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ロリエ

妊娠・出産 みんなの質問40
からだの変化と不思議から、気になることまで

妊娠編

出産編

読者アンケートから
<妊娠編>

読者アンケートから
<出産編>

からだの情報一覧
用語解説 参考文献

監修/

河野産婦人科クリニック院長
河野美代子先生
プロフィール

 
01
妊娠編

妊娠は、女性のからだにとって一大イベント。おなかの中で「命」が芽生え、成長するにつれて、女性のからだは大きく変化していきます。だからこそ、女性にとっては期待とともに不安に満ちた出来事でもあります。ここでは、「ロリエHP」の読者のみなさんから寄せられた妊娠に関する疑問にお答えします。

Q1. 妊娠すると、なぜ月経が止まるの?

 月経というのは、簡単にいうと「妊娠の準備ができている」というサインのようなもの。排卵が起こると、おもに黄体ホルモン(プロジェステロン)のはたらきによって、子宮内膜は増殖して「分泌層」と呼ばれる組織に変化します。
 これは、受精卵を着床させるためのベッドのようなものです。妊娠が成立しない場合は、これが不要になるため、黄体ホルモンの分泌が止まり、子宮内膜の分泌層がはがれて子宮の外に流れ出ます。これが月経です。
 一方、受精卵が子宮内膜に着床して、妊娠が成立した場合は、受精卵のためのベッドをずっと維持する必要があります。そのため、黄体ホルモンがそのまま分泌され続け、子宮内膜の状態を保ってくれます。それで、月経が起こらないというわけです。

Q2. 妊娠初期は、からだにどんな変化が起こる?

妊娠すると、女性のからだにはいろいろな変化があらわれます。妊娠したときのからだのサインを見てみましょう。

●月経が来ない
 妊娠すると、黄体ホルモン(プロジェステロン)が分泌され続けるので、月経がストップします(前項を参照)。予定日になっても月経がない場合は、妊娠の可能性が高くなります。
 なお、妊娠しても、月経予定日の頃、少量の出血が見られる場合もあります。これは「着床時出血」と呼ばれるものです。

●基礎体温が下がらない
 黄体ホルモンには体温を上昇させる作用があるため、妊娠は基礎体温にもあらわれます。月経予定日になっても基礎体温が下がらず、高温期が3週間以上続く場合は、妊娠の可能性が濃厚です。

●つわりが起こる
 つわりには個人差がありますが、月経予定日の頃に、早くも症状があらわれる人もいます。
 つわりの症状としては、吐き気、むかつき、食べものの好みの変化などが代表的。朝、起きたときや空腹のときに感じる人、夕方疲れたときに感じる人など、さまざまです。

●乳房に変化があらわれる
 乳房が張ったり、乳首や乳輪が黒ずんだり、乳房の変化も妊娠を知らせるサインのひとつ。乳首が敏感になり、下着がふれるだけでチクチクすることもあります。

●その他
 からだがだるい、疲れやすい、眠気が強い、熱っぽい、イライラするなど、体調に変化があらわれることもあります。また、子宮が大きくなってくると膀胱を圧迫するため、トイレが近くなる人もいます。

 そのほか、おりものが増える、便秘がちになるなど、いろいろな症状があらわれることがあります。

Q3. 尿検査で「妊娠」がわかるのはどうして?

 妊娠すると、ホルモンの分泌が大きく変化します。そのひとつが「ヒト絨毛性(じゅうもうせい)ゴナドロピン(HCG)」というホルモンで、妊娠初期にとくに多く分泌され、尿や血液の中に出てきます。妊娠検査は、尿を調べてこのホルモンの有無を確認するものです。
 このしくみは、病院の検査でも、市販の妊娠判定薬でも変わりません。ただ、市販の妊娠判定薬で調べた場合は、妊娠したかどうかを確認できるだけです。正常な妊娠なのか、流産や子宮外妊娠などの異常が起きているかどうかはわからないので、妊娠の判定が出た場合は、早めに病院に行くようにしてください。

Q4. 妊娠「3カ月」とかって、いつから数えるの?

 妊娠期間は、最終月経の開始日を0週0日として数え始めます。ですから、妊娠1カ月(4週)といっても、その前半は排卵前なので、実際には妊娠していないということです。本当に妊娠が成立するのは3週目になり、4週0日からは、妊娠2カ月に入ります。
 出産予定日は、ふつう最終月経の開始日から満280日目、40週0日になります。妊娠月数は4週ごとに区切るので、妊娠10カ月の終わりに出産することになるわけです。

Q5. 男女の産み分けはできるもの?

