植物性ステロールは血中コレステロール、特にLDLコレステロール値を低下させる
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植物性ステロール(図-1)は、野菜、大豆、米などに多く含まれる油脂成分です。コレステロールの吸収を抑制し、血液中のコレステロール値、特にLDLコレステロール値を下げる効果が知られており、古くから高脂血症改善薬として利用されています。
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図-1植物性ステロール(PS)とコレステロール
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一般に、食事や胆汁酸(消化液)に含まれるコレステロールは、十二指腸で胆汁酸ミセル(ミセル:多数の分子の集合体で、水との親和性の大きい微細粒子)に取り込まれて、小腸から吸収されます。しかし、植物性ステロール存在下では、コレステロールと植物性ステロールが競争的に胆汁酸ミセルに取り込まれるので、ミセルに取り込まれなかったコレステロールは吸収されずに便とともに排泄されます。この植物性ステロールの働きで、血中のコレステロールが低下すると考えられています。また、最終的には植物性ステロールも便とともに排泄されます(図-2)。
植物性ステロール自身は長い食経験を持つにもかかわらず、水にも油にも溶けにくい性質のため食品への利用は限られていました。
"ジアシルグリセロール油"と"植物性ステロールを4%溶解したジアシルグリセロール油"の血中コレステロール低下作用の比較試験
植物性ステロールを4%溶解したジアシルグリセロールの、血清コレステロール値に及ぼす影響を検討しました。総コレステロール値200mg/dl以上であった22~51歳の45名(男性42名,女性3名)を対象に、植物性ステロールを4%溶解したジアシルグリセロール油を1日10g、4週間の摂取試験を行いました。対照はジアシルグリセロール油摂取群とし、植物性ステロールを4%溶解したジアシルグリセロール油とジアシルグリセロール油を交互に時期をずらして投与するクロスオーバー試験法としました(図-3)。
その結果、植物性ステロールを4%溶解したジアシルグリセロール油を摂取することにより、血清総コレステロール値およびLDLコレステロール値がジアシルグリセロール油摂取群と比較して有意に低下することが明らかとなりました1)。
図-3植物性ステロール/ジアシルグリセロールの血中コレステロールに及ぼす影響
普段の食事の中での使用経験
71名の健常者を対象に、身体的特徴および血清脂質の動態を6ヶ月間にわたり観察しました(図-5)。試験期間を通して食事制限はおこなわず、植物性ステロール+ジアシルグリセロール油を、それまで使用していた食用油のかわりに普段の生活の中で使用するという条件で実施した試験です。試験期間中試験油の1日当たりの平均摂取量は約10gで、植物性ステロールの摂取量は約400mgでした。
その結果、使用1ヶ月後に、総コレステロールの初期値が220mg/dl以上の被験者群では、初期値に対して7.1%の低下が観察されました。また、LDLコレステロールにおいては初期値が140mg/dl以上の被験者群で、8.4%の有意な低下が観察されました3)。
さらに6ヶ月使用を続けることにより、HDLコレステロール値の有意な上昇や、中性脂肪、PAI-1(血栓形成に関わる因子: Plasminogen Activator Inhibitor Type-1)、皮下脂肪厚の減少が観察されました。同様の効果はジアシルグリセロール油だけの長期摂取試験においても観察されていることから、これらの効果は主としてジアシルグリセロールに由来するものと考えられます。
図-5毎日の食生活で使用した場合 ~コレステロールに及ぼす効果~
このように、普段の食生活の中で、日頃使用している食用油の代わりに植物性ステロールを含むジアシルグリセロール油を摂取することにより、高脂血症の因子である血中コレステロールや血中中性脂肪の改善、体脂肪の減少、PAI-1の低下等が認められました(図-6)。
図-6毎日の食生活で使用した場合 ~コレステロール以外の動脈硬化因子に及ぼす影響~
中高齢の女性に対する効果
中高齢の女性は更年期以降、ホルモンバランスがくずれ、コレステロール値が上昇することが知られています。本試験では、総コレステロール値200mg/dl以上である45歳以上の女性18名を対象に、血清コレステロール値の動態を4週間にわたり観察しました。試験期間を通して食事制限はおこなわず、植物性ステロールを含むジアシルグリセロール油を、それまで使用していた食用油のかわりに普段の生活の中で使用するという条件で実施した試験です。対照はジアシルグリセロール油摂取群とし、クロスオーバー試験法でおこないました4)。
その結果、対照のジアシルグリセロール摂取群と比べて、血清総コレステロール値およびLDLコレステロール値に明らかな低下が認められました。また、その内の閉経者(9名)に対しても、同様に総コレステロール値、LDLコレステロール値の有意な低下が観察されました。高コレステロール血症者の割合が高い中高齢の女性においても、この油のコレステロール低下作用が実証されました。