ジアシルグリセロール油の開発の背景
深刻な脂質の過剰摂取
脂質は、タンパク質や糖質に比べて最も高いエネルギーを産生することができ、各種の脂溶性ビタミンの吸収にも重要です。また、油による調理は、栄養素の損失を抑える優れた調理法といわれています。しかしながら、一方では、肥満や脂質異常症などの脂質の過剰摂取による弊害が深刻となりつつあります。
増える脂質摂取量
日本人の食生活などのライフスタイルの欧米化に伴って、肥満を基盤とする脂質異常症、高血圧、糖尿病などの様々な生活習慣病が深刻な問題となっています。2009年(平成21年)の国民健康・栄養調査1)によると脂肪エネルギー比率が25%以上の者の割合は、成人の男性で43.0%、女性で53.6%になっています。年代別では、若年層ほど脂肪エネルギー比率が高くなっています(図-1)。
図-1年齢層別脂肪エネルギー比率
日本人男性は肥満傾向
日本では日本肥満学会基準により、Body Mass Index (BMI=体重(kg)÷身長(m)2)が25kg/m2以上となると肥満と判断されますが2)、上記調査においてBMIが25kg/m2以上の肥満者の割合は成人男性全体の30.5%になっています(図-2)。男性の肥満者は30代~60代では30%を越え増加傾向が続いています。女性の成人肥満者は20.8%。女性は加齢と共に肥満者が増加しており、特に60歳以上では4人に1人が肥満となっています。
図-2年齢層別肥満者(BMI≧25.0)の割合
世界中で広がる肥満問題
肥満が引き起こす生活習慣病の増加は米国でも深刻な問題になっています。 米国のCenters for Disease Control and Prevention(CDC:米国疾病予防管理センター)3)では、州別の肥満者(BMI30以上)の推移を発表しています。1990年には、肥満者が15%を越える州はありませんでしたが、2008年には肥満者が20%未満の州はコロラドのみとなり、30%以上の州も増えています(図-3)。
図-3米国における肥満者の推移
生活習慣病予防のための脂質摂取の留意点
脂質は細胞膜の主要な構成成分であり、エネルギー価が1gあたり9kcalと炭水化物やたんぱく質に比べて2倍以上あります。また脂肪酸の種類により生理作用に違いがあり、日本人の食事摂取基準2010年版4)では、脂肪エネルギー比率や飽和脂肪酸、n-6系、n-3系脂肪酸の目安量、目標量が決められています。
脂質の食事摂取基準
・ 脂肪エネルギー比率(目標量) 18~29歳:20%以上30%未満 30歳以上:20%以上25%未満
・ 飽和脂肪酸の食事摂取基準(%エネルギー 目標量) 18歳以上:4.5%以上7.0%未満
・ n-6系脂肪酸の食事摂取基準(%エネルギー 目標量) 18歳以上:10%未満
・ n-3系脂肪酸の食事摂取基準 (g 目標量)
| 男性 | 女性 |
| 18歳~29歳 | 2.1g以上 | 18歳~29歳 | 1.8g以上 |
| 20歳~49歳 | 2.2g以上 | 20歳~49歳 | 1.8g以上 |
| 50歳~69歳 | 2.4g以上 | 50歳~69歳 | 2.1g以上 |
| 70歳以上 | 2.2g以上 | 70歳以上 | 1.8g以上 |
また、油脂の基本構造自体に着目して、トリアシルグリセロールから脂肪酸が1つ外れたジアシルグリセロールを主成分とする食用油「エコナクッキングオイル」が開発され、その栄養学的な特性が注目を集めています。
引用文献・資料
| 1) | 平成21年国民健康・栄養調査報告, 厚生労働省ホームページ |
| 2) | 松澤佑次ら, 肥満研究, 6, 18-28, 2000 |
| 3) | Centers for Disease Control and Preventionホームページ (http://www.cdc.gov/obesity/data/trends.html#State) |
| 4) | 日本人の食事摂取基準[2010年版] |
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