達人コラム

コンディショニングトレーナー 鈴木岳.さん
若い今から「コンディショニング」で体づくり

2016.06.21 | 若者

【達人コラム】コンディショニングトレーナー 鈴木岳.さん

今どきの健康に関心の高い20~30代男性は、将来も元気で健康でいたいという堅実なおもいを抱えて、今から食事や運動など日常的なメンテナンスに励んでいます。健康情報があふれるなか、効果的に健康な体づくりを行うために必要なことはなんでしょうか? 今回は、一人ひとりの体をトータルにサポートする、コンディショニングトレーナーの鈴木岳.さんにアドバイスをいただきました。

「フィットネス」と「コンディショニング」という考え方

くらしの現場レポート:日常的に自分メンテ 今も将来にも、常に備える健康志向男子たち』では、20~30代の男性が、将来の健康のことを見据えて食事や運動で体調管理をしていましたね。皆さんとても堅実で、自分の若い頃とはずいぶん違うものだと感じました。若いうちから健康を気にかけるのはすばらしいですし、腕立て伏せや腹筋といった筋トレ、ランニングなど手軽にできる運動を行うのもいいことです。

ひとくちに運動やトレーニングと言っても、その目的によって「フィットネス」と「コンディショニング」に分けられます。いわゆるスポーツジムの多くは「フィットネスジム」と言われますが、ジムに通う3大目的は、筋トレ、ダイエット、リフレッシュ。つまり、フィットネスは筋肉や健康維持・向上のためのトレーニングです。

一方、コンディショニングはまだあまりなじみがないかもしれませんが、文字通り、体のコンディションを整えるトレーニング。ストレッチなども含まれますが、不調の改善や予防のために行う運動です。イメージとしては「コンディショニング」がまず土台にあって、その上に「フィットネス」、さらにその頂点にあるのが「スポーツ」。コンディショニングでしっかりとした体づくりができてこそ、フィットネスやスポーツが楽しめるというわけです。

ミドルになると切実な問題も。そうなる前に若いうちから「コンディショニング」!

20~30代は健康上のトラブルはまだあまりないので、若いうちはリフレッシュや健康維持を目的としたフィットネスでもいいと思います。でも、自分も40代になってだんだんわかってきましたが、ミドルになると若い頃と同じようにはいかなくて、体にさまざまな問題が出てくる方が多くいます。肩が重かったり腰が痛かったりしたとき、マッサージや整体などの治療院、もっとひどければ病院に行く人がほとんどですよね。体の調子を整えたり、痛いところを治したり、問題を解決するために運動をしようという発想は日本ではまだあまり定着していません。けれども、ケガをしたときにリハビリをするように、スポーツ医学に基づいた「コンディショニング」という概念でトレーニングを行うことが、実は不調の改善につながっていくんです。

20~30代のうちはそもそも不調を感じていないため、効果が実感しにくく継続が難しいところもあるかもしれませんが、若い頃から「コンディショニング」を意識して運動に取り組むことが、将来の不調の予防につながり、ミドルエイジになったとき痛みなど切実な問題を抱えずにすみます。

目的意識を持つこと、今の体の状態を把握することがポイント

運動やトレーニングを継続させるためには、何のためにやるのかという動機や目的をしっかりもつことが重要です。スポーツ選手がなぜトレーニングを続けるかと言えば、「勝つ」という明確な目的があるからです。ミドルエイジも不調を改善したいという目的があり、成果が得られれば長続きします。20~30代では「細マッチョになりたい」「腹筋を割りたい」でもいいので、自分なりの目的をもってそれに向かって取り組むことが長続きのポイントです。

そのためには、やっている運動がどこに効いているかをきちんと理解する必要があります。と同時に、今の自分の体がどんな状態にあるのか、現状把握も欠かせません。なりたい体など目標を設定しても、現状を把握していなければ、その方向に向かうことはできません。

鈴木岳.さん

正しいやり方を学んで、「自分らしい」体づくりを

レポートでは「手軽な方法で日常的に」というキーワードもありました。ストレッチ、腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワット……、わざわざジムに行かなくても自宅でできることはたくさんあるし、それでいいと思います。でも、ここで重要なのは、「それがきちんと正しくできているか」ということ。一生懸命やっても、正しくできていなければ思うような成果は得られません。我流でやって「効果がないからやめた」となってしまうのは、とても残念です。

今の時代、健康法の情報は飽和状態で、自分にとって本当に必要で正しい情報が見つけにくい。体にいいとされるものがすべての人に合っているとは限りません。トレーニングをするときにも、その人なりの体のクセがあり、それを知って取り組むことが重要なんです。

僕は「自分らしい」体というのをすごく大事にしていますが、その「らしさ」は、自分以外の第三者の視点で指摘を受けて気づくことも多いんです。継続的にジムに通わなくてもいいので、最初だけでもトレーナーなどの専門家のアドバイスを受けることが理想的です。正しいやり方がわかり、自分に見合った情報が得られれば、あとは自宅でも続けていけます。ハードな運動や難しいことをたくさんやる必要はないので、毎日の歯みがきと同じように日常的にできる「コンディショニング」のための運動を、細く長く続けていきましょう。

最後に40代の僕から若者の皆さんにメッセージをひと言。トレーニングも食事も生き方も、すべてにおいてもっと攻めて、どんどんチャレンジしてもらいたいですね。体験しないと発想は生まれないと思うので、自分が決めた枠を越えて、時には外に飛び出してみてください。

Profile

コンディショニングトレーナー 鈴木岳.(すずきたけし)さん

コンディショニングトレーナー
鈴木岳.(すずきたけし)さん

「R-body project」代表取締役。博士(スポーツ医学)。1971年東京生まれ。ワシントン州立大学卒、2008年筑波大学大学院博士課程修了。1998年全日本スキー連盟フリースタイル(モーグル)チーム専属トレーナーとなり、冬季オリンピック(ソルトレイク・トリノ・バンクーバー・ソチ)に帯同。2003年にトップアスリートレベルのサービスが誰でも手軽に受けられる施設を目指し、株式会社R-body projectを設立。一人ひとりに合わせたカスタムメイドのアスレティックリハビリテーション、コンディショニング指導を提供している。

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