達人コラム

生活・料理研究家 門倉多仁亜さん
掃除は小さな達成感の積み重ね

2014.11.26 | 生活スタイル

【達人コラム】生活・料理研究家 門倉多仁亜さん

一年のけじめの大掃除は、あれもこれもやることがいっぱい。効率よく行うために、日頃の掃除習慣を少し見直してみませんか?前回に引き続き、生活・料理研究家の門倉多仁亜さんに、面倒な掃除が作業的にも気持ち的にもラクになるやり方・考え方をうかがいました。

面倒な作業は時間を計ってみると、頭の中の整理整頓に

私は日頃から整理整頓が習慣になっていますし、部屋がきれいになれば気持ちがいいので掃除は嫌いではありませんが、面倒だなと思うこともあります。
そこで、面倒だと感じる作業は時間を計ってやってみることにしています。とても大変そうだと思い込んでいたことも、時間を計ってやってみたら実際には数分で終わったりして、思っていたほどではないことがわかります。15分なら音楽を聞きながらやったら4〜5曲分だ、だったらやってしまおうと、自分をその気にさせるのです。
また、やるべきことを紙に書き出して段取りを考え、頭の中を整理することもよくやります。掃除についても、あれもこれもやらなきゃと思ってしまうようならば、一度書き出して頭の中を整理してみることをおすすめします。そのときに、時間のやりくりなども考えてみると効率もアップします。

「シーツを替えるのがとても重労働に感じて嫌いだったのですが、時間を計ってみたら大して時間がかからないことがわかり、苦手意識も和らぎました」

「シーツを替えるのがとても重労働に感じて嫌いだったのですが、時間を計ってみたら大して時間がかからないことがわかり、苦手意識も和らぎました」

毎日のささっと掃除で汚れをためない。時間を効率よく使うのがドイツ式

私の場合は、毎日、朝のうちにまとめて掃除と片づけをすべて済ませます。毎朝やっているのは、ささっと軽めの掃除。夜に出しっ放しになっていたものを片づけ、はたきとほうきで軽くごみを集めて、朝、シャワーを浴びたついでにお風呂場の水を切って、洗面所やキッチンなど水回りを拭き、ベッドメーキングまで済ませてざっと1時間。

「しなければいけない」と構えずに、歯みがきや洗顔を毎日するのと同じように、朝の一連の流れの中に日々の掃除を組み込んでルーティン(決まり切った作業)にしています。ルーティンが定まれば、流れがスムーズになってとても楽になります。わが家は朝が早いので私は朝のうちに行いますが、ご自分のライフスタイルに合わせてルーティンをつくってみてはいかがでしょうか。

私は掃除機をかけてしっかりと掃除をするのは週に1回で、洗濯やアイロンがけも曜日を決めてまとめて行います。子どもの頃に祖母に教わったドイツ式の掃除法は、1週間で家を1周する方法。毎日リビングの掃除をするのではなく、曜日ごとに場所や作業内容を変えるのです。祖母や母にならって私もその習慣を実践しています。

水回りの汚れはためてしまうと落とすのが大変。毎日のルーティンで拭いてしまえばいつもきれいな状態に。

水回りの汚れはためてしまうと落とすのが大変。毎日のルーティンで拭いてしまえばいつもきれいな状態に。

やることを済ませたら、あとは気にしない。オンとオフははっきりと

くらしの現場レポート:大掃除は慣例から1年のけじめへ 若年主婦は普段軽め、年末「まとめて」が掃除スタイル』の中で、「気になっていた汚れは大掃除で」というお話がありましたが、私は汚れを気にかけることにエネルギーを使いたくないタイプ。たまってしまった汚れを落とす手間を考えれば、ためずにやったほうがいいですし、やってしまったほうが気持ちもすっきりするので、気になるくらいならばやってしまいます。その代わり、私の場合は朝のうちにささっと掃除を済ませたら、もう掃除のことはいっさい考えません。早い時間に掃除から解放されて、他のことにたっぷりと時間を使うことができます。

また、夕食を食べて洗い物をしたら、その後はゆっくり過ごす時間と決めているので、夜は多少散らかっても何もしません。テーブルの上に使ったワイングラスがそのままになっていたり、ソファに読んでいた本が置きっぱなしだったりするけれど、夜は来客もないからそれでいいと割り切っています。そして、朝起きたらまたルーティンの流れの中で、元の場所に戻して掃除します。オンとオフをはっきりさせてメリハリをつければ、暮らしと心にゆとりができてきます。

