くらしの現場レポート

経験者の声からみえてきた
「介護のあるくらし」への心の準備

2016.07.26 | 高齢社会

【くらしの現場レポート】経験者の声から見えてきた 「介護のあるくらし」への心の準備

世界の中でもいち早く超高齢社会に突入した日本では、「介護」は多くの人がいずれ向き合う可能性があり、誰もが介護する、あるいは介護されることが想定されます。けれども介護は、不安があるのに、真剣に考えることは先送りにしてしまいがちな問題。そこで、実際に介護している方々の体験やおもいを知ることで、将来の「介護のあるくらし」のために、「今、できること」を考えてみました。

誰にとっても、介護は遠い未来ではない現実

長寿大国日本の「平均寿命」は、男性が80.21歳、女性が86.61歳。しかし、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる「健康寿命」となると、男性71.19歳、女性74.21歳で、平均寿命とは9歳以上も差がみられます(2013年 厚生労働省公表)。さらに、要介護認定者数は、2000年度の256万人から2015年度には620万人になり、この15年で2.4倍に増加。介護にかかわる機会が増えていくと考えられます。

■要介護(要支援)認定者数

要介護(要支援)認定者数

厚生労働省「介護保険事業状況報告」
※2006年4月の制度改正により、それまで6区分あった「要介護度区分」が新たに7区分に変更。
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

自分なりの介護スタイルで。実例「介護のあるくらしとおもい」

実際に自宅で介護をしている方々にインタビューしてみると、介護の状況はさまざまで、不安や葛藤を持ちながらも、自分なりの工夫や折り合いをみつけて、暮らしている姿がありました。

ある女性は、突然始まった「実親介護」に最初は戸惑い、自分の大切な時間をあきらめなければいけないことのストレスや“なぜ私だけ”というおもいがあったものの、介護サービスを利用して徐々に生活のリズムを整え、自分の時間ができて趣味を再開。そうすることで心に余裕ができ、親へのおもいやりがもどった、という話をうかがえました。

介護サービスを利用することで、自分の心に余裕が生まれた

介護サービスを利用することで、自分の心に余裕が生まれた

若い頃に苦労をかけた妻のために、「老老介護」を続ける高齢の男性。「人様に迷惑をかけたくない」というおもいから一人でがんばっていたが、体力・気力に限界を感じてきており、月に一度は妻のことを娘にまかせて、かつて妻と一緒に行っていた店をめぐり、気分転換の時間を作っているそうです。

妻の入浴も娘の手を借りて

妻の入浴も娘の手を借りて

「認知症介護」をしている女性は、夫から心ない言葉をかけられたり、24時間目が離せないなど気持ちに余裕がない中、近所の人が声をかけてくれることが支えになっている、と話してくれました。

夫がリハビリに行っている間は少し心が休まる

夫がリハビリに行っている間は少し心が休まる

大切な家族の介護を続けるために、気持ちを上手に切り替えたり、まわりの力を借りながら、それぞれの介護スタイルをみつけていました。

将来の「笑顔のひとときがある介護」のために今、できること

自宅介護をする方々の日常からみえてきたのは、介護は一人で抱えるのではなく、家族や周囲の人たちの「理解」と「協力」によって成り立っていくものだということ。介護サービスなど第三者の力を利用することに後ろめたさを感じる必要はなく、上手に利用していくことが大切ということでした。
重要なのは、介護をする人が、そのことをしっかり認識してのぞむこと。生活のすべてを介護に充てるのではなく自分の時間も確保して自身の生活を維持できるように。そうすることで心に余裕ができ、介護される人にとっても良い影響が生まれるようです。

また、事前に話し合っておかないと、いざ介護が始まったときに家族の考えに相違が生じるケースもあります。できるだけ認識を共有しておくことが、介護生活をより良い方向にもっていける重要なポイントではないでしょうか。
こうした情報を頭に入れておくことが、介護する人・される人、お互いが笑顔になれる介護につながっていくようです。やがて来るかもしれない「介護とともにあるくらし」のために、今のうちから考えて、心の準備をしておくことが大切なのだとおもいます。

笑顔で過ごせる時間が、少しでも増えるように

笑顔で過ごせる時間が、少しでも増えるように

調査概要

「介護のあるくらしのおもいと実態調査」
◎2015年2〜6月/家庭訪問インタビュー/介護・介助を行っている50〜89歳男女/16人

「介護に関する定量調査」
◎2015年9月/インターネット調査/介護・介助を行っている50〜69歳男女/420人

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