女性で約12.68年です(図-1)。

図-1
平均寿命と健康寿命の差

出典 健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料 (厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf

 身体の機能や生活の質が維持された健康寿命の延伸が望まれます。健康日本21は、「21世紀の我が国を、すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸及び生活の質の向上を実現すること」を目的として掲げました(表-1)。広範な議論に基づき、栄養・食生活、身体活動・運動を始めとする、さまざまな分野に具体的な目標が設定されています。

表-1
健康寿命の延伸の実現に関する目標

出典 健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料 (厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf

メタボリックシンドロームと健康寿命

 生活習慣病対策は、国民の健康寿命の延伸を図る上で重要な課題です。健康日本21(第2次)が着目した疾病のうち、循環器疾患と糖尿病には、「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少」の目標項目が設定されています(表-2)。
 メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満を発症基盤として、高血糖、脂質異常、高血圧が引き起こされる病態です。内臓脂肪の蓄積は、食生活や身体活動に関する生活習慣と関わりが深いことが知られています。生活習慣の改善によって内臓脂肪の蓄積を抑え、メタボリックシンドロームの進行を抑え、生活習慣病の発症を予防し、健康寿命を延伸することが望まれます。

表-2
循環器疾患と糖尿病に関する目標

出典 健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料 (厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf

ロコモティブシンドロームと健康寿命

 少子高齢化が進む中で、健康寿命の延伸を実現するには、高齢になっても社会生活を営むための機能を可能な限り維持していくことが重要です。健康日本21(第2次)では、認知機能、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)など、高齢者の健康に焦点を当てた目標が設定されました(表-3)。
 ロコモティブシンドロームは、運動器の障害のために、移動機能が低下した状態と定義されています 6,7)。「立つ」、「歩く」などの動作が障害されると、自立度が低下し、介護が必要となる危険性が高くなります。運動器を健康に保ち、移動能力の低下を予防し、健康寿命を延伸することが望まれます。

表-3
高齢者の健康に関する目標

出典 健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料 (厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf

引用文献

1)健康寿命における将来予測と生活習慣病対策に費用対効果に関する研究班: 健康寿命算定の指針, 平成24年9月, 厚生労働科学研究「健康寿命のページ」
2)World Health Organization: Healthy life expectancy (HALE)
http://www.who.int/healthinfo/statistics/indhale/en/
3)厚生労働省: 21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21), 平成12年
4)平成24年度厚生労働科学研究 健康寿命における将来予測と生活習慣病対策に費用対効果に関する研究 平成23年度~24年度総合研究報告書
5)厚生労働省: 健康日本21(第二次), 平成24年
6)Nakamura K: Locomotive syndrome; disability-free life expectancy and locomotive organ health in a “super-aged” society. J Orthop Sci 13, 1-2, 2008
7)日本整形外科学会公認 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモチャレンジ!
https://locomo-joa.jp/

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