達人コラム

株式会社ニューロスペース 代表取締役CEO 小林孝徳さん
睡眠は「技術」。スキルアップで眠りを改善!

2018.03.13 | 働き方、おとなの男性

【達人コラム】株式会社ニューロスペース 代表取締役/小林孝徳さん

「寝付きが悪い」「よく眠れない」「忙しくて睡眠時間が取れない」など、睡眠にまつわるいろいろな悩みを抱えている人は多いようです。今回は、さまざまな企業で、働く人の睡眠改善や労働生産性向上のための睡眠研修などをおこなっている、ニューロスペースの小林孝徳さんに、睡眠の知識や快眠のためのアドバイスをいただきました。

自分に合った睡眠時間を知ることが大切

睡眠には、疲労の回復や免疫力のアップ、脳に記憶を定着させるなど、とても大切な役割があります。近年、注目されている「睡眠負債」は、日々の睡眠不足が少しずつ借金のように蓄積されていく状態のことで、自分でも気付かないうちに仕事の効率が低下したり、ケアレスミスが増えたり、さらにはがんや認知症など深刻な病気のリスクが高まることも報告されています。
 
「負債」といっても、実際のお金と違って一括返済も貯蓄もできません。つまり「寝だめ」ができないのです。平日の睡眠不足を解消しようと週末にたっぷり寝ても、そこで眠りのリズムがずれてしまい、週明けの月曜日はかえって体がだるいということもあります。
 
睡眠は単純に時間の長さではなく、自分に合っているかどうかが重要で、個人差があるため、何時間寝れば大丈夫ということは一概には言えません。自分の理想的な睡眠時間を知る一つの目安として、朝起きてから4時間以内に眠気が来なければ、その睡眠時間で足りていると考えられます。

小林孝徳さん

快眠のための3つのテクニック

くらしの現場レポート:よく眠るための工夫は1割 「熟睡したい!」男性たちの睡眠事情』で、「熟睡できない」「朝から体がつらい」という声がありました。私は、睡眠に悩みを抱える人には、睡眠は「技術」であり、正しいテクニックを駆使すれば、眠りの質をアップさせ、快眠を手に入れることができるとアドバイスしています。ポイントは次の3点です。
 
❶ベッドで眠りに関係のないことをしない
脳には、場所と行動をセットで記憶する特徴があり、ベッドの上でスマホゲームなどをしていると、「ベッド=ゲームをする場所」と認識してしまいます。「ベッド=寝る場所」と脳に覚えさせるためにも、眠りに関係のないことをしないことがまず大前提です。
 
❷深部体温をタイミングよく下げる
体の中心の深部体温を一時的に上げてから急激に下げることで自然な眠りにつけます。眠る前に、入浴をする、ノンカフェインの温かい飲み物を飲むなど試してみてください。
 
❸浴びる光をコントロールする
睡眠ホルモンとも言われる「メラトニン」は、光を浴びると分泌が減少するので、朝、シャキッと目覚めるためには太陽の光を浴びることが重要です。反対に、夜に白色光やLEDライトなど白い光を浴びると、メラトニンが増えずになかなか寝付けないこともあります。改善策は、夜は暖色系の明かりをできれば下から灯すこと。同じように、光は赤ちゃんの夜泣きにも影響します。夜中におむつ交換をする時も部屋全体ではなく、手元だけを明るくすると良いでしょう。

小林孝徳さん

短時間の仮眠は効率アップのためにも効果的

しっかり睡眠を取ったのに、午後になると眠くなる人も多いと思います。体内には「朝起きて・昼間活動して・夜眠る」という24時間周期の「サーカディアンリズム」というものがあり、朝起きてから7〜8時間後に眠くなるリズムが刻まれています。つまり、朝7時に起きる人が14時頃に眠くなるのは正常なリズムと言えます。眠気は集中力を低下させるので、午後の仕事の効率アップのためにも、短時間の仮眠を積極的に取ることをおすすめしています。仮眠の質を上げるには次の4つのテクニックを試してみてください。

まず1つめは「タイミング」。朝の起床から6〜7時間後、つまり眠気のピークが来る1時間くらい前に仮眠すると質も効果もアップします。
2つめは「時間の長さ」。寝過ぎは逆効果で、15〜30分程度がベスト。目を閉じているだけでも視覚情報が遮断され、脳が休まります。
3つめが「姿勢」。体を横たえると本睡眠モードになるので、椅子やソファにもたれたり、机に伏せたりして、心臓から上の位置で頭を固定して仮眠します。
そして、4つめは「カフェイン」。眠気覚まし効果のあるカフェインは摂取してから30分後くらいに効くと言われているので、仮眠の前にコーヒーなどを飲んでおくと寝覚めが良くなります。

仮眠の質をアップするテクニック

睡眠は生きる上でとても大切な時間

テクニック的なことでもう1つ。冒頭で「寝だめはできない」とお話ししましたが、週末にたっぷり寝たい時には、平日と同じ時間に一度起きて太陽の光を浴びてから、もう一度布団に入り、部屋を明るくして「二度寝」することをおすすめします。一度、光を浴びることで睡眠と覚醒のリズムができるので、夜の睡眠にも響きません。
 
睡眠を改善するというと、快眠グッズ、サプリメントや薬などに頼りがちの方も多いのではないでしょうか。けれども、ここでご紹介したように、睡眠は技術なのです。正しい知識を学んで技術を身につければ、誰でも快眠を手に入れることができます。質のいい睡眠が取れれば、体も楽になりますし、仕事の生産性も上がります。
 
睡眠は決して無駄な時間ではなく、私たちが生きていく上でとても大切な時間です。仕事のシフトが不規則だったり、残業が多かったり、ストレスを抱えたりして、眠れない夜が続いていた皆さんには、心と体の健康のためにも、眠りの技術をぜひ身につけていただきたいですね。

Profile

小林孝徳(こばやしたかのり)さん

株式会社ニューロスペース 代表取締役CEO
小林孝徳(こばやしたかのり)さん

1987年生まれ。新潟大学理学部素粒子物理学科卒。自身の睡眠障害の経験をきっかけに、この社会問題を解決すべく、2013年12月株式会社ニューロスペースを設立。大学や医療機関と連携し、『法人向け睡眠改善プログラム』を開発。学校現場でも『睡眠教育』の普及に取り組み、生きる上で大切な知恵である睡眠を教育で学べるよう多くの機関と連携を推し進めている。

Page Top