妊娠・出産は、女性のからだにとっての一大イベント。新しい命の誕生の過程を追ってみましょう。 妊娠のメカニズムは、月経のメカニズムがわかれば、理解しやすくなります。バックナンバーも、あわせてご覧ください。
|
女性の卵巣は、周期的に成熟した卵子を送り出しています。これが、排卵です。 排出された卵子は、卵管采(らんかんさい)によって卵管の中に取り込まれ、卵管膨大部へと運ばれます。ここが、受精の舞台です。 卵子の生存期間は、約24時間。この間に精子と出会えば、受精することができます。
セックスによって、女性の腟内に送り込まれる男性の精子の数は、1~5億。これが、いっせいに卵管に向かって進んでいきます。その速度は、秒速10メートルともいわれています。 しかし、女性の腟内は強い酸性に保たれているので、億単位の精子も一瞬のうちに死滅することがあります。生き残った精子だけが、子宮頸官の粘液の中へ進みます。 この粘液は、通常はどろっとしていて、子宮内に侵入する異物と戦う白血球が多く存在していますが、排卵期には性質が変わり、精子が通り抜けやすくなります。そのため、この時期は卵の白身のように糸を引くおりものの量が増えます。 それでも、子宮内に入れるのは、わずか数千個の精子にすぎません。そして、卵子が待つ側の卵管に到達できるのは、100個前後、ときには10個ほどにしぼられてしまうのです。
卵子と出会った精子は、共同して頭部の酵素で卵子の膜を破ります。こうして、いちばん最初に卵子の中に飛び込んだ精子が、卵子と結合します。これが、受精です。 受精が成立すると、卵子は化学反応を起こして表面を固めてしまい、余分な精子の侵入を防ぎます。受精後、7~10時間で、卵子の核にある女性のDNAと、精子の核にある男性のDNAが融合して、受精卵が完成。こうして、新しい命が誕生します。 60兆の細胞からなる私たちのからだも、命の始まりは、このたったひとつの細胞(受精卵)からスタートするのです。
受精卵は、2個、4個、8個、16個と細胞分裂をしながら成長し、およそ3日後、卵管膨大部から子宮へと送られます。 子宮の中では、内膜が増殖して、受精卵を待っています。受精卵は、この内膜に包み込まれるようにして、子宮の組織に根づきます。これを「着床」といい、この時点で妊娠が成立します。
このように、「排卵」から「着床」という流れを経て妊娠が成立しますが、ここまでには、たくさんの関門があります。 たとえば、女性の卵子は、完全な成熟卵でなければなりません。また、子宮内膜の状態が悪ければ、受精卵が着床することができません。このような場合の多くは、自然淘汰ということで、女性も気がつかないうちに次の月経を迎えます。 一方、男性の精子も、強く元気なものが十分に揃っていないと、卵管まで到達して受精することはできません。 妊娠するということは、簡単なようでもありますが、実はいろいろな条件が揃って、はじめて可能になるのです。
|