 これまで、マタニティ雑誌などでは、男女の産み分けに効果があるとされる方法がいろいろ取り上げられてきました。たとえば、どの時期にセックスすると男の子ができやすい、腟内を酸性に保つと女の子になりやすいなどなど。しかし、こうした「産み分け法」は、いずれも医学的根拠は薄く、やらないよりはましという程度ぐらいに考えたほうがいいでしょう。
 ただ、「X染色体」を持つ精子と「Y染色体」を持つ精子のわずかな重さの違いで遠心分離をし、Xを多く含む部分、Yを多く含む部分に分け、その部分を使って人工授精する方法で産み分けをしている病院も、わずかですがあります。

Q6. どうして双子や三つ子ができるの?

 一般的な妊娠の場合、1つの卵子と1つの精子が出会って受精します。ところが、2つ、3つなど複数の卵子が同時に排卵され、受精することがあります。これが、双子(二卵性双生児)や三つ子が生まれるしくみです。近年は、排卵誘発剤の使用による多胎のケースも多くなっています。
 双子の場合は、二卵性のほかに、一卵性双生児といって、1つの受精卵が初期のうちに2つに分かれることによって、2人の赤ちゃんができる場合もあります。二卵性双生児はふつうのきょうだい程度しか似ていないのに対し、一卵性双生児は同じ遺伝子を持っていますので、必ず同性で容貌もそっくりです。

Q7. 「不妊症」にならないためにはどうしたらいい?

 不妊症の原因はいろいろですが、大きく分けると、「卵巣」「卵管」「精子」の異常です。そのほか、原因のわからない不妊、男女それぞれに異常はなくても組み合わせの問題という場合もあります。
 ですから、将来の不妊を心配してもあまり意味がありません。実際に、避妊しないで1年以上たっても妊娠しなかったら、検査を受けるようにしましょう。対策は、不妊症とわかった時点から考えればいいのです。
 不妊症にならないために気をつけることを、あえて言うとすれば……人工中絶は卵管の癒着を起こす可能性がありますので、できるだけそのようなことがないように避妊に気をつける。腹腔内の癒着を防ぐために、虫垂炎は手遅れにならないようにする。また、子宮内膜症は早期に治療する。STD(性感染症)の予防をする……といったところでしょうか。

Q8. 「つわり」はなぜ起こるの?

 つわり(悪阻)は、「異物の排除」をするためのからだの防御システムと言われています。この場合の異物とは、つまり赤ちゃんということになりますが、母体が妊娠という特別な出来事に適応しようとする自然現象といっていいでしょう。
 妊婦の8割くらいが、つわりに悩まされるといわれ、吐き気、むかつき、食欲不振、嘔吐など、いろいろな症状があらわれます。それまで好きだった食べものが急に嫌いになったり、逆に嫌いだったものが食べたくなったり、食べものの好みが変わる人も多く見られます。
 早い人の場合は、月経が来なくて「ひょっとしたら妊娠?」と思う頃に、つわりが始まることもあります。一般的には、妊娠5~6週頃から始まり、安定期といわれる妊娠12~15週(4カ月)頃には症状がなくなります。

Q9. 妊娠したら2人分食べたほうがいい?

 昔の人は妊婦に対して、よく「2人分食べないと」などと言ったものです。妊娠したからといって2人分も食べていたのでは、カロリーをとり過ぎてしまいます。今では、「妊婦はできるだけ食べ過ぎないように」と変わってきています。体重上昇は、妊娠の最初から最後までで10kg、月2kgまでが、ひとつのめやすです。
 肥満は、「妊娠中毒症」(次項参照)などを招く危険性が高いので、妊娠したら食べ過ぎないようにカロリーをコントロールすることが必要です。
 ただ、栄養面では、妊娠したら、それまでよりも多く摂取したほうがいい栄養素もあります。おなかの中で成長している赤ちゃんのためには、特にタンパク質、カルシウム、鉄分などが不足しないように気をつけましょう。

Q10.「妊娠中毒症」って何?

 つわりと同じように、妊娠が原因で起こる病気が「妊娠中毒症」です。症状としては、むくみ、高血圧、尿タンパクの3つです。
 妊娠中毒症になりやすいのは、高血圧や腎臓病、糖尿病の持病がある人、肥満の人、35歳以上の高齢出産の人、双子や三つ子などを妊娠している人などです。
 重症になると、胎盤の働きが悪くなって、赤ちゃんの発育が悪くなったり、流産や早産、死産の原因になることもあります。また、重症の場合は、産後も後遺症に悩まされることが少なくありません。
 妊娠中毒症は怖い病気ですが、軽症のうちなら食事療法で改善することも可能です。定期検診は必ず受けて、早期発見することが大切です。また、予防のためには、減塩、低カロリーを心がけましょう。

Q11. 妊娠中もセックスしていいの?

