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犬は、ほんとうに目が悪いのか?
監修/どうぶつ行動クリニック・ファウ 尾形 庭子先生

「犬」というと、条件反射的に
「鼻はいいが、目は悪い」と思ってしまいがちですが、
犬の視力、視覚は、実際、どの程度なのでしょうか。



 犬の目はもともと近視で、ピントを合わせる力が弱いといわれていますが、動くモノを見る、動体視力はすぐれていると思われます。
 たとえば、シェパードを使ったある実験では、動かないモノなら550m、動くモノなら825m離れた標的を見分けることができたそうです。視力のいいハウンド犬や牧羊犬では、1500m先で人が手を振っているのに気づくことができるという報告もあります。木立の少ない、広い平原などを走る大型の獲物なら、かなり遠くからでも、見つけることができるのではないでしょうか。
 一方、追われる身の草食獣は、獲物の動きに反応する肉食獣から身を守るために、敵におそわれたとき、一瞬、動きを止めて、逃れようとすることは、よく知られています。


 ちなみに、犬の視野はふつう250度(立体視野は100度)ほどですが、ハウンド犬など頭の幅の狭い犬種では270度とより広くなっています。いわゆる猟犬のなかでも、平原などで獲物を見つけ、追いかけて狩りをする、ハウンド犬などは、視覚がとても発達しています。マンモスなどの大型草食獣が絶滅したあとの新石器時代、数が少なくなった獲物を見つけ、狩りをするために、視覚のすぐれたハウンド犬が必要になったのではないか、という説をとなえる研究者もいます。
 ビーグル犬などは、もともと森や林でウサギやキツネ狩りに活躍し、足跡などの臭いを追及するタイプの猟犬なので、視覚はそれほど発達しなかったようです。一方、同じキツネやイタチ狩りの得意な猟犬でも、テリア犬の場合は、発見した獲物を鳴き声で人に知らせるビーグル犬とちがい、獲物の機敏な動きに反応して攻撃する猟犬なので、動体視力と反射神経にすぐれています。
通常、犬の視野は250度ほどですが、頭の幅の狭い犬はこれよりも広く270度程度です。ちなみに猫になると、さらに視野は広がります。(立体視野とは、両目で見ることのできる範囲のことです。)


 このように、視覚には、犬種によって、かなり差があるようです。もっとも、犬には、耳や尻尾を動かしたり、目元や口元など、顔の表情の変化で互いの意思、感情を伝えるボディ・コミュニケーションがいろいろ発達しているので、視覚の役割は私たちが考える以上に大きいと思われます。実際、遠くに飼い主と同じような服を着た人を見つけて、うれしそうに駆けていく犬の話はよくありますね。
 また、以前は、「犬は色が見えない」「色盲だ」という説が一般的でしたが、近年の実験データによると、紫、青、黄色の三色は見分けられるようです。

※出典:今泉忠明著『イヌの力』平凡社新書






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