猫の泌尿器の病気
猫の尿路結石症(尿石症)
<獣医師監修>

尿路結石症(尿石症)とは

腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができる病気で、膀胱や尿道を傷つけたり、尿道に詰まったりします。猫下部尿路疾患(FLUTD)の代表的な病気の一つ。結石は砂粒くらいの小さなものから、数cmの固まりまでさまざまです。

猫の尿路結石のレントゲン写真(腎臓、尿管)

背中から撮った猫の泌尿器のレントゲン写真。白く映っているものが結石。腎臓、尿管それぞれに結石がみられる。
(写真提供/麻布大学附属動物病院 渡邉俊文先生)

尿路結石症(尿石症)の原因

猫に多い代表的な結石の種類は、オシッコがアルカリ性に傾くとできやすく、比較的若い猫に多い「ストルバイト」と、中~高齢の猫に多い「シュウ酸カルシウム」の2つです。オシッコの中にマグネシウム、リン、カルシウム分などのミネラル成分が増えたり、尿のpHバランスが崩れたりすることで結石ができやすくなります。猫がもともとあまり水を飲まずに濃度の濃いオシッコをすることも原因の一つで、猫自身の体質も影響します。食事の内容や生活習慣も関わっています。

猫のストルバイト結晶・ストルバイト結石の写真

▲ ストルバイト
マグネシウム、アンモニア、リン酸から構成される。オシッコがアルカリ性に傾くことでできる。

猫のシュウ酸カルシウム結晶・猫のシュウ酸カルシウム結石の写真

▲ シュウ酸カルシウム
黄褐色で表面がギザギザしている。中~高齢の猫に多い。

尿路結石症(尿石症)に
なりやすい猫

性別に関係なくかかりますが、オスは尿道が細長くてカーブしている部分があり、先端も細くなっているので、結石が尿道に詰まって重症になりがちです。肥満の猫もかかりやすくなります。

オス猫の泌尿器の構造(腎臓、尿管、膀胱、尿道)イラスト画像

オスは尿道がカーブしているため、メスよりも詰まりやすい。

尿路結石症(尿石症)の症状

トイレに行く回数が増える、頻繁にトイレに行くのにオシッコが少ししか出ない、トイレでうずくまっている、オシッコをするときに痛がってなく、血尿が出る、トイレ以外の場所で粗相をする、落ち着きがなくなるなどの症状が現れます。オシッコと一緒に砂状の結晶や結石が出て、猫砂やシートの表面がキラキラ光って見えることもあります。尿道に結石が詰まるとオシッコが出なくなる尿道閉塞が起こり、1日以上オシッコがまったく出なければ尿毒症になって、命に関わる危険な状態を引き起こします。

猫のオシッコの注意すべき色の写真

オシッコに血尿やキラキラ光る結晶が混ざっていたら、すぐに病院へ。
(写真提供/麻布大学附属動物病院 渡邉俊文先生)

尿路結石症(尿石症)の治療

軽度の場合は、閉塞していなければ食事療法で改善するか試みます。膀胱や腎臓に砂状ではなく大きな石がある場合は、手術で取り除くこともあります。結石が尿道に詰まっていてオシッコが出にくくなっている場合は、尿道口からカテーテルを入れて尿道のつまりを解消し、膀胱内を洗浄します。詰まっている結石が取れない場合や、オスで再発をくり返す場合には、ペニスを整形して尿道を短くする手術を行うこともあります。

  • アミノ酸製剤を含む。ストルバイトにのみ効果が期待でき、シュウ酸カルシウムには効果がない。

尿路結石症(尿石症)の予防

再発しやすい病気なので予防が大切です。結石ができる原因として食事内容も関わっているので、ミネラルバランスがよく、適切なオシッコのpHをコントロールする適切な食事を与えるようにしましょう。また、水を上手にたくさん飲ませる工夫をすることも大切です。適度な運動は肥満防止と水を飲む量を増やす効果もあります。そして、猫がオシッコを我慢することがないように、トイレはいつも清潔にしておくことも病気の予防になります。

水を飲む猫の写真

水を十分に飲めるように工夫を。

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