 結論からいうと、妊娠中にセックスしても、基本的にはかまいません。「流産するのではないか」「おなかの赤ちゃんに影響するのではないか」など、妊娠中のセックスに不安を感じている人もいるようです。でも、セックスが原因で、トラブルが起きることはまず考えられません。ただし、切迫流産、早産で安静を指示されている人は、ドクターストップがかかります。
 当然のことですが、セックスをするときは、シャワーを浴びてからだを清潔にしておきましょう。おなかが大きくなってきたら、おなかに負担がかからないような体位を選ぶようにしてください。また、臨月(36週から)になると、破水を誘発する可能性がありますので、セックスはストップです。

Q12. 妊娠したら、ペットは手放したほうがいい?

 ペットの影響で問題にされるのは、「トキソプラズマ」と呼ばれる原虫による感染です。たしかに、妊娠しているときにこのトキソプラズマに感染すると、赤ちゃんに心臓の奇形などの異常が見られることがあります。
 でも、これは、トキソプラズマに初めて感染した場合に起こることがあるトラブルです。妊娠前からペットを飼っていた人は、すでに抗体を持っていることが多いので、赤ちゃんに対する影響を心配する必要はありません。
 これまで、よくネコが問題にされていましたが、現在では生の豚肉を食べることによる感染が主原因と言われています。ペットにとっては、とんだぬれぎぬだったというわけです。
 ただ、出産後は、ペットを赤ちゃんに近づけさせないなどのしつけが、きちんとできていないといけません。赤ちゃんの顔にペットが座っていたなんてコワイ話もありますので、くれぐれも気をつけましょう。

Q13. 妊娠中はお酒もタバコも絶対だめ?

 お酒の場合は、少量を楽しむ程度なら問題ないでしょう。ただ、飲酒回数が多く、あまりに大量に飲んだ場合は、「胎児性アルコール症候群」といって、赤ちゃんに発育不全や知能障害が見られることがあります。妊娠中は、飲み過ぎないように気をつけましょう。
 タバコの影響については、ニコチンや一酸化炭素などの作用で、おなかの中の赤ちゃんに酸素や栄養が十分に供給されない恐れがあります。そのため、低体重児になる危険が高くなるといわれます。妊娠中は、できれば禁煙したほうがいいでしょう。

Q14. 妊娠中、飲んではいけない薬は?

 妊娠中の服薬については、かかりつけの医師に相談するのが基本です。現在認可されている多くの薬は、妊娠中に飲んでも、まず心配はありませんが、自己判断でむやみに飲まないことが大切です。
 妊婦といえども、虫垂炎にもなるし、胃潰瘍や花粉症、インフルエンザなどの症状に苦しむこともあります。「薬は害だから」とがまんすることで、ますます病気を悪化させ、胎児に有害となることもあるのです。病気治療に必要な薬は、医師の指示に従って、用量用法を守って服用するようにしましょう。

Q15. 妊娠に気がつかず、レントゲン検査を受けてしまったら?

 一般的な腹部や胸部、歯科のレントゲン検査は、妊娠中に受けてもまず心配はありません。検査で浴びる放射線の量は、人体に影響を及ぼさないほどごく微量のものです。
 なお、妊娠が判明してからは、検査や治療を受ける場合、妊娠していることを医師に必ず告げるようにしましょう。

Q16. 妊娠するとバストが大きくなるってほんと?

 ほんとうです。妊娠前にはAカップだった人が、妊娠中はEカップになったという例もあります。
 これは、将来の授乳に備えて、乳腺が発達してくるためです。特に妊娠5カ月頃から、乳房が大きくなる人が多く見られます。
 なかには、妊娠後期に入ると、乳腺が開いて、母乳のような分泌液が出る人もいます。これは、母乳を出すための予行演習のようなもの。赤ちゃんに母乳をあげるために、お母さんのからだは着々と準備を整えているのです。

Q17. 妊娠するとどうしてシミ・ソバカスが増えるの?

 妊娠によって、ホルモンの分泌に変化が起こりますが、シミやソバカスが増えるのも、これが原因です。色素を作るホルモンが多量に分泌されるため、メラニン色素が増えてしまうのです。
 そのため、妊娠中はシミやソバカスが濃くなったり増えたりすることがあります。でも、出産後は色が薄くなり、ほとんど消えてしまうので、安心してください。
 ただし、紫外線によってできたシミやソバカスは、出産後も残ります。妊娠中はいつも以上にUVケアを心がけ、紫外線をシャットアウトするように気をつけましょう。

Q18. 妊娠すると毛深くなる人がいる?

