達人コラム

コンチネンスアドバイザー 西村かおるさん
尿もれは今の生き方を見つめ直すチャンス

2015.02.05 | おとなの女性、高齢社会

【達人コラム】コンチネンスアドバイザー 西村かおるさん

尿もれが起こると、ショックや「恥ずかしい」という思いから、気持ちも後ろ向きになりがちです。けれども、誰にでも起こりうることなのでくよくよ落ち込まずに、快適に過ごせるように対処したいもの。今回は、日本初の排泄ケア(コンチネンスケア)専門のアドバイザーとして活躍する西村かおるさんに、尿もれとのポジティブな向き合い方や改善策について教えていただきました。

症状が生き方を見つめ直すヒントを与えてくれる

一般的に、成人女性の4人に1人が尿もれに悩んでいると言われています。花粉症の人は6人に1人と言われているので、花粉症よりも尿もれ経験者のほうが多いのです。ですから、自分だけの問題ではないし、他人事でもありません。
とはいえ、尿もれが起こる人もいれば起こらない人もいます。更年期だから、シニアだからという年齢的なことだけではなくて、尿もれの症状が出るには、何らかのきっかけが必ずあります。出産歴ももちろん関係しますが、第1に肥満、第2に便秘、それから運動不足による筋力の低下などがあげられます。過活動膀胱の場合は、膀胱炎や、高血圧などの生活習慣病が隠れていることもあります。
このような原因を作り出すライフスタイルを送っていませんでしたか?今までの自分の生活や生き方を振り返ってみて、今の症状が教えてくれるものはいったい何だろうかと考えてみましょう。そんなふうに、尿もれが今の自分や生活を見つめ直す気づきやヒントを与えてくれていると捉えれば、受け入れ方が少し変わってくるのではないでしょうか。
※過活動膀胱…急に我慢できないような尿意(尿意切迫感)を必須症状とし、我慢できずに尿がもれてしまうなどの症候群。排尿筋(膀胱の筋肉)が過敏に活動することによって起こる。

あきらめずに前向きに取り組めば、尿もれは改善できる

尿もれには原因やきっかけがあるのですから、そこを見直せば症状を改善することができます。
くらしの現場レポート:誰にでも起こりうる「女性の軽失禁」 予防や改善のために、前向きにセルフケア』では、多くの人がひどくならないために自分なりの改善策に取り組んでいて、皆さん、意識が高くてすばらしいと思いました。肛門や膣をキュッと締める骨盤底筋体操は、正しく行えば大きな効果が得られるのでおすすめです。やり方がわからなければ、一度専門家の指導を受けてみると良いでしょう。

また、ウォーキングなど足を動かす運動も効果的。足にむくみがあると、眠るために体を横たえたときに、むくみの水分が腎臓に戻るために夜間頻尿になります。けれども、昼間きちんと運動してむくみがなくなれば、夜中にトイレに起きなくてもすむようになります。
それから、カイロや半身浴、湯たんぽなどで足や腰、下腹部を温めるのも良いでしょう。骨盤内の血流が良くなることで冷えが緩和され、尿もれや頻尿の改善につながります。
症状が気になるときは、尿もれや頻尿を抑える薬を一時的に飲んでみるのも良いと思います。薬に頼るとずっと飲まなければいけなくなるのでは、と思う人もいるようですが、運動や骨盤底筋体操なども同時に行い、症状が改善されれば、薬は飲まなくても大丈夫になる方も多くいます。

トイレの行き過ぎは逆効果。膀胱の力を信じてみよう

尿もれがあると、なるべく膀胱を空っぽにしておこうと頻繁にトイレへ行きがちですが、実はこれが尿もれや頻尿を悪化させることもあります。小食になると胃が小さくなって食べる量が減るのと同じで、尿をしっかりためずにいつも空にしていると、膀胱が小さくなってためる力が落ちてしまうのです。

膀胱には200〜400ccの尿をためる力があります。膀胱が張る感じがするのが本来の排尿のタイミングなのですが、尿もれや頻尿を経験すると、膀胱にたまる前に「行っておかなくちゃ」という不安な気持ちが先行して、本来のタイミングでないときにトイレに行っているのです。
朝起きたときの尿量が一番多いのですが、昼間だってそれだけの量をためることができるのですから、膀胱の力をもっと信じてみましょう。我慢しすぎるのも良くないけれど、不安な気持ちから行くのではなく、少しだけ我慢してコントロールしてみてください。とはいえ、外出先で我慢するのはストレスになるでしょうから、まずはおうちにいる間だけでも我慢してみる。ただし、過活動膀胱の場合は我慢しきれないときもあるので、薬を併用しながら様子をみてください。

西村かおるさん

悲観しないでポジティブに!今の自分が未来につながっている

「あまり話したくない」「誰にも話せない」という声は、『くらしの現場レポート』の報告にもありましたが、人に言いたくないことは、無理して言う必要はないと思います。けれども、自分自身はきちんと納得して現状をしっかりと受け入れることが大切です。
そしてそのときに「尿もれをしてしまう自分はだめだ」なんて思う必要はまったくないのです。トイレの不安から外出したくない、旅行に行けないとあきらめてしまうのも、すごくもったいない!尿もれは改善できることなのに、一時的な不安によって今を楽しく前向きに生きないなんて、とっても損していると思いませんか。
尿もれを「介護」や「寝たきり」の入口のように悲観的に捉えている人も多いようですが、寝たきりにならないためにも、今のうちにどんどんアクティブに行動したほうがいいのです。今が未来につながっていくのですから、今、この時を充実させることがこれからもっと先の老後の生き方に大きく影響してきます。もっと年を取っても元気な自分でいるためには、今ここであきらめているひまはないですよ!

Profile

NPO法人日本コンチネンス協会会長/コンチネンスアドバイザー 西村かおる(にしむらかおる)さん

NPO法人日本コンチネンス協会会長/コンチネンスアドバイザー
西村かおる(にしむらかおる)さん

1957年生まれ。東京都内の病院で訪問看護師として勤務した後、イギリスに留学し、地域看護とコンチネンスケア(排泄ケア)を学ぶ。帰国後、1990年にコンチネンスセンター(排泄ケア情報センター)を開設。1993年に「日本コンチネンス協会」を設立(2009年にNPO法人化)。日本初の排泄ケア専門ナースとして、排泄に関する悩み相談やアドバイス、情報提供などを行っている。著書に『パンツは一生の友だち』など。

\ 読者から寄せられた感想 /

「悲観しないでポジティブに」のところでとても勇気づけられました。ずっと尿失禁する自分がダメだと思っていたので。
(30歳・女性)
 

運動不足も関係あるんだと認識しました。自分にも起こりうることなので、今後の生活習慣などを見直さなきゃと改めて思いました。
(48歳・女性)
 

あきらめずに、体操や軽い運動を取り入れてみようと思った。前向きな気持ちになれました。
(67歳・女性)

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