達人コラム

医師/新潟大学医学部小児科教授 齋藤昭彦先生
感染リスクを減らす家庭でできる対策

2017.01.24 | 生活スタイル

【達人コラム】医師/新潟大学医学部小児科教授 齋藤昭彦先生

ノロウイルスやインフルエンザの流行期はもちろん、家族を感染のリスクからなんとか守ってあげたいですね。そのために知っておくべきこと、できることを小児感染症の専門医でもある新潟大学医学部小児科 教授の齋藤昭彦先生にアドバイスをいただきました。

手洗い習慣が当たり前になる環境づくり

くらしの現場レポート:家族の健康を守るため キッチンの意外な汚れに注意!』では、家庭のキッチンで検出された菌のお話がありました。環境の中には菌もウイルスも普通に存在しています。菌が検出されたからといって必ずしも健康に影響を及ぼすわけではなく、菌の数だけが問題ではないのですが、汚染度が高ければ害のある菌をもらうリスクが高まるのも事実です。

菌やウイルスから体を守るために、まず大切なことは、手洗いでしっかり手をきれいにし、洗い流すこと。病院の職員にもよく言うのですが、「手洗い」を「文化」にしようと。「手洗い」をしないと次の患者さんに触れないとか、それなしでは気持ち悪いとか、それが当たり前という感覚が大切だと思います。

家庭でも、いかに大人が「手洗いの習慣」を根づかせるかがとても大事です。子どもに外から帰ってきたときや、トイレに行ったあとはしっかり手を洗う習慣を作るようにいつも声かけをする。また、例えば小さい子で蛇口まで手が届かなければ、台をいつも置いておく、石けんも押しやすい容器のものを選ぶなど、子どもが手洗いしやすい環境を作ってあげることも大切です。

しっかりと手洗いをする6つのポイント

ただ洗うだけでなく、しっかり洗うことが大切です。ここで手洗いのポイントを紹介しましょう。
①まずは、手のひらを洗います。
②次は手の甲です。
③指の間もしっかり。
④親指を付け根から。
⑤指先、爪の間まで意識して。
⑥最後は手首の方までしっかり。すすぎも十分にしてください。
この基本の洗い方をお子さんにもしっかり教えてあげてください。

きれいに洗った手を拭くものにも注意!

手洗い以外にも注意すべきは、レポートにもあったように、キッチンの手拭きタオルや蛇口の取っ手など、感染の媒介になるリスクの高いところです。タオルに菌が潜んでいたら、拭いた時につく水分でさらに菌が増え、そこでまた拭く。つまり汚染を広げてしまうんです。だから、手を拭くものは本来はペーパータオルなど使い捨てのものが理想的です。

多くの家庭ではタオルを使う習慣がありますが、タオルを使うのであれば、使う度にこまめに取り替えたり、タオルで拭いたあとに、手を速乾性のアルコール製剤などで消毒するといいですね。

また、キッチンの蛇口の取っ手なども、生の食材を扱った手で触れたりするところですから、意識的に洗剤などを使って定期的に掃除をして清潔にしておくべきです。実際、医療機関では手で触れなくても自動的に水が出る設備になっています。取っ手の汚染のリスクに気をつけることはとても大事です。家庭でもせっかくきれいに洗った手にまた菌がつかないように気をつけましょう。

齋藤昭彦先生

家族の中で感染を広げないためにすること、しないこと

家族が感染症にかかってしまった場合、もちろん各自の手洗いは重要ですが、他にも家庭でできる対策があります。罹患した家族が使用したものや、触ったもの、例えばタオルなどは共用せず頻繁に取り替えるようにしましょう。特にしっかり対策したいのが感染力の強いノロウィルスです。通常、ノロウィルスの感染源は便です。便1gの中には何億個とかの多数のウイルスがあり、そのうちのたった数個で感染し、発症するといわれてます。ノロウィルスにアルコールは効きません。排便後はすぐに薬用石けんなどを使って、流水でしっかりと洗い流しましょう。

排便の介助の場合も同様です。トイレ掃除は必ず使い捨ての手袋をはめてするようにしましょう。例えば、子どもが罹患してしまい排便の介助や掃除を母親がした場合、母親がウイルスをもらい、別の家族にうつしてしまうこともあるので、料理をするときなど、手洗い後の衛生にも十分気をつけましょう。

家庭でできる対策をきちんとすることがリスクを減らす

われわれは菌やウイルスと共存しています。どんなにきれいにしても、菌やウイルスを環境からなくすことはできないですが、ただ、その量を減らす努力、もらうリスクを減らす努力というのは、とても大事だと思います。

ワクチンで予防できる感染症であれば、ワクチン接種をする。家庭内で手洗いの習慣づけができるように、環境づくりをして、子どもたちを大人が導いてあげる。感染の媒介になるものの衛生にも注意する。家庭の中でできる対策を私たち大人がすることで、リスクは必ず減らすことができます。

Profile

新潟大学医学部小児科 教授/医師 齋藤昭彦(さいとうあきひこ)先生

医師/新潟大学医学部小児科教授
齋藤昭彦(さいとうあきひこ)先生

1991年新潟大学医学部卒業。米国小児科学会認定 小児科専門医、小児感染症専門医。聖路加国際病院小児科、ハーバー UCLA メディカルセンター、南カルフォルニア大学小児科を経て、カルフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)小児感染症科助教授。国立成育医療研究センター感染症科を経て、2011年より新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野(新潟大学医学部小児科)にて現職。

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