 人によっては、妊娠すると毛深くなることがあります。これも、シミ・ソバカスと同じく、ホルモン分泌の変化によって起こるものです。
 腕や脚が毛深くなるほか、乳房のまわりなどに毛が生えてくることもあります。また、陰毛が濃くなる人もいます。いずれの場合も、出産後は元に戻るので心配ありません。

Q19. 妊娠すると痔になるってほんと?

 妊娠すると、血液の循環が悪くなるため、肛門の周辺がうっ血しやすくなります。また、妊娠中は黄体ホルモンの作用などで、便秘しやすくなるため、痔になる人が多くなるのです。
 予防法としては、便秘を防ぐことが第一。排便後は、肛門の周辺を洗って清潔にすることも大切です。また、お風呂にゆっくり入ってからだを温めると、肛門周辺の血液循環がよくなるので、痔の予防に役立ちます。
 また、痔になったかなと思ったら、病院で薬をもらって治療すること。産後は、母乳を出すことで便も硬くなりがちですから、早めに治しておきたいものです。

Q20. 男の子を妊娠中は顔がきつくなる?

 これは、昔からよく言われてきた迷信のひとつ。お母さんの顔つきやおなかの形で、おなかの中の赤ちゃんの性別がわかるというのは面白い話ですが、科学的な根拠はまったくありません。

Q21. へその緒は、お母さんのおへそとつながっている?

 意外に信じている人がいるようですが、へその緒とお母さんのおへそはつながってはいません。へその緒は、正しくは「臍帯(さいたい)」といって、お母さんの子宮内にできた「胎盤」と赤ちゃんのへそを結ぶパイプのようなものです。
 胎盤と臍帯は、赤ちゃんに酸素や栄養を供給したり、二酸化炭素や老廃物を排泄したりする大切な役目を果たしています。
 そのため、胎盤がまだ完成していない妊娠初期には、流産の危険が高いのです。妊娠16週くらいになると胎盤が完成し、「安定期」に入ります。

子宮の中のようす

子宮の中のようす

Q22. 「羊水」は何でできてるの?

 羊水は弱アルカリ性の液体で、おなかの中の赤ちゃんを保護する役目を果たしています。たとえば、お母さんのおなかが何かにぶつかったりして圧力を受けても、羊水がクッションになって、おなかの赤ちゃんを守ってくれるのです。
 羊水は卵膜で作られますが、赤ちゃんのおしっこも混ざっています。赤ちゃんが羊水を飲み、腎臓できれいにしておしっことして出し、またそれを飲む、という形で循環しています。
 出産時には、「破水」といって、赤ちゃんが子宮から出る前に羊水が流れ出て、子宮口を押し広げたり、産道を清めたりして、赤ちゃんがスムーズに生まれるように助けてくれます。

Q23. 「羊水検査」は、誰でも受けられる?

 羊水検査は、子宮に針を射して羊水を採取し、胎児の染色体を調べるものです。それによって、おなかの中の赤ちゃんにダウン症ほか染色体などの異常がないかどうか診断します。
 この検査は、流産を起こす危険があると同時に、検査によって異常が見つかった場合、どう対処するのかという難しい問題を含んでいます。そのため、一般的には、35歳以上の高齢出産の人、近親者に染色体異常が見られる場合などに限られています。

Q24. 重いものを持つと流産する?

 最初に結論をいうと、重いものを持ったくらいで流産することはまずありません。
 流産は、妊娠初期の11週までに起こりやすく、特に妊娠8週までに多く見られます。こうした妊娠初期の流産は、胎児に染色体異常などの原因があって起こるケースがほとんどです。
 妊娠中期以降の流産の場合は、子宮頸管(けいかん)無力症、子宮の形の異常、子宮筋腫、糖尿病などが原因の場合もあります。
 いずれにしても、お母さんの行動が原因で流産を起こすケースはほとんどないので、日常生活にあまり神経質になる必要はありません。ただ、子宮が開いているなどの早産傾向があり、医師に安静を指示された場合は、重いものを持つことなどは禁止されます。

Q25. 流産が「クセになる」ってほんと?

 一度、流産した人でも、ほとんどの場合は、次の妊娠で無事に出産できます。ただ、なかには「習慣性流産」といって、流産を3回以上くり返すケースもあります。
 習慣性流産は、子宮頸管無力症や子宮の形の異常など、ふつうの流産と同じ原因で起こることもあります。そのほか、免疫が関係している場合もあると考えられています。これは、胎児は父親の遺伝子を半分持っているため、母親のからだにとっては異物と見なされ、排除するように働くのではないかというものです。こうした理論に基づき、最近ではいろいろな免疫療法が行われており、大きな成果を上げています。
 また、母親や父親の染色体異常などが原因のこともあります。続けて3回以上の流産を繰り返した場合は、これらの検査を受けてもいいでしょう。

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