  • 掃除を済ませたら、コーヒーやお茶を飲んでひと休み。そういう自分へのちょっとしたごほうびの時間をつくることも大切。

    掃除を済ませたら、コーヒーやお茶を飲んでひと休み。そういう自分へのちょっとしたごほうびの時間をつくることも大切。

  • すっきりと片づいているソファやテーブルの上も、夜になると散らかることも。家事には定時や定年がないので、リセットとリラックスのメリハリは自分で決めて、生活にリズムをつける。

    すっきりと片づいているソファやテーブルの上も、夜になると散らかることも。家事には定時や定年がないので、リセットとリラックスのメリハリは自分で決めて、生活にリズムをつける。

ドイツはクリスマスに念入り掃除。年末の大掃除はあまりしない

ドイツでは、クリスマスになると家族が集まったり来客が増えたりするので、いつもより念入りに掃除をして家を整えます。けれども、日頃からしっかり片づけることが習慣になっているので、日本のように年末に大々的に大掃除をすることはありません。

ドイツ人の私の母も、クリスマス前には念入りに掃除します。それなのに、日本人の父は年末になると大掃除をしたがるのです。母が「私はクリスマスの前にしっかりやったのでもうしません」と言うと、父は「年末の大掃除は意味が違う。けじめなんだ」と言っていました。母は「あなたがやるなら私も手伝う」と言い、父が少しやり始めるのですが、結局10分後には、もう座って新聞を読んでいる……、実家の年末はいつもそんな感じでした(笑)。

「ドイツの伝統的な大掃除の時期は3月。春になり温かくなったときに家中の窓を開けて、ストーブでたまったすす払いをするのが、日本の大掃除に似た昔ながらの風習です」

「ドイツの伝統的な大掃除の時期は3月。春になり温かくなったときに家中の窓を開けて、ストーブでたまったすす払いをするのが、日本の大掃除に似た昔ながらの風習です」

大掃除はあれもこれもと無理をせず、「時間」と「空間」を決めて行う

私も普段から片づけることが習慣になっていますし、汚れもなるべくためないようにしているので、特別な大掃除はほとんどしません。いつもの掃除の延長で、キッチンの壁を洗剤で拭いたり、ほこりがたまりやすいところを念入りに行ったり、シルバーを磨いたりするくらいです。

大掃除が大変だという声も聞かれますが、先ほどもお話ししたように、手を動かす前に一度頭を整理して段取りを考えてみるとよいと思います。それから、なにもかも完璧にやろうとしないで、今年は絶対にここだけはやろうという目標を決めて、そこにエネルギーを注ぐというやり方はどうでしょうか。普段の掃除もそうですが、「この引き出し一つ」とか「この時間内で」とか、「空間」や「時間」を決めて取りかかった方が私は集中できます。あれもこれも同時にいくつものことをやらなくちゃと思うより、確実に一つと思って取り組んだほうが、意外とはかどるものです。1カ所でもきれいになればやっぱり気持ちがいいので、じゃあ次はあそこもやろうかなと思えてくる。掃除や片づけは成果が目に見えるので、小さな達成感の積み重ねを楽しんで、やる気につなげていきましょう!

汚れはなるべくためない、という多仁亜さん。どこを見せていただいてもすっきりきれいに片づいていて、ほこり一つない。

汚れはなるべくためない、という多仁亜さん。どこを見せていただいてもすっきりきれいに片づいていて、ほこり一つない。

Profile

生活・料理研究家 門倉多仁亜(かどくらたにあ)さん

生活・料理研究家
門倉多仁亜(かどくらたにあ)さん

1966年神戸生まれ。ドイツ人の母、日本人の父を持つ。父の転勤などで、日本、ドイツ、アメリカで育つ。幼い頃、ドイツ人の祖父母と暮らす中で自然と家事が身につく。国際基督教大学を卒業後、外資系証券会社に勤務。結婚後、夫とともにロンドンへ行き、「ル・コルドン・ブルー」にて料理を学ぶ。帰国後は料理教室のほか、雑誌やテレビなどでドイツのライフスタイル全般を紹介する仕事をしている。著書に『タニアのドイツ式整理術完全版』、『ドイツ式暮らしがシンプルになる習慣』『タニアのドイツ式部屋作り』ほか。

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