月経について

月経のしくみ

それは、綿密な
からだの連係プレー

●脳と卵巣と子宮がつくる女性のリズム

「月経は、どのようなしくみで起こるのでしょう?」 -----改めて聞かれると、なかなか答えられない人が多いかもしれません。
月経に関わる主な器官は、「脳」と「卵巣」と「子宮」の3つ。これらが「ホルモン」によって情報伝達しながら、複雑に連係して機能しています。
一連のメカニズムのコントロールタワーは、脳の「視床下部」というところ。この司令を受けて実際に行動するのが、視床下部のすぐ下にある「下垂体」です。
卵巣は、下垂体からの司令によって2種類の女性ホルモン=「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」を分泌し、女性のからだ特有のリズムを作り出します。

女性のからだのしくみイメージ。


●月経がストレスに左右されやすいのはなぜ?

視床下部は、自律神経の中枢で、代謝、食、性のはたらきなど、生命機能に大きく関わっている器官です。そのため、心身のストレスによって自律神経の働きが乱れると、月経のリズムも影響を受けやすくなります。
最近では、無理な食事制限によるダイエットから、若い女性が深刻な無月経に陥るケースが、とくに問題視されています。

完全ガイド 月経のメカニズム

●複雑だけど、わかると面白い!?からだのしくみ

脳と卵巣と子宮の連係を、4つのステージの順に見てみましょう。月経のメカニズムがわかれば、妊娠や避妊のしくみも理解しやすくなります。一連の流れが見られるアニメーションもご用意しました。

【卵胞期】


視床下部から「性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gn-RH)」が分泌。
下垂体から「卵胞刺激ホルモン(FSH)」が分泌。

卵巣
数個の原始卵胞が発育。この過程で卵巣から「卵胞ホルモン(エストロゲン)」が分泌。

子宮
卵胞ホルモンの作用で、内膜が増殖。

卵胞期の女性のからだのしくみイメージ。

【排卵期】

卵巣
卵胞ホルモンの分泌がピークに達する。


下垂体からの卵胞刺激ホルモンの分泌量が抑えられる。
下垂体から「黄体形成ホルモン(LH)」が分泌。

子宮
成熟卵胞は、もっとも成熟した1つを除いて、それ以上成熟しなくなる。
黄体形成ホルモンが、成熟卵胞を刺激し、排卵が起こる。
卵巣から飛び出した卵子は、卵管に取り込まれる。
(ここで精子と出会い、受精すれば、受精卵となって子宮へ。
受精卵が子宮内膜に着床した時点で妊娠が成立)

排卵期の女性のからだのしくみイメージ。

【黄体期】

卵巣
卵子が飛び出したあとの卵胞は「黄体」と呼ばれる組織に変化し、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」を放出。

子宮
受精卵が着床しやすい状態になるように、内膜がさらに厚くなる。

黄体期の女性のからだのしくみイメージ。

【月経期】

卵巣
受精卵が着床しないと、黄体は約2週間でしぼんで「白体」に変化し、黄体ホルモンの分泌が急激に減る。

子宮
子宮内膜の血管に変化が起こり、血液の供給をストップ。
内膜の一部が壊死すると、はがれ落ちて月経となる。

月経期の女性のからだのしくみイメージ。

個人差や
変化があることも理解して

●自分なりのパターンを把握しておきましょう

月経は、とても個人差が大きいものです。ほかの人との違いがあるのはあたりまえですから、自分なりのパターンをきちんと見極めて、からだの管理を心がけたいですね。異常を早めにキャッチするためには、正常な月経の目安を知っておくことも大切です。


●正常な月経の目安

◎月経周期 25~38日くらい
月経が始まった日を1日目として、次の月経が始まる前日まで数えたものが「月経周期」。
思春期の頃はとても不安定ですが、20歳くらいまでには安定してきます。
月経が90日(約3カ月)以上ない場合は、要注意です。

◎月経期間 3~7日くらい
思春期の頃は長かったり短かったりしますが、次第に決まってきます。
10日以上続くような場合は、要注意。たとえ少量の出血でも貧血が心配です。

◎月経血量 50~100gくらい
一般的には、多い日で1日30g(大さじ3杯)程度です。
ナプキンが1時間も持たないようなことが続く、月経ごとに量が増えているという場合は、要注意です。

◎月経随伴症状
月経前や月経中には、人によってさまざまな不快な症状「月経随伴症状」があります。
月経痛に悩む人も多いのですが、鎮痛剤で治まる程度なら心配ありません。
鎮痛剤を飲んでも効かない、月経ごとに痛みが強まっているという場合は、要注意です。


●月経は、いつも一定とは限りません

思春期の月経は、からだがまだ成長期なので不安定になりがちです。
成人になると、ほぼ一定になるのが一般的ですが、体調や精神状態によって左右されるため、いつも一定とは限りません。とくに異常はなくても、周期がずれることや、時々排卵していない(無排卵性月経)こともあります。無排卵性月経の場合は、経血量が少ない、いつもある月経痛がないといった違いが見られるものです。
また、年齢とともに、経血量の減少などを自覚する人も多いようです。40代後半くらいからは、いわゆる更年期特有の症状もあらわれるようになり、周期や量が乱れてきます。
そして、人によって時期は様々ですが、およそ50歳ごろには月経が来なくなります。これを「閉経」と呼びます。


監修/東京大学病院 秋野なな先生

キャンペーン情報

キャンペーン情報

キャンペーン情報

